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セフィラクロスタ  作者: 梨由利
第一章 最後のピース

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学技都市の便利屋

「便利屋……ですか?」


「ああ。まあやってることは基本近所の手伝いとかだけどさ」


 フードさん改めアルトさんは、この街でその便利屋とやらをやっているらしい。ペット探しに人探し、あるときには空き巣事件の犯人を捜してほしいと頼まれたこともあるのだとか。


「なんだか話を聞いてると便利屋っていうより探偵っぽいですね」


「よく言われるよ。犯人捜しを頼まれたときは来るとこ間違ってるだろって思ったけどさ」


 そんなことを話しながら僕は今アルトさんが便利屋をしている事務所に案内されている。最初は自分の家に帰ろうとしたのだが「ほとぼりが冷めるまではうちにいるほうがいい」と言われたのでしばらく事務所にお世話になることになった。


「ここだよ、うちの事務所は」


「『便利屋ヴァイスハイト』……これって事務所の名前ですか?なにか意味があったり?」


「……なんだっけ?忘れたよ。おーい戻ったぞー……っていないのか。ってことはまだあそこにいるのか……」


「アルトさん以外にも便利屋の人がいるんですか?」


「あーまあうちの所長というかメカニック…的な?」


 所長はともかくメカニックというのはどういうことだろうか。軽く見渡した感じではそこまで専門的な知識が必要そうな機械類は見当たらないが。


「多分奥の工房にいるよ。ちょっと呼んでくるから待っててくれないか?適当にくつろいでていいからさ」


 そう言うとアルトさんは奥の部屋に入っていった。なんで便利屋の事務所に工房があるのかが気になるが言われた通りに待つことにしよう。思い返せば今日は朝から色々起こりすぎたせいで息つく暇が無かったな。あそこでアルトさんに助けられてなかったら今ごろ僕はあの路地で誰にも気づかれずに殺されていたんだろうな。


 改めて自分のおかれている状況が非現実的すぎて諦めにも似た笑いがこみ上げそうになってきた。


「ははっ……これからどうしよう。まだ荷解きだってまともに終わってないのに…あ、そうだ。とりあえず大家さんに連絡しといたほうがいいかな」


 今日が引っ越してきたばかりということもあってまだ大家さんに挨拶もできていなかったことを思い出し携帯で連絡を取ろうとしたとき、なにか違和感を感じた。


「……あれ?携帯…無い?」


 そう、いつも入れているはずのポケットに携帯が入っていなかった。家に忘れた?それはない。初めての場所で連絡手段を持たずに出歩くほどバカじゃない。確かに家を出るとき確認した。それなのに今手元にないということは考えられる理由は一つ。


「もしかして……落とした?」


 まずいまずいまずい。どこだ、どこで落とした?いやこの際携帯自体はどうでもいい。それより携帯につけたあれを無くしたのが問題だ、そもそも最後に使ったのはいつだったか。そうだ思い出した、確か路地に迷い込んだときに地図アプリを開こうとしてちょうどそのときあの人たちに出くわして逃げ出して……


「あのとき落としたんだ!」


「いい加減にしなさい!!」


「ゴハァ!!!」


 僕がいつ携帯を落としたのかを突き止めたのとアルトさんが奥の部屋から吹っ飛んできたのはほぼ同時だった。


「痛ってぇ……だから悪かったって言っただろ!?」


「何回言ってもあんたがおんなじこと繰り返すからでしょうが!……ん?どちら様?」


「えっと、僕は……」


 アルトさんと一緒に、というかふっ飛ばして工房?から出てきたのは真っ赤な髪をした女性だった。


「さっき言っただろ……依頼先で絡まれてたから連れてきたんだよ」


「ああ、あなたが。初めまして、私はレスカ=ガーネット。ヴァイスハイトの所長です」


「あ、初めまして。僕はディノン・ポットです。アルトさんに助けられてそのままここに……」


「へぇ、ディノンって言うのか。改めてよろしくな」


「はぁ?呆れた、名前も聞かずに連れてきたの?ごめんねうちのが迷惑かけて」


「なんで俺が迷惑かけた前提なんだよ。むしろ逆なんですけど、危ない場面から助け出したんですけど!」


「そのまま連れ回ってる時点で迷惑かけてるでしょうが!」


「あの、僕は大丈夫なので!アルトさんがいなかったらどんな目にあっていたことか……」


「ほら見ろ、本人がそう言ってるんだからもういいだろ。なんでお前は昔から人の話を聞く前に手がでるんだ…」


「うっさい、ところでディノンさん?でいいわよね。さっき落としたとか言ってたけどどうしたの?」


「あの、実は……」


 僕はアルトさんたちに携帯がないこと、おそらく逃げている途中で落としたであろうことと誰かに持ち去られる前に取りに行きたいことを話した。


「…というわけなんです。何度も申し訳ないんですが一緒に探してもらえませんか?」


「それ大変じゃない。今すぐ取りに行ったほうが「駄目だ」……はあ?なんでよアルト」


「逃げてる途中に落としたってことは連中に拾われてる可能性が高い。それにディノンはやつらの取引を見ている。そんなやつが取引場所付近に行ってみろ、痛い目を見るだけじゃすまないぞ」


 アルトさんの言う通りだ。顔も覚えられているだろうし、今度会えば次は本当に殺される。でも携帯を取られていたとしたら僕の大切なものも一緒に取られたということになる。


「どうすれば……」


「心配するなディノン」


 これからどうすればいいのか分からず途方に暮れている僕を見かねたのか、アルトさんはある提案をしてくれた。


「お前みたいに困ってるやつのために俺たちがいるんだ」


「そ、それって……」


「ああ。お前の悩み、便利屋ヴァイスハイトが解決してやるよ」



語り手の名前がでてくるのが三話目ってテンポ悪すぎるよねって話

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