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「さて、そろそろ移動するか…。」
狼達が食べ終わるのを待って、僕は重い腰を上げた。
いや、本当ならば、食べ終わるのを待つ必要なんて無かったんだよ?
だが、狼達を待たずに移動しようとした時、狼達の一匹に止められたのだ。
まぁ、単純に食い意地が張っていていただけかもしれないが…。
何はともあれ、その所為で僕は足止めを食らう事となり、休憩を余儀なくされた…とだけ言っておこう。
で、本題へと移る訳なのだが…僕が『移動するか』と言ったからか、腰を上げたからかなのかは分からないが、僕が動き出した事をきっかけに、狼達は周囲を警戒するかの如く僕の周囲へと移動した。
「もしかして、護衛をしてくれているのかな?」
「「「「バウッ!」」」」
「そっか…ありがとう。」
僕はお礼を言うと、狼達を連れ、川沿いに森の中を進んでいくのだった…。
†
そう言えば…川沿いに森の中を歩いていると、王都から追放され、逃げる様にイサスへ移動した時も、狼達は森の中では僕に付いてきた事を思い出した。
なるほど…あの時も、単に餌をくれる人って事で付きまとっていた訳ではなく、僕の護衛をしてくれていたんだろうな…と、考えを改める。
それにしても、狼達が、こちらの言う事を理解してくれているのが非常にありがたい。
僕が狼達の言う事が分からない為、意思疎通が不十分であるとは言え、それでも、こちらの言う事を聞いてくれるのは移動する時には、とてつもなく便利なのだ。
その証拠に…移動を開始してから魔物との戦闘が二回ほどあったからだ。
なお、魔物と言ってもゴブリンと呼ばれている魔物だと思う…知らんけど。
緑の肌に身長が130cmほど…子供サイズの大きさで、手には棍棒らしき物を持っていた。
そんな魔物が一匹だけ現れたのだが、狼達は連携して攻撃を繰り出し、見事に倒してしまったのだ。
その後、三十分ほど歩いた時に、再度、ゴブリンと遭遇…今度は三匹いたのだが、先程のヤツとは違い、今度の奴らは、二匹が剣、一匹が弓を使っていたのだ。
そして…ゴブリン達は連携を取った。
連携はこちらだけのアドバンテージと言う訳ではなかったのだ。
幸い、狼達の方が俊敏性があり、ゴブリン達は翻弄してがいたが、攻めあぐねていた。
で、ここで僕が『アイツから倒すんだ!』と叫んだ事で流れが変わる。
狼達は、僕の指示を聞き、即座に行動に移したのだ。
そう…弓使いのゴブリンから倒したのだ。
そして、ゴブリンの弓を僕へと届けてくれたのだ。
まぁ、僕の弓の腕はダメダメで、射った矢は当然ながら外れてはいたものの、それでも牽制にはなったのか、パワーバランスが崩れただけなのかは分からないが、直ぐに残りの剣を持ったゴブリンを倒してしまったのだ。
………僕、いなくても良かったかも?むしろ、邪魔だった?
深く考えないようにしよう…。
そんなこんなで、こちらの言う事を理解してくれるのが、如何にありがたい事か理解して貰えただろうか?
あ、いや…僕も一つだけ、狼達の言いたい事が分かる。
それは…今現在、直面しているからだ。
「分かった、分かったからッ!!ご飯にするから離れてってば!」
周囲を警戒していた狼達が僕の前に集合した。
そして、その中の一匹が僕の足に身体を擦り付けて来た。
そんな行動に、思わず撫でようと手を出すが、サッと逃げられてしまう。
同じ行動を続ける事数回、今度は、狼達が全員で軽く体当たり…痛くはないのだが、何かを訴えているのだけは分かる。
で、結局、最後には押し倒され、ペシペシと全員からの講義行動…ここまでくれば僕でも分かった。
いや、それなら最初からペシペシとやれよ…とは思ったが、口には出さなかった。
その代わり、口から出た台詞…それが先程の言葉である。
緊張していた事も原因だが、改めて考えてみると、お腹が空いているのがよく分かる。
そりゃ、彼等からの飯のおねだりも当然である。
「えっと…何時もので良いよね?」
離れてくれた事で自由を手に入れた僕は、狼達に確認を取る。
流石に、僕と同じものを…と言うのは危ないかもしれないが、ドッグフードであれば問題はないだろう。
彼等一匹ずつに対し、専用の皿を用意し、ドッグフードを注いでいくと、お腹が空き過ぎたのか、僕の合図を待たずに食べ始める。
それをみて、僕は、心の中で、ご飯が遅くなった事を謝るのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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