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3

「さて、そろそろ移動するか…。」


 狼達が食べ終わるのを待って、僕は重い腰を上げた。


 いや、本当ならば、食べ終わるのを待つ必要なんて無かったんだよ? 

 だが、狼達を待たずに移動しようとした時、狼達の一匹に止められたのだ。

 まぁ、単純に食い意地が張っていていただけかもしれないが…。


 何はともあれ、その所為で僕は足止めを食らう事となり、休憩を余儀なくされた…とだけ言っておこう。


 で、本題へと移る訳なのだが…僕が『移動するか』と言ったからか、腰を上げたからかなのかは分からないが、僕が動き出した事をきっかけに、狼達は周囲を警戒するかの如く僕の周囲へと移動した。


「もしかして、護衛をしてくれているのかな?」

「「「「バウッ!」」」」

「そっか…ありがとう。」


 僕はお礼を言うと、狼達を連れ、川沿いに森の中を進んでいくのだった…。


†


 そう言えば…川沿いに森の中を歩いていると、王都から追放され、逃げる様にイサスへ移動した時も、狼達は森の中では僕に付いてきた事を思い出した。

 なるほど…あの時も、単に餌をくれる人って事で付きまとっていた訳ではなく、僕の護衛をしてくれていたんだろうな…と、考えを改める。


 それにしても、狼達が、こちらの言う事を理解してくれているのが非常にありがたい。

 僕が狼達の言う事が分からない為、意思疎通が不十分であるとは言え、それでも、こちらの言う事を聞いてくれるのは移動する時には、とてつもなく便利なのだ。

 その証拠に…移動を開始して(アレ)から魔物との戦闘が二回ほどあったからだ。


 なお、魔物と言ってもゴブリンと呼ばれている魔物だと思う…知らんけど。

 緑の肌に身長が130cmほど…子供サイズの大きさで、手には棍棒らしき物を持っていた。

 そんな魔物が一匹だけ現れたのだが、狼達は連携して攻撃を繰り出し、見事に倒してしまったのだ。

 その後、三十分ほど歩いた時に、再度、ゴブリンと遭遇…今度は三匹いたのだが、先程のヤツとは違い、今度の奴らは、二匹が剣、一匹が弓を使っていたのだ。

 そして…ゴブリン達は連携を取った。


 連携はこちらだけのアドバンテージと言う訳ではなかったのだ。

 幸い、狼達の方が俊敏性があり、ゴブリン達は翻弄してがいたが、攻めあぐねていた。

 で、ここで僕が『アイツから倒すんだ!』と叫んだ事で流れが変わる。


 狼達は、僕の指示を聞き、即座に行動に移したのだ。

 そう…弓使いのゴブリンから倒したのだ。

 そして、ゴブリンの弓を僕へと届けてくれたのだ。


 まぁ、僕の弓の腕はダメダメで、射った矢は当然ながら外れてはいたものの、それでも牽制にはなったのか、パワーバランスが崩れただけなのかは分からないが、直ぐに残りの剣を持ったゴブリンを倒してしまったのだ。


 ………僕、いなくても良かったかも?むしろ、邪魔だった?

 深く考えないようにしよう…。


 そんなこんなで、こちらの言う事を理解してくれるのが、如何(いか)にありがたい事か理解して貰えただろうか?

 あ、いや…僕も一つだけ、狼達の言いたい事が分かる。

 それは…今現在、直面しているからだ。


「分かった、分かったからッ!!ご飯にするから離れてってば!」


 周囲を警戒していた狼達が僕の前に集合した。

 そして、その中の一匹が僕の足に身体を擦り付けて来た。

 そんな行動に、思わず撫でようと手を出すが、サッと逃げられてしまう。

 同じ行動を続ける事数回、今度は、狼達が全員で軽く体当たり…痛くはないのだが、何かを訴えているのだけは分かる。

 で、結局、最後には押し倒され、ペシペシと全員からの講義行動…ここまでくれば僕でも分かった。

 いや、それなら最初からペシペシとやれよ…とは思ったが、口には出さなかった。

 その代わり、口から出た台詞…それが先程の言葉である。


 緊張していた事も原因だが、改めて考えてみると、お腹が空いているのがよく分かる。

 そりゃ、彼等からの飯のおねだりも当然である。


「えっと…何時もので良いよね?」


 離れてくれた事で自由を手に入れた僕は、狼達に確認を取る。

 流石に、僕と同じものを…と言うのは危ないかもしれないが、ドッグフードであれば問題はないだろう。

 彼等一匹ずつに対し、専用の皿を用意し、ドッグフードを注いでいくと、お腹が空き過ぎたのか、僕の合図を待たずに食べ始める。

 それをみて、僕は、心の中で、ご飯が遅くなった事を謝るのだった…。

拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。

また、感想や誤字報告等ありましたら、励みになります。

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