表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HOLY WORLD  作者: (仮)
15/93

014 弾丸の魔女①

 観艦式閉会後。

 隼翔と瑞岐、班目、そして赤城の四人は、班目の車で海軍本部へ向かっていた。


 今回の観艦式には日本の同盟国の艦艇も多数集っていた。

 そのうちの一国、イギリスから技術交換交流の要請があった。

 内容は各国魔術師の能力についての情報交換と、日英同盟における魔術師の有効な運用方法の議論。

 後者は赤城等、高官たちが対応することになっている。

 瑞岐たちは前者の任務の為、こうして本部へ移動している。


「これから会うお方は政府から招待された国賓だ。くれぐれも失礼のないようにな」

 助手席から赤城が釘を刺す。

 緊張する瑞岐に対し、隼翔は普段通りの態度だ。

「オイ、赤城のオッサン」

「た、た、た、高山少尉!!!元帥閣下に向かってなんという口の利き方を!」

 班目は動揺し、ハンドルを持つ手が震え車がふらついた。

 だが赤城は豪快に笑い、「構わん」と班目を制す。

「なんだね、高山少尉」

「今からやるのはウィザードの技術交流会だろ?オレまで行く必要あんのか?」

 瑞岐はともかく、自分は魔力など持たない普通の人間なのだから。

「少尉は『烏使い』の専属ボディーガードだろう?

 成瀬大佐以外のウィザードの能力がどんなものがあるか知っておいた方がいい。

 今後、他所のウィザードと戦り合うことになれば、対策も考えやすかろう」

 以前、瑞岐も言っていた。

 ウィザードの能力は千差万別。

 そしてその能力は国家機密として、各国とも公開をしていない。

 そんな中、英国側から自国の魔術師の能力を教える代わりに、日本の魔術師の能力を教えて欲しいと要望があった。

 技術交換で得た情報は二国間で共有し、国防及び日英のさらなる発展の為に。



 話をしている間に、三笠公園からそう遠くない海軍本部についた。

 四人は英国側の客人の待つ、この建物の中でも一番豪奢な応接室に向かう。

 扉の前に立つと班目がドアをノックし、英語で何か呼びかけた。

 するとすぐに扉が開き、スーツを着た体格の良い男性が出迎え、中に入るよう促した。



 四人が室内に入るや否や、小さな影が瑞岐のみぞおちに特攻してきた。

「ぬぐわッ」

 堪らず声を上げ、瑞岐は特攻してきた影もろとも後ろに倒れる。思い切り尻もちをついてしまった。


「あなた!あなたね!ニッポンのウィザード!」

 小さな影は、幼い金髪碧眼の少女だった。

 少女は流暢な日本語で、興奮しながら瑞岐に問う。

「あなたがニッポンのウィザード!Crow Mancerね?!さっき写真を見せてもらったわ!」

「え、あ、あの…君は…」

 状況を飲み込めないでいる瑞岐は、少女にのしかかられたままアタフタする。

 見かねた隼翔が、少女の首根っこを掴んで瑞岐の上からどかした。

「なんだ、このチビ助」

 隼翔の行為に、隼翔以外の大人が凍り付いた。


 胃の痛みを懸命にこらえながら、班目は隼翔を叱責する。

「高山少尉!!!やめたまえ!そのお方をどなたと心得る!!!」

「は?どなたって……痛ッ!!」

 襟首を掴まれながら少女は隼翔に蹴りを入れる。

 隼翔が手を離すと、少女は華麗に着地し、髪とドレスを整える。

「どういうことからしら。ニッポンネイビーは基地のなかでグリズリーを飼っているの?」

「誰がグリズリーだ」

 何なんだ今日は。生意気なガキにはゴリラ扱い、その次は幼女からグリズリー扱いだ。


「頭が高いわ、グリズリー!ひざまずきなさい!

 わたしはイギリス王国第一王女、エリー・A・マーガレットよ」

 エリーは平らな胸を大きく張って、高らかに宣言する。


「Oush!」

 隼翔は、エリーの広い額に軽くデコピンする。

 先ほどドアを開けてくれたSPと思しき男性も慌てて駆け寄ってきた。


「 高 山 少 尉 !!!!

 日英同盟にヒビを入れるような真似はやめたまえ!」

 班目が悲鳴のような声をあげた。班目の胃は爆散寸前だ。


「エリー王女、お久しぶりですな。ご壮健で何より」

「Marshal・アカギ!久しぶりね!」

 エリーの小さな手を取り、跪きキスをする赤城。

 床で呆然としていた瑞岐も、ようやく起き上がって挨拶をした。


 改めて、王女と呼ばれた少女を見る。

 ラインストーンをあしらった赤いリボンで金髪を結わえ、ピンク色の可愛らしいドレスに、赤い靴。

 白い肌に、大きな青い瞳がよく映える。年の頃は六~八歳だろうか。


「エリー王女は、英国現女王陛下ご息女にして、英国の誇るウィザードだ」

 赤城は隼翔と瑞岐に言った。

「通称、Bullet Witch…弾丸の魔女」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ