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「へ~、やっぱりポーションにも色々な種類があるんだ…。」


 ミィさんに教えてもらった宿屋、『宿り木(やどりぎ)』に向かう途中、来る時には気が付かなかったのだが、僕の目に一軒のお店が目についた。

 いったい何のお店かと、興味本位に覗いてみたら、何とポーション屋だった。


 一言でポーションと言っても、その種類は多種多様で、シンプルに傷を回復させる回復薬から、毒を癒やす解毒薬、身体能力を一時的に上げる強化薬…などが当たり前の様に棚に置かれていたのだ。

 それと、薬にもランクがある様で、下級、中級、上級、最上級…と、ランクが上がる度に、金額も跳ね上がっていた。


「って、誰が買うんだよ、こんな高い物ッ!?」


 王都が近いと言うのもあるのだろうが、ダンジョン産『エリクシール』と書かれた小瓶がケースに入れられて展示されている。

 まぁ、エリクシールと言えば、馴染みのある言葉にすると『エリクサー』の事だと言えば、その性能は予想出来るし、その金額も白金貨百枚なんて書かれていれば驚くのも分かるだろう。

 なお、白金貨一枚、約一千万円となので白金貨百枚なら約十億円って事だ。


 僕にも〖鑑定〗スキルでもあれば、この『エリクシール』が本物か偽物か分かるのだろうが、残念ながら僕の持ってるスキルはハズレスキルとと呼ばれた〖レプリカ〗のみ。

 いや、正確に言うのであれば〖言語理解〗と言うスキルも持ってはいるのだが、その効果は文字通り言葉を理解して会話をしたり文字を書く事が出来るだけなので、ここでは除外しておく。


「おやおや、坊や、エリクシールを見るのは初めてかい?」

「あ、はい…今日、この街に来たんですが、遠くから出てきたばかりで…どれもこれも初めて見るものが多くて驚いてます。」


 店の奥にいた店主なのかな?僕が色々と見て回っていると、お婆さんが声を掛けて来た。

 まぁ、ただ見てるだけなら何も言われなかったのかもしれないが、驚いた所為で声をあげてしまったので迷惑だったのかもしれない。


「なるほどね…道理で、さっきからキョロキョロとしてた訳だ。

 わたしゃ~てっきり、不審者かと思ってしまったよ。」

「なッ!?違いますよッ!!」

「冗談だよ、それとも、本当に…。」

「いや、だから、違いますってば!」


 でもまぁ、田舎から出てきたお上りさんと考えれば、キョロキョロしてる動作が不審者に見えても不思議ではないが、いくら脇役(モブ)だからと言っても、流石に、その勘違いは勘弁してもらいたい。

 まぁ、お婆さんも本気で言っているのではなく、まるで悪戯(いたずら)が成功したみたいにニヤニヤと笑っているので、冗談を言ってからかっているだけだと思うのだが…本当に、冗談だよな?と少し不安になった。


「それで、坊やは何を探してるんだい?」

「あ、いえ…僕の地元には、ポーション屋なんてものが無かったので、つい珍しくて見てただけで…。」

「おや、そうだったのかい?でも、いくら田舎でもポーションくらいはあったじゃろ?」

「あ~、はい…一応、あるにはありましたが、僕には無縁でして…。」


 まぁ、この世界のポーションとは違い、栄養剤やエナジードリンクとかの事だが、それらをポーションと考えれば、嘘ではないだろう。


「そうかそうか、それはまた治安の良い所じゃったんじゃな…。

 じゃが、この街の周辺には魔物もよく出るでな、最低限のポーションは持って置いた方が良いぞ。

 そうじゃ、せっかくワシの店に来てくれたんじゃ、サービスするから、ポーションを買っていかんかえ?」

「え、あの、その…。」

「遠慮する事はないぞ、どうせ坊やも冒険者になるんじゃろ?

 そしたら、他の冒険者にも宣伝してくれるだけで良いんじゃよ。」

「そ、そうなんですか?」

「なんじゃ、なんか煮えきらん坊やじゃな…大丈夫かいな…。

 まぁ、心配せんでよい、わしがちゃんと見繕ってやるわい。」


 お婆さんはそう言うと、適当にポーションを集めて、袋に詰めていく。

 って、まだ僕は買うなんて一言も言ってないんですが?

 そうこうする内に、お婆さんはポーションを袋に入れ終わってしまう。


「ほれ、出来たぞい。」

「あ、いや、僕はまだ買うとは…。」

「そうじゃな、全部で(しめて)銀貨二十枚じゃな。」

「…えッ?銀貨二十枚で良いんですか?」

「なんじゃ、銀貨二十枚では不服かの?」

「い、いえ…でもそれだと、かなり赤字になるんじゃ…。」


 最低ランクのポーションでさえ銀貨十枚と書いているのに、大赤字になるんじゃないだろうか。


「なに、気にせんでええ、わしからの餞別みたいな物じゃよ。

 その代わり、宣伝は頼んじゃぞ?ついでに袋もサービスで付けてやるわい。」

「は、はい、ありがとうございます!」


 僕はそう言うと、代金の銀貨二十枚を、お婆さんに払う。


「まいどあり、これからもご贔屓(ひいき)にしておくれよ?。」

「はい、こちらこそ。」


 元々は買うつもりはなかったのだが、あまりの金額の安さに、つい、つられて買ってしまう。

 いや、この場合は、買わされた…と言うべきだろうか?

 だが、このお婆さんのチョイスは的確で、それだけ持っていけば十二分に大丈夫と思えるラインナップだ。


 下級ポーションが二つに、解毒、解麻痺、それ以外にも何か数点、使えそうなのを入れていたのを僕は見ていた。

 最初の下級ポーションだけでも銀貨二十枚は超えると言うのに、『そうじゃ、ついでにこれも入れておくかのう…。』と、こっそり中級ポーションを一つ袋の中に入れていたのだ。

 それを見ていた所為か、あまりの金額(やすさ)に、つい買う事を承諾してしまった。


 それと、お婆さんも言っていたが、僕も男だからか…冒険者と聞くと、やはり憧れるものがある。

 商業ギルドのミィさんも冒険者が…と言っていたし、お婆さんには、僕がはしゃいでいたを見破られていたのかもしれない。


 冒険者…か、正直な話、〖レプリカ(スキル)〗を上手く使い、ひっそりと商人として生きていこうと思ったが、冒険者として生きていくのも、ありかも…と思いつつ、僕はお店を後にするのだった…。

拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。

また、感想や誤字報告等ありましたら、励みになります。

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