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アラムと呼ばれた中年の冒険者が席に戻るのを確認した後、改めて僕の後ろにいた少年へと目を向ける。
確かに、先程の冒険者が心配したのも納得な容姿で、推定、十歳前後の少年である。
まぁ、別にイケメンと言う訳でもなく、どこにでも居る少年…と言った所だろうか?
と言うか、こんな少年が冒険者として既に働いているのに驚きを隠せない反面、やはり平和な日本とは違い、若い年でも働かなければ食べていけないのは、日本人としては何とも言えない気分になった。
とは言え、それを分かったところで、僕が何かをする事も、しようとする事もない。
一部の人には酷いとか言われそうだが、そう言うのは、満たされている人が行えば良いのである。
少なくとも、自分の事すらまともに対応出来ないでいる僕みたいなモブが、心配する事ではないと言えるだろう。
ただまぁ…なんだ、これくらいはしてもバチは当たらないかな?
「ねぇ、君…これ飲んでみて?」
「え?でも、コレって…。」
「うん、あ、でも遠慮しなくて良いよ?それは僕が作った品質が悪いヤツだから…ね。」
「で、でも…。」
僕よりも小さな子供なんだから、素直に受け取ればいいのに…どうせ、スキルで作り出した物なので元手は無料である。
「気にしない気にしない、これは試供品って事であげてるんだから。
それに、どうしても気になるって言うなら、僕が店を開いた時にお金に余裕があれば何か買ってくれたら良いよ。」
「わ、わかりました…ありがとうございます。」
などと、雑談をしている内に、いつのまにか僕の順番が回ってきた。
さて、テイマーとしての登録は簡単に済んだけど、冒険者登録はどうなることやら…。
†
「う~ん、まぁ、合格で良いだろう。
あくまでもギリギリではあるが…お前さんはテイマーだし、そんな物だろう。
ただし、今のままでは厳しいから、ちゃんと身体を鍛える様に…以上!」
「あ、ありがとう…ございました…。」
先程の少年でも冒険者をしているのだから…と油断していた。
まさか、冒険者に登録するのに試験があるとは思わなかったのだ。
そして、試験内容として戦闘訓練と持久力を試すランニング…戦闘訓練に関しては、僕自身は正直ダメダメだったのだが、テイマーと言う事もあり、キラーウルフであるサクラのお陰でクリア。
問題は持久力を試すランニング…だったのだが、平和な日本のどこにでもいるモブには、そのランニングが鬼門だった。
自分の中では、限界をむかえているにも関わらず、試験官は気にせず走れと言ってくる。
最終的には倒れ込んでハァハァと息を整えていた所で、先程の言葉を頂いた…と、そんな所である。
「あ~そうそう、先程は合格とは言ったが、最後に魔力測定をして貰うからな?
呼吸を整えたら、中で測定だ。」
「あ、あの…魔力が無かったら、どうなるんですか?」
「ん?どうなるかって?別にどうもならんぞ?
ただ、魔力が多ければ、それだけ冒険者ランクを上げるのに有利になるってだけだ。」
「そうなんですね…安心しました。」
「なんだ?お前は魔力が低いのか?」
「あ、いえ…今まで魔力を測った事無かったもので…その…。」
「オイオイ…魔力を測った事がないって、どんな田舎に住んでたんだ?」
「す、すいません…。」
「まぁ、こっちも責めてる訳じゃないから気にするな。
それより、もう行けるか?」
「あ、はいッ!」
僕の呼吸が整っているのを確認した試験官が、魔力測定をする為に移動を促す。
少々強引ではあるが、話を切り替えるのには有効だ。
こちらとしても、召喚に巻き込まれ能力の低さから追放された…などと説明しなくて済んだと考えれば、助かった…と言えるだろう。
なお、魔力測定の結果は、僅かに魔力がある…と言うのが判明。
まぁ、それに関しては城で見たステータスで知ってはいたが、結果、総合的な判断で最低ランクであるFランクからのスタートとなったのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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