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ホシガーリ男爵と別れた後、僕は泊まっている宿屋…ではなく、その近くの飯屋へと足を運んでいた。
とは言えっても、ご飯を食べるのが目的ではない。
では、何故、そんな所へ行ってるのか…と言うと、ピンハネの所で働いているオジーさん達に会う為…だ。
「お、来た来た…モブ、こっちだ、こっち!」
こちらをずっと見ていたのか、僕が飯屋に入ると直ぐに声を掛けられた。
もちろん、声を掛けてきたのはオジーさんである。
そして、その隣に座っているのは…彼の名前は知らないが、昨日、オジーさんと馬車の見張りを交代した人である。
どうやら、今は、オジーさんにお願いした作戦通り、ピンハネとは別行動をしている様だ。
「それで、どうなった?」
僕がオジーさん達の席に着くが早いか、作戦の成否について聞いてきた。
「えぇ、思ったより簡単に話が進みました。
ただ、どう言う訳か、ピンハネが売ったトイレットペーパーの殆どが消滅えてしまった様です。
その為、ホシガーリ男爵が事情を聞く為に、ピンハネを捕らえにバラ団長を宿屋に向かわせたみたいでした。」
実の所、オジーさんとの話し合いの時には、トイレットペーパーを消す事を企んでいる話はしていなかった。
そもそも、それだけの数を消すとなれば、スキルを教えなければ説明をする事が出来ないからだ。
その為、彼等には高品質の『貴族用』のトイレットペーパーを売り込みに行く…としか、言っていない。
もちろん、その際に、ピンハネがホシガーリ男爵の怒りを買う事になる為…と、そんなあいまいな理由にも関わらず、予定通り、ピンハネから離れてくれているのには、申し訳無さと感謝しかない。
「それにしても…頼んでおいて聞くのもアレですが…本当に馬車から離れていて大丈夫なんですか?」
「あぁ、それについては問題ないぞ?
そもそも、ピンハネが泊まっている宿は、馬車の護衛付きが売りの宿屋だからな。
まぁ、その分、宿泊費も高いってが難点ではあるが、お陰で、こうして俺達は自由に出来るって話だ。
何だったら、娼館に行ってもお咎めなしだぞ?」
「あ~、やっぱり娼館とかあるんですね…。」
「そりゃそうだろ…少し大きな街には、必ずあるぞ?」
「そうなんですか?」
「あぁ、ここはもちろん、イサスの街にだってあるくらいだからな。」
と、オジーサンは、当然の事の様に笑って言う。
ファンタジーの世界では、お馴染みの娼館ではあるが、僕は今の所、お世話になる予定はない。
ただまぁ、興味がないかと聞かれたら、残念ながら『ある』と言うしかないだろう。
何故なら、僕の外見は悪いから…だ。
つまり、モテないのだ…故に、そうそう彼女なんて出来るはずがないのでお相手がいないと言う事から、そんな商売をする人達にお願いするしか経験を積めないと思っているからである。
っと、話が逸れてしまっているので、話を戻した方が良さそうだ。
「そ、そうだったんですね…って、そんな事より話を戻して良いですか?」
「あぁ、構わんぞ?それで…何だったっけ?バラ団長がアレを捕らえにだったか?」
「そう、そうなんです!あのピンハネが捕まったとして、原因が分からない以上、その責任を誰かに押し付けるのは必定。
そうなると、確実に商品を搬入したであろう、お二人方の所為すると思うんです。
ですので、お二方が呼ばれた場合、全て、ピンハネの指示だったと絶対に言い切って下さい。
実際に、お二方はピンハネの指示で搬入しているので、後は知らぬ存ぜぬで通してください。」
「まぁ、実際に、その通りだが…それは、わざわざ言う様な事なのか?」
「えぇ、凄く重要な事なので…。」
「あぁ、分かった、そうしよう…お前も良いな?」
「………。(コクコク)」
オジーさんに言われ無言のまま、何度か首を縦に振る…この人、もしかして喋れないのだろうか?
「えっと…一応、こちらからの報告は以上です。
トイレットペーパーが消滅えた所為で、少し面倒な事になっていますので注意してくださいね?」
「あぁ、モブも注意しろよ?アイツはお前も巻き込むだろうからな…。」
「はい、もちろんです!それでは、僕はこれで…。」
僕は、そう言うと席を立つ…飯屋で何も頼まずに帰るのは申し訳ないが、宿を取る時、飯付きを頼んでいる事もあり、ココでご飯を食べるとお金の無駄になるので我慢である。
「もう暗くなるから、気をつけて帰るんだぞ?」
「はい…って、喋れたんですかッ!?」
「うむ。」
オジーさんと違い、渋めな声に振り向いたら、オジーさんの隣りに座っていた、もう一人の人が、軽く手を上げ、挨拶をしていたので、驚きを隠せない。
そりゃそうだ…今までの会話で、一度たりとも喋っていないのだ。
しかも、渋めの声なのだから、驚くなって言う方が無理な話である。
まぁ、言葉自体は短いので、喋れないのではなく、単に寡黙な人なのだろう。
いや、もしかしたらコミ症なのかもしれない。
「そ、そうですか…では、これで失礼します…。」
「おう、それじゃまただ。」
最後の最後に吃驚する事があったが、最終的には二人に見送られる形で僕は宿屋へ帰っていくのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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