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虐げられた俺は異世界で神を超える 〜傷ついた黒猫を助けたら、現実世界での復讐が始まった〜  作者: 覇王が好き


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第62話 鏡の中の別人――少年の容姿が変わり始めた日

第62話 鏡の中の別人――少年の容姿が変わり始めた日


 それから、一週間が経過した。


 黒瀬怜司の身体には、目に見える変化が現れ始めていた。


 朝。


 洗面所で体重計に乗った怜司は、表示された数字を見つめた。


「……七十八・六キロ」


 ついに、八十キロを下回った。


 以前の九十六キロ超から考えれば、すでに十八キロ近く減っている。


 だが、怜司が驚いたのは体重だけではなかった。


 鏡の中の自分。


 そこには、以前とは明らかに違う少年が映っていた。


 丸かった頬は、すっきりとしている。


 顎の輪郭も、以前よりはっきりしていた。


 鼻筋も目立つようになり、目元の印象まで変わっている。


 怜司は、思わず鏡へ近づいた。


「……これ、本当に俺か?」


 自分の顔を、じっと見つめる。


 もちろん、別人になったわけではない。


 目も鼻も、元から自分のものだ。


 ただ、余分な脂肪が減り、顔立ちが整ってきたことで、印象が大きく変わっていた。


 さらに、肌の調子もよかった。


 以前は、寝不足やストレスで荒れることもあった。


 だが、今は違う。


 肌は滑らかで、顔色も健康的だった。


 怜司は、頬に触れた。


「……すごいな」


 その瞬間。


【神級権能《完全適応》】


【肉体最適化率:41%】


【外見的変化が顕著になっています】


【骨格・筋肉・皮膚組織の最適化を継続中】


 怜司は、思わず息を呑んだ。


 最適化率、四十一%。


 ここ数日で、さらに大きく進んでいた。


「……まだ半分にも届いてないのか」


 怜司は、鏡の中の自分を見た。


 もし、このまま最適化が進んだら。


 自分は、どんな姿になるのだろう。


 想像もつかなかった。


     ◇ ◇ ◇


「お兄ちゃん!」


 リビングへ入った瞬間、陽菜が声を上げた。


「ちょっと待って!」


 怜司は、思わず足を止めた。


「……どうした?」


 陽菜は、怜司の顔をじっと見つめた。


 そして、目を輝かせた。


「……めっちゃ痩せてる!」


 怜司は、少し笑った。


「そうかな」


「そうだよ!」


 陽菜は、嬉しそうに兄の周りを回った。


「顔が全然違う!」


 美咲も、驚いたように怜司を見た。


「……本当ね」


 そして、少し心配そうに続けた。


「でも、短期間でこんなに痩せるなんて……」


 怜司は、少し困った。


 《完全適応》のことは、説明できない。


 だが、母親が心配するのも当然だった。


「体調はすごくいいよ」


 怜司は、正直に答えた。


「でも、心配なら一度診てもらうよ」


 美咲は、少し安心したように微笑んだ。


「そうね。念のため、今度一緒に行きましょう」


「うん」


 正臣も頷いた。


「健康が一番だからな」


 怜司は、真剣に頷いた。


「分かってる」


 すると、陽菜が嬉しそうに笑った。


「お兄ちゃん、絶対モテるようになるよ!」


 怜司は、思わずむせた。


「……陽菜!」


「だって、本当だもん!」


 美咲が、楽しそうに笑った。


「ふふっ。確かに、随分格好よくなったわね」


 正臣も、少し笑った。


「母さんの言う通りだな」


 怜司は、顔を赤くした。


「……もう、やめてよ」


 家族の笑い声が、リビングに響いた。


     ◇ ◇ ◇


 聖蘭学園。


 朝の教室。


 怜司が入室すると、蒼真が顔を上げた。


「おはよう、怜司」


「おはよう」


 その瞬間。


 蒼真が、少しだけ目を見開いた。


「……あれ?」


 怜司は、首を傾げた。


「どうした?」


 蒼真は、怜司の顔を見つめた。


「……本当に、変わってきたね」


「……え?」


「顔つきだよ」


 蒼真は、少し笑った。


「この前より、さらにすっきりしてる」


 怜司は、照れくさそうに笑った。


「……そうかな」


 そこへ、隼人がやってきた。


「おっはよー!」


 そして、怜司を見た瞬間。


「……おい」


 隼人が、ぴたりと止まった。


「……怜司?」


「……何?」


 隼人は、目を丸くした。


「お前、また痩せた!?」


 怜司は、苦笑した。


「……うん。少し」


「少しってレベルじゃねえだろ!」


 隼人は、怜司の肩を軽く叩いた。


「顔がめちゃくちゃ変わってんじゃん!」


 蒼真が、穏やかに笑った。


「確かに、かなり印象が変わったね」


 隼人は、にやりと笑った。


「お前、これで女子にモテ始めたらどうすんだ?」


 怜司は、思わず顔を赤くした。


「……そんなことないって」


 蒼真は、少し笑った。


「どうかな」


 その言葉に、隼人が豪快に笑った。


     ◇ ◇ ◇


 昼休み。


 怜司は、澪とともに図書館へ向かっていた。


 今日は、授業で出された課題について調べる予定だった。


「レイジさん」


「はい?」


 澪は、少しだけ怜司の顔を見つめた。


「……最近、お身体の調子はいかがですか?」


 怜司は、少し驚いた。


「……体調ですか?」


「はい」


 澪は、少し心配そうに続けた。


「急に痩せられたようなので……」


 怜司は、柔らかく笑った。


「大丈夫です。むしろ、すごく調子がいいくらいで」


 澪は、ほっと息を吐いた。


「……それなら、よかったです」


 そして、少しだけ頬を赤くした。


「……その」


「……はい?」


「以前より、さらに素敵になられたと思います」


 怜司は、思わず足を止めた。


「……えっ?」


 澪は、恥ずかしそうに微笑んだ。


「でも、私は……」


 少しだけ言葉を探す。


「レイジさんが、どんな姿でも変わりません」


 怜司は、静かに澪を見つめた。


 澪は、続けた。


「私を助けてくださったときの優しさも、こうして一緒に過ごしてくださる時間も……」


 そして、柔らかく微笑んだ。


「私にとっては、とても大切なものです」


 怜司の胸が、温かくなった。


「……ありがとうございます、澪さん」


 澪は、嬉しそうに頷いた。


「……はい」


     ◇ ◇ ◇


 放課後。


 怜司は、蒼真と隼人に誘われて、学園のトレーニングルームを訪れていた。


「ここ、自由に使えるの?」


 怜司が尋ねると、隼人が頷いた。


「登録すればな!」


 蒼真も、穏やかに説明した。


「安全講習を受けてからだけどね」


 怜司は、興味深そうに周囲を見た。


 最新のトレーニングマシン。


 広々としたストレッチスペース。


 そして、専門の指導員。


 まるで、本格的なスポーツ施設だった。


「……すごいな」


 隼人が、嬉しそうに笑った。


「だろ!」


 そして、怜司の肩を叩いた。


「お前、最近身体が変わってきてるし、ちゃんと鍛えたらもっとすごくなるぞ!」


 怜司は、少し笑った。


「……そうだね」


 蒼真が、穏やかに言った。


「でも、無理は禁物だよ」


「分かってる」


 怜司は頷いた。


 三人は、指導員の説明を受けながら、軽いトレーニングを始めた。


 怜司は、身体の動きが以前よりずっと滑らかになっていることを感じていた。


 腕を動かす。


 脚を伸ばす。


 姿勢を整える。


 すべてが、自然につながっていく。


 《完全適応》が、身体を最適な状態へ近づけている。


 その実感があった。


     ◇ ◇ ◇


 夜。


 怜司は、ベッドに横になっていた。


 今日も、充実した一日だった。


 新しい友達。


 新しい学校。


 そして、変わり続ける身体。


 以前の自分なら、想像もできなかった毎日。


 怜司は、静かに微笑んだ。


 そのとき。


【神級権能《完全適応》】


【肉体最適化率:43%】


【外見的変化の進行を確認】


【次段階の最適化準備が整いました】


 怜司は、目を見開いた。


「……次段階?」


 表示された文字を見つめる。


 どうやら、身体の変化はまだ終わらないらしい。


 怜司は、ゆっくりと目を閉じた。


 そして、少しだけ笑った。


「……楽しみだな」


 少年の変化は、さらに加速しようとしていた。


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