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「お疲れ様でした…これで登録は完了となります。
あと、こちらが従魔章となります。
なお、もし付けていない場合、他の人から攻撃されても何の保証もされませんので…必ず、着けておくようにして下さい。」
そう言って、受付嬢から渡されたのは、タグの付いた首輪である。
テイマーズギルドに到着した僕達は、門番に注意された事を守る為に、直ぐに従魔契約とやらを受ける事にした。
だが、いざ契約と言った所で、ある意味…トラブルがおきた。
なんと、従魔契約が使えなかったのだ。
いや、正確には従魔契約は発動した…したのだが、弾かれてしまったのだ。
その後、原因を調べ分かった事は、何故か、既に従魔契約がなされていたのだ。
もちろん、僕はテイマーではないので、そんな事は不可能である。
では、誰が?もちろん、テイマーズギルドの面々でない事は確かである。
だとすると…僕でもないのだから、犯人は一人(?)だけ…そう、キラーウルフのサクラである。
まぁ、確かに彼女は、こちらの言う事を理解するし、色々と面倒見も良いばかりか、キラーウルフの名に恥じない勇ましさもある。
レプリカと言う模造品…複製品と言った方が良いだろうか?
物を作り出すスキルを使っても、劣化品しか作り出せない僕とは、次元が違う存在だ。
常日頃から、とても優秀な狼だと思っていたが、いつの間に従魔契約など結んだのだろう?
まぁ、起きていた時には、その様な仕草をしていなかったと思うので、僕が寝静まった時なのだろう。
何にせよ、二人だけで過ごした時間もそれなりにあるので、いくらでもチャンスがあったはずである。
そんな事を考えていると、何となくだが、サクラがニヤりと笑った様な気がしたのだった…。
†
「やってきました、冒険者ギルド…はてさて、どうなる事やら…。」
テイマーズギルドを出た僕達は、その足で、商業ギルドへ向かい、ギルドカードの情報を更新した。
それにより、この街でも商売をする事が出来る様になった。
もっとも、まだ路銀はたくさんあるので、それも急ぎではなかったのだ。
で、結局、まだ夜更けまで時間があるのを良い事に、宿屋を探す前に、冒険者ギルドへ来てしまったのである。
そして、冒険者ギルドの門を開けようとした時、頭に、ある出来事が浮かんだのだ。
そう…所謂、テンプレと呼ばれる物だ。
新規で冒険者登録に来た人に、うだつの上がらない中級程度の冒険者が絡んでくるヤツである。
普通で考えれば、そんな事をしていたら本気でしていたら、そいつらの評価は当然ながら下がるだろうが、あくまでも物語の中の話…ありえないとは思うが、絶対ないとは言い辛い。
その為、僕は中の人を刺激しない様に、ゆっくりと扉を開けたのだった…。
†
扉を開けて中に入ると、そこは予想通り、わいわいがやがやと騒がしかった。
そんな、思い描いていた光景そのままな雰囲気に、恥ずかしくも少しばかりテンションが上がる。
しかも、こちらを好奇心を秘めた視線がいくつも向けられるので、たまったものではない。
だが、よくよく視線の先を確認すると、その大半は、わずかに僕の横へとそれていた。
そう、僕の隣を歩いてる狼…サクラが視線を集めていたのだ。
「そりゃそうか…。」
「ガゥ?」
「あ、いや…僕みたいなモブが注目されるはずが無いなって話だよ。
それと、やはりサクラの存在感が凄いなって思ってさ…。」
「ガウガウ…。」
正確には何を言っているのか分からないけど、おそらくは『そかそか…。』って感じかな?
何にせよ、サクラの我存ぜぬ状態な肝の座り方が尋常では無いのだけは分かる。
僕なんて、心臓がドキドキしてるってのに、サクラは堂々としてるからね…。
「おい!坊主、ここはお前みたいな子供が来る様な場所じゃないぜ?怪我する前に家に帰んな!」
声がした方を向くと、中年の男がこちらに向かって来ているではないか…とうとう、テンプレ来たかッ!?
まぁ、ぶっちゃけ『とうとう』と言うほど時間が経って無いが、まだ受け付けで登録まで済んでいないのだから、テンプレとみて間違いないだろう。
「ガルルルル…。」
「ちょッ!?そこのお前、テイマーだろ!
直ぐに、そのキラーウルフを大人しくさせろ!」
「え?でも、先に絡んで来たのはそちらですよね?」
やはり、キラーウルフは、ここらでは有名なのか男の人の顔に緊張が走る。
「はぁ~ッ!?俺が声を掛けたの、お前の後ろの子供だッ!
ってか、それくらい、見たら分かるだろうがッ!!」
そう言われて後ろを向くと、確かに、僕よりも少し小さな子供がいた。
ただ、少なくとも、僕よりはまともな格好をしている気がしたのは内緒である。
「アラムさん、いつも忠告ありがとうございます。
でも、僕が稼がないと、妹の薬が買えないから…すいません。」
「チッ!俺は注意したからな!何度も言うが、森の中に入るんじゃ無いぞ!」
そう言ってアラムと呼ばれた男は、自分の席へと戻って行った。
なお、このやり取りは、既に何度もなされている様で、僕以外の人は誰も気にもとめず、会話を続けていたのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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