049 帝江⑨
国津神の司令室には、すでに艦内の主な士官が揃っていた。
彼らは一様に室内に取り付けられた大画面の液晶モニターに向かい合っていた。
画面の映像は五等分され、テレビ通話で他の軍艦の司令室が映っていた。
空母『甲斐』武田司令らや、『相模』『駿府』司令官はじめ各責任者の面々が、忙しなく出入りしているのが見える。
そして中央の一際大きい部分には、第一機動部隊のイージス巡洋艦に搭乗している連合艦隊司令長官、鳳中将の姿があった。
「成瀬大佐、こっちだ」
隼翔と瑞岐に気付いた班目が手招きする。
言われるがまま瑞岐はモニターの正面中央に進み出る。
隼翔はモニターに映らない部屋の隅に陣取った。
しばらくして、鳳長官が口を開いた。
「定刻となったので、会議を始める」
液晶モニターに付属しているスピーカーから、壮年の男性の声が響く。
「本日明朝、中国東部から南部にかけて複数の基地から、我が国へ向けて長距離弾道ミサイルが発射された。
幸いにも、陸軍特務魔術師官・飛騨中将の『神風』でそれらは全て不発に終わった」
各艦内でどよめきが起こる。
「静粛に。これがどういう意味を持っているか、諸君らはすでに理解していると思うが……」
あってはならないことだった。
今まで海軍が相手取っていた無法な海賊相手とは違うのだから。
しかし、敵は長距離弾道ミサイルの奇襲でこちらの戦力を大幅に削ぐつもりだったのだろうが、出鼻を挫いた。
飛騨の『神風』という力は、日本の中枢にいる僅かな人間しか知らない。
大量のミサイルによる奇襲攻撃が全て一人のウィザードによって失敗せしめているとは思うまい。
鳳長官は険しい表情のまま続ける。
「中国海軍東海艦隊、青島司令部を中心に煙台、威海の基地から続々と出港を始めた。
我々も打って出る。日本国民並びに国土領海を守護せよ」
不審な動きを見せていた人民軍本体が動き出したことを告げる。
ミサイルは開戦の合図であった。
「これは赤城元帥閣下からのお言葉だ。
『我が国に降りかかる火の粉は全て払い除けるべし』
また閣下は現在、アジアの同盟国に応援を要請している。
日本の危機に駆けつけてくれた英国艦隊も共に戦ってくれる。
我々は決して不利ではない」
世界最高の人口を誇る大国相手に、日本単独では寡兵もいいところだ。
しかし鳳は皆の不安を払拭すべく不利を否定する。
「繰り返す。日本国民並びに国土領海を守護せよ。
総員、出撃の用意を!」
知識が無いのにミリタリー物を書いてはいけない(戒め)




