表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HOLY WORLD  作者: (仮)
46/93

044 帝江④

 20XX年、二月十一日。


 瑞岐は十七歳の誕生日を海上で迎えることになった。

 毎年必ずある両親と姉からの誕生日祝いの電話は、今年は受け取れない。

 任務中、通信機器は持ち込めないからだ。


 武田司令率いる空母『甲斐』を旗艦に据えた、新生日本海軍・第一機動部隊。

 国津神はそこに名を連ねることになった。

 イージス巡洋、駆逐艦に潜水艦。対空・対潜装備を強化したフリゲート艦。

 彼らに守られながら、甲斐と国津神は太平洋を南に進む。


 第一機動部隊は横須賀を出発し、九州を目指す。

 長崎にある佐世保では既に第二機動部隊の軸となる空母『相模』と『駿府』、

そしてその護衛を務める艦隊が集結していた。


 広島県呉市の海軍基地所属、航空母艦『相模』。

 長崎県佐世保市、海軍基地所属、航空母艦『駿府』。

 いずれも米国製ではあるが、長らく日本海軍の守護神として働いてきた。

 陸海空軍共に航空機は国産の機体が大半を占めてきたが、

軍艦……特に大型艦は未だ建造設備が整っていない為、

どうしても米国頼みにならざるを得ない。

 現に国津神も、建造自体は日本で行われたものの、

装備の一部は米軍仕様のものをそのまま流用している。


 現在、その日本海軍が所有する全ての空母が、

ある目的へと向かい艦隊行動を取っていた。


『人民解放軍に動き有り』


 報道こそ一部規制されてはいるが、歯切れの悪い政府と

物々しい軍の動きに国民は動揺を隠せない。


 万一を想定して、日本海軍の主戦力は出撃体制を取るべく九州に集められた。

 日本に最も近い中国南西部にある海軍基地に、

続々と人と武力が集結しているからである。


 空軍もまた各基地で臨戦態勢を取っている。

 仮に武力衝突の発生が濃厚となった場合、

政府から安全確保が通達されるまで民間航空機は全て欠航となる。

 海外出張を予定していたサラリーマンたちが阿鼻叫喚だ。


 もちろん陸軍も……。

 瑞岐は出発前に陸軍の飛騨中将から連絡を受けた。

『お前たちの艦隊が日本に接岸している限りは俺の風で護れる。

 しかし、日本から離れれば風は届かない。気をつけろよ』

 彼ら陸軍も忙しい時だろうに、瑞岐たちのことも気にかけてくれる飛騨に感謝する。

 と同時に、改めて瑞岐は飛騨の力の大きさを実感する。

 八咫烏の攻撃可能な範囲……『射程』は最大でも10kmだろうか。

 自分の八咫烏も、もっと遠くまで飛ばせたら使い勝手がよくなるのに。

 まあ、飛騨と瑞岐では能力の用途が全く違うので、

比べるべきものではないかもしれないのだが。


 ふと、瑞岐は飛行甲板を見下ろす。

 瑞岐の能力の為に特別に作られたモニタールームは艦橋の一番高い階にある。

 そこから見渡せる国津神の甲板は、米国製空母の無機質な長方形と違っていて、

艦の形状に合わせて四方は曲線を描く。

 やや短い滑走路を補う為に、航空機発艦の手助けをするべく

蒸気式のカタパルトが取り付けられている。

 練習機とは違う実戦用の戦闘機が並ぶ様を見て、

不謹慎ではあるが、少しわくわくしてしまう。

 天津神で隼翔が乗っていた戦闘機とも違う、国産の最新鋭戦闘機。

 計器類がコンパクトに一枚の液晶画面にまとめられ、

近未来的なデザインのコクピットだった。


 自分もパイロットとして戦闘機に乗れたらいいのに。

 そうしたら八咫烏の有効範囲も拡がるし、それに……。

 八咫烏の瞳越しに見える空を、この目で直接見たい。

 空から国津神の雄姿を、この目で見てみたい。

広島県呉所属の相模って、なんかこう、「銀座ワシントン津田沼店」みたいな違和感。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ