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腐った卵の様な匂い…言葉が悪かったが、硫黄の匂いがしていた事からウッペブの街が近いと判断した僕達(僕と狼一匹)は、周囲を警戒しつつも、足早に街へと向かっていた。
そして、やっとの思いで街へと辿り着いたのだが…。
「おい、そこのお前!そこで止まれッ!!」
一瞬、誰に言っているのか分からず、周囲を見渡す。
確かに、僕以外の人もいるのだが、残念ながら、殆どが一般的な人達で、怪しい様子は見当たらない。
そう考えると、この中で一番怪しいのは、『狼を連れている』僕が一番怪しい人である。
「えっと…僕ですか?」
念の為、右手の人差し指で自分を指差し、停止を求めた人に問いかける
「そうだ、お前だッ!」
「分かりました~!サクラ、悪いんだけど、ちょっと止まってくれる?」
「ガウ。」
やはりと言うべきか?サクラは、こちらの指示に従い、僕の側まで寄ってくると、お座りの体勢で動きを止めた。
ちなみに、サクラと言うのは彼女…兄弟達と別れ、僕に付いてきたメス狼の事である。
なお、名前がないと不便と言う理由から付けた名前であるが、そんな彼女の名前の由来は、右の耳の後ろに桜に似た形の模様がある事から、提案した所、彼女から許可がおり、そう呼ぶ様になっていたのだった…。
「ありがとう、サクラ。」
僕がお礼を言うと、少し照れくさそうにそっぽを向くサクラ…だが、そんな態度とは裏腹に、サクラは近付いてきた人に、注意を向けていた。
「こんにちは、まずはご協力感謝します。
通常、人に馴れないキラーウルフを連れている人が居たものだから、つい厳しい口調で…申し訳ない。
しかし、よく懐いておられる様で…テイマーの方ですね。」
そう言って、僕に声を掛けてきた男の人は、門番なのだろう。
「テイマー…?あ、いえ、僕は商人であってテイマーじゃないですよ?
偶々、彼女が僕に懐いてくれてるから言う事を聞いてくれているだけであって、契約とかはしていませんので…。」
「な、なん…だと…?」
テイマーではなく、契約もしていない…つまり、サクラが自由だと知った門番は、剣を抜くと、ゆっくりと距離を取った。
「ま、待って下さいッ!!サクラは本当に賢い狼なんです!
こちらが敵意を向けない限り、襲ったりはしない良い子なんです!」
流石に、自由に行動出来る狼と言われたら、警戒をするのは仕方がない事だと思うが、だからと言って、敵対するのは間違っている。
それを証明するかの様に、僕は彼女の横に座ると、『ガルルル…。』と唸りをあげている彼女の背を撫でる。
すると、彼女は直ぐに威嚇を止め、満更でもない表情で大人しく撫でられていた。
「ね?大丈夫でしょ?」
「あ、あぁ…少なくとも、貴殿の言うを聞くのは分かった。
が、正直な話、その狼は、このままと言う訳にはいかない。
そもそも、従魔で無い魔物であれば、街の安全の為に中へ入れる許可は出せない。」
「そ、そんな…サクラには今まで助けられて来たんですよ!?なんとかならないんですか?」
「先程も言ったが、街の安全の為には無理だと言おう…だが、何事にも例外がある。
実は、貴殿と同じ様に、魔物に好かれる人と言うのは少なからずいる。
まぁ、確かに稀少な事ではあるのだが…そんな人が従魔契約の仕方が分からず、街まで連れてくる事が、本当に極稀にあるのだ。
その様な場合、連れてきた魔物が犯した罪や被害を、全部、引き受けるのであれば、特別に入る事が出来る制度がある。
その代わり、直ぐにテイマーズギルドで、従魔契約を結ぶ必要があるのだが…。」
「…何か問題でも?」
「あ、いや…先程も言ったが、キラーウルフが、大人しく従魔契約を受け入れるかどうか…。」
「なるほど…でも、大丈夫ですよ…多分。
だって、その従魔契約?ってのをしたら、街の中でもずっと一緒にいれるんですよね?」
「あぁ、それはもちろんだ!あ、でも、宿屋の中まで一緒にいらるかは宿屋が決める事だから…な。」
それだけ言うと、門番さんは、懐から木片を取り出し渡してくれた。
「…これは?」
「それは割符と言ってな…要は、特例で入場を許可された者に貸し与える許可証の様な物だ。
それをもって、テイマーズギルドに行けば、魔獣契約を教えて貰える様になっている。」
「え?そんな貴重な物を貰っても良いんですか?」
「いやいや、無料じゃないぞ?金貨一枚だ。
それと、先程も言ったが、その魔物が何かしでかしたら、その責任は、全て貴殿が負う事になる。
まぁ、それは従魔契約を結んだ魔物であっても同じ事だが…。」
「なるほど…つまり、仮免許みたいな物って事ですね。」
「そう言う事だ、ちなみに、金貨一枚の中に入場料も含まれているから、門で審査を受けたら、そのまま中に入れるからな。
くれぐれも、その魔物を暴れさせるんじゃないぞ?」
「はい、それはもちろんです!サクラは優しい子ですから大丈夫です!」
正直な話、僕以外に対して、サクラがどの様な態度を取るか分からないが、何故か、そう確信しているのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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