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「みなさん、こんばんは…『モブ』です。」
ギョフさんと一緒に、お仲間さんの所へと来た僕は、席に座ってる三人組と顔を合わせた。
なお、三人組の内、二人はギョフさんと同じく良い人みたいだが、真ん中に座っている一人は、良い人に見えなかった。
何はともあれ、元々、よろしくするつもりがないので挨拶は最低限だけにした。
「ふむ、話には聞いていたが、こんな若造が、例のアレを扱っていたか…。
それで、こちらが言った数はあるんだろうな?」
こちらが売りたいと言った訳でもないのに、何故か上から目線で言われてイラッとする。
そもそも、こちらはまだ『売る』なんて一言も言っていないのだが?
「お、おい!なんで、お前は、そんな口の聞き方してんだ!
すまねぇ、兄ちゃん…こいつ、普段はこんなじゃないんだが…。」
「黙れ、ギョフ!あんな物を、こんな若造が売ってるんだぞ!
その利益を独り占めしてるってのに、お前は何とも思わないのか?」
「そ、そりゃ、何とも思わない訳じゃないが…だからって、その態度は違うだろ!
それに、俺達は兄ちゃんは、売って貰う立場なんだぞ!」
その言葉を聞いて、傲慢な態度を取るオッサンの両端に座っているオッサン達もフォローに入る。
「そ、そうですよ…アレは、この兄ちゃんしか扱ってないんですよ?」
「それなのに機嫌を損ねては…ここは一つ、ピンハネさんが大人の対応を…。」
「はぁ?何で、この俺が、こんな若造の顔色を窺う必要があるんだ?
そもそも、アレは俺みたいな貴族御用達の商人が扱うのが相応しい商品なんだぞ!」
あぁ、そう言う事か…確かに、トイレットペーパー良い物だ。
そう言う意味で言えば、アレは傲慢な貴族達が使うに相応しいとさえ言えるだろう。
もっとも、だからと言って、はいそうですか…と言う気は、さらさら無い。
「まぁまぁ、僕も、売らないとは一言も言ってません。
ですが、アレに関しては在庫がもう殆どない状態でして…。」
在庫どころか、現在、手持ちはゼロである。
必要な分は、その都度、〖レプリカ〗で創っているのだから、当然と言えば当然か。
「何だとッ!それでは数が揃えれないと言うのかッ!!」
「あ、いえ…数はギリギリありますが、その…お値段がですね…。」
その言葉を聞いて、ピンハネの顔が歪む。
「………幾らだ?」
「はい?」
「幾らだと聞いているんだ!!」
「そ、そうですね…一つ、金貨一枚だとして、全部で金貨百枚ですか?」
腹がたったとは言え、百倍の金額は、流石に吹っ掛け過ぎかな?
「何だとッ!!ギョフが売っていたのは銀貨一枚だったと言う話ではないかッ!!」
「えぇ、確かにギョフさんが売ってたのは、そうですね…。
ですが、ギョフさんには『不要な在庫』を委託販売して貰ったから、その値段だったんです。」
委託販売は本当だが、不要な在庫ではない。
そもそも、委託販売と言っても、その中身は、こちらが決めた金額で売ると言う約束の元、僕から安く商品を購入し商品を売っていたのだ。
まぁ、それだけでも、ギョフさんは十分な利益が出たのだが…。
「ですが、残念ながら、既に不要な在庫に関しては、全部処分が済んでしまったのです。
今ある在庫は、既に卸す所が決まってまして…その分を、ピンハネさんにお売りするとなると、どうしても違約金が掛かってしまいまして…。」
「それで、一つ金貨一枚になると?」
「えぇ、残念ながら…。」
「ハッ!笑わせてくれるじゃないか!そんな高額な違約金など聞いたことがない!
だがまぁ…アレだ、俺も流石に鬼じゃない。
仕方がないから、一つ大銀貨一枚で買ってやろうじゃないか!」
「それでは、こちらが大赤字に…。」
こいつ、頭大丈夫か?確かにそんな高額な違約金は無いと思うが、だからと言って違約金が無い訳じゃないんだぞ?
まぁ、もちろん、真っ赤な嘘だから、違約金なんて発生しないのだが、あまりに酷い話だ…。
「なんだ?まさか、文句あるのか?
俺は商業ギルドのギルドマスターと知り合いなんだぞ?
つまり、俺に逆らうと、この街で商売出来なくなるんだぞ!」
「そ、それは困ります…。」
「なら、どうすれば良いか…分かるな?」
う~ん、流石に、ギルドマスターと知り合いだからと言っても、商売を出来なくするなんて事は出来ないと思うのだが…。
いや、こいつの事だから、ギルドマスターにある事無い事言いまくって、商売出来なくする事も考えられる…か?
よし、ここは、あの手で行くとするか…。
まぁ、失敗しても、こちらとしては痛くも痒くもないし…ね。
「わ、分かりました…では、一つ大銀貨一枚で…。」
「なら、金貨十枚だな?商品はいつ寄越せる?」
「えっと…それは今からでも大丈夫ですが…。」
「ふむふむ、ならば、今から俺の馬車に行ってアレを積んでおけ。
それと、先程、商品の数はギリギリ…と言っておったな?」
「え、えぇ…それが何か?」
「なに、その残りも俺が無料で引き取ってやろうと思ってな。」
「おい、ピンハネ!それはあまりに横暴だ!」
もしかしたら、このピンハネってのは、弱い立場の者には、普段からそんな態度を取っているのかもしれない。
「ギョフさん、も、もう良いです…。」
「す、すまねぇ…俺がピンハネなんかに言ったもんだから…。」
そう言うと、ギョフさんは僕の側までやって来て、頭を下げる。
「いえ、それに関しては大丈夫ですよ?
流石にピンハネの態度には腹は立ちましたが…それよりも、頭を上げてください。」
僕はそう言うと、他の人には聞こえない様に小さな声でギョフさんに声を掛ける。
「どうもピンハネは貴族に売りに行くみたいですが、その相手は分かりますか?」
「あ、あぁ…アイツをご贔屓にしてる貴族は、この街に一つだけだからな…。」
「そうですか…では、ギョフさん、後で僕の部屋に来てください。」
僕は、それだけ言うと席を離れ、ピンハネの馬車へと向かい、見張りの人へ商品を受け渡すのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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