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 今日は雨と言う事もあり、露店を開くのは無理だな…と諦めて、僕は街の散策をする事に決めた。

 とは言っても、流石に大金を持ったまま、街を散策するのはあまりよろしくないので、お金は商業ギルド(銀行)に預ける事にした。


 なお、銀行へ預けるお金は、所持金を日常生活する為の小遣いとして銀貨を三十枚(約三万円分)を確保し、残りの昨日稼いだお金とに分けた。

 元々、異世界でお金を使うのは殆ど無かったと言う事もあり、小遣いもそれなりに用意していたので、昨日の稼ぎから銀貨を数枚抜き取るだけで済んだのは僥倖(ぎょうこう)だろう。


「さて、まずは商業ギルドから…だな。」


 僕はそう呟くと、〖レプリカ〗を使い『傘(・)』を作り出す。

 よし、元々のスキルランクでも十分だったのかもしれないが、スキルランクが『D』にあがったからは分からないが、『傘』程度なら創るのは問題ない様だ。


 なお、この世界は危険がいっぱいな為、護身用に、こっそりと元の世界の銃を作ろうとした時は、スキル不足なのか創り出す事は出来なかった。

 もちろん、本物の銃もだが玩具の銃も不可能だったのである。

 もしかした、このスキルは単純な物しか創り出せないのかもしれない…と思いつつ、いつか創る事が出来たら良いな…と思ったのだった…。


†


 ザーザーと降り続く雨を、少し鬱陶(うっとう)しいと思いながら、僕は商業ギルドへと向かう。

 その過程で、ポーション屋の前を通ると、ポーション屋は閉まっていた。


「アレ?今日はポーション屋さん、休みなのかな?

 まぁ、今日は雨だし…そんな気分じゃないのかもな…。」


 と、勝手に自己完結しながら、ふと、ある事に気が付いた。


「…これって、急にポーションが必要になったら、どうするんだ?」


 店が閉まってると言う事は、誰も買えないと言う事。

 まぁ、中に人がいれば、緊急事態だからと扉を叩きまくれば開けてくれるかもしれないが、中に人がいなければ?と、少し怖い思考に落ちる。


 そんな事を考えながら、僕は徐(おもむ)ろに、肩掛け鞄に手を入れると、〖レプリカ〗を使う。

 すると、鞄の中にポーションが創り出された。


「これって、やっぱりポーション…だよな?」


 鞄から取り出したポーションは、お婆さんが選んでくれた初級ポーションよりも少し濁った感じはするものの、どう見ても初級ポーションの様に見える。

 同じ要領で、解毒、解麻痺…それから、中級ポーションを創り出す。

 ただし、中級ポーションに関しては、スキルが発動した感覚はあったのだが、残念ながら創り出せなかった…。


「後は、ダメ元で…。」


 中級ポーションが創り出せないのだから、絶対に無理だと思うが、ポーション屋で見た例のアレ(・・・・)を創り出そうとして、スキルを発動させる。

 すると、中級ポーションの時と同じ様に、スキルの発動を感じた。


「うん、やっぱり無理だったな。」


 当然と言えば当然だ。

 中級ポーションが創り出せないのに、それよりも高ランクのポーションを創り出せる筈がないのだ。

 自分に何が出来るのかは、『トライ&エラー』で調べるしか無い。

 とは言え、無料(タダ)で初級ポーションとかの魔法薬まで創り出せたのには吃驚(きっきょう)(ビックリ)だった。

 なにせ、スキルで創り出したとは言え、品質が劣る物ではあるが初級ポーションが使い放題を意味するのだから…。


「まぁ、何にせよ、これは売らない様にしないと…だな。」


 百均よろしく、ワンコインの店で売る様な、マッチやトイレットペーパー等の日用品や、おにぎりなどの商品ならまだしも、ポーションの様な特別な物を売ったら、本職の人に多大な迷惑を掛けるのは必至だ。

 そうなれば、お婆さんに恩を仇で返す事になりかねない。


 もし、僕がポーションを売るのなら、自分の力でポーションを調合し、それを売る様にしなけば…と、心に決めたのだった…。

 なお、当然ながら、僕には調合する為の知識もなければ道具もないと気が付くのは、だいぶ後のはなしである。


†


 商業ギルドに着いた僕は、貯金をする為に、ウサミさんを探す。

 だが、ウサミさんは忙しそうに動き回っているので、声を掛けるのが憚(はばか)られた。


「う~ん…誰に言えば良いんだろう…。」

「あら?モブさん、どうしました?」

「うわッ!?」


 独り言の様に呟(つぶや)いただけなのに、直ぐ後ろから声がした事で、思わう驚きの声を上げてしまう。


「ちょっとちょっと、『うわッ!?』は酷いんじゃないですか?」


 と、振り向いた僕にミィさんが笑顔で言ってきた。

 う~ん、驚いた後だからか、どうも悪戯(いたずら)が成功して喜んでいる様に見えるのは僕だけなのだろうか?


「まぁ、何でも良いか…。」

「ん?何がです?」

「あ~、いや、気にしないで…。

 それよりも、ミィさんに聞きたいんだけど、お金を預けたいんだけど、どうしたら良いですか?

 ウサミさんにお願いしようと思ったのですが、忙しそうなので…。」

「え?昨日の今日なのに、モブさん、もう貯金するほど稼いだんですか?」

「どうなんですかね?銀貨五十枚程ですけど…。」

「銀貨五十枚程って、凄いじゃないですか!」


 そう言って、ミィさんは驚いてくれた。


「そ、そうですか?まぁ、確かに繁盛した気はしますが…。」


 ミィさんの反応に、少し嬉しくなってしまう。

 なお、銀貨五十枚と言えば、日本円で約五万円程の価値…だと思う。

 あくまで、体感的な感想で、全く違うかもしれないが、それほど間違ってるとは思えない。


「あ、えっと…貯金でしたね。

 でしたら、こちらへどうぞ。」


 ミィさんの声に反応した周囲の目が気になったのか、ミィさんは少し照れた様な仕草で、僕を案内する。

 若干、不安になったが、僕はその後を黙って着いて行く事にしたのだった…。

拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。

また、感想や誤字報告等ありましたら、励みになります。

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