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猫を思わせる獣人のお姉さんに案内されて、受付とやってきた僕…正直、その後姿に興奮が収まらない。
とは言っても、エッチな意味ではなく、あのモフモフに埋もれて癒やされたいと思ってるだけある。
これに関しては、僕が変な性癖じゃないって事は、同じモフラーであれば気持ちは分かって貰えると信じたい。
なお、その受付には兎系の獣人の子供?…が座っていた。
まぁ、席を挟んで反対側…つまり、職員側に座っているので職員には違いないだろうけど、こんな子供が職員なのだろうか?
「ウサミちゃん、こちらのお客様が相談したい事があるらしいの、今、対応出来るかしら?」
「あ、ミィさん、今ですか?もちろん大丈夫ですよ。」
「なら、お願いするわね。
では、お客様、こちらの方で相談なさってください。」
異世界に来てゴミ扱い同然で追い出された僕に対し、お客様…とは少し照れる。
ここでも丁寧な対応をされるのは、元の世界でも経験した事がない。
まぁ、今までも、これからもモブな僕にとっては場違いな感じである。
「あ、ありがとうございます。」
結局、ここまで案内してくれたにも関わらず、僕は気の利いた台詞も出ず、お礼を言うだけしか出来なかった。
とは言え、そんな事は、これからする相談事に比べたら些細な事で…僕は気合を入れ直すと、用意されている椅子に座り、ウサミと呼ばれた少女へ視線を向けるのだった…。
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「本日、担当させていただくウサミと申します。
先程、ミィから相談があると聞きましたが、どの様な要件で御座いますか?」
「え、えっと…なんて言ったら良いのかな…。」
うさ耳少女は僕が椅子に座ったのを確認すると、先程とは打って変わって、大人びた対応を始める。
そのギャップに、少し戸惑ってしまうが、やはり幼くてもギルド職員と言う事なのだろうか?
「フフ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?別に取って食べたりしませんから。
それと…こう見えても、私は二十二歳…先程のミィさんよりも二つも上のお姉さんですよ。」
「……えぇぇぇ?そうなんですかッ!?」
「はい、みなさん、私の姿を見て子供と思う人が多いみたいですが…。
自分でも、こんな姿では、子供と思われるのは仕方がないかな~?って思うんですけどね…。」
そう言うと、ウサミさんは少し離れているミィさんを見つめ、自分の胸に当てた手を見つめた。
「あの、その…すいませんでした。」
「いえいえ、もう慣れっこですから、気にしないでください。」
「そ、それでも、すいませんでした!」
ウサミさんは何でも無い事の様に言うが、それでも少し悲しそうな表情を一瞬だけ見せたので、本当は気にしているのだと思う。
ならば、こちらもそれ相応の態度で応対しなければいけないと思う。
なお、ウサミさんが自分よりも年上と分かったので、ちゃん付けはやめた。
「クスッ…いえ、本当に大丈夫ですから。
それでは、改めまして…ご相談したい事とは、どの様なご要件でしょうか?」
「あ、はい…実は、ですね…。」
僕はウサミさんに、お金が小銭しか無い事、街の中に入るのにお金を借りた事…そして、ランスさんが売れるかも?と言っていた『おにぎり』について話をする。
そして…もしも、売れるのであれば、商業ギルドに登録して、商人として活動したいと言う事も…。
「そうですか…ですが、そう言う話であれば、ここではなく奥の部屋で話をされた方が良いかもしれませんね。」
彼女はそう言うと、受付ではなく個室…奥の部屋で相談した方が良いと勧めてくる。
まぁ、確かに、この手の商売には企業秘密と言う物があり、秘密にする事が多くあるものだ。
そして、奥の部屋へ移動すると、僕達は更に話を続け…。
「なるほど…それで、これがその『おにぎり』なんですね。」
「えぇ…もし本当に売れるなら、売りたいと考えています。」
ランスさんの言う通り、『おにぎり』が売れるのならば…と、新たに『おにぎり』を追加してサンプルとして提出している。
ちなみに、ラインナップは塩サバ、鮭、昆布、ツナマヨ…そして、イクラである。
本当は、梅干しもあるのだが、異世界で受け入れられるか疑問だったので出してはいない。
「もしよければ、食べてみますか?」
「え?よろしいのですか?」
「はい、実際に食べてみないと判断出来ないと思いますし…。」
「…確かに、そうですね…では、どれか一つを…。」
なにぶん、彼女にしてみれば初めての物だったみたいで、どれが良いのか分からないみたいだ。
って、今更ではあるが、この世界に召喚された時に、どう言う原理なのか言葉は通じているのだが、文字についてはどうなんだろうか?
もしかしたら、読めないのではないだろうか?
「あ、あの…『おにぎり』に書かれてる文字って、他国の文字なんですが読めますか?」
流石に、異世界の文字と言うのは、トラブルの元だと思うので、他国の文字と誤魔化しておく。
「あ、これ文字だったんですね、てっきり模様か何かかと思ってました。
ちなみに、なんて書いてあるのですか?」
「えっと…そうですね、コレが塩サバで…。」
細かな説明は省くとして、具材の名前だけを読み上げていく。
ただし、どれも馴染みがない言葉なのか、少し困り顔だ。
まぁ、言葉が通じていたから気が付かなかったが、異世界なのだから、同じ名前の物があると考える方が間違っているのかもしれない。
「う~ん…どれが良いのでしょう?もしよろしければ、選んでもらっても良いですか?」
「えぇ、それは構いませんが…。」
結局、どれが良いのか分からなかったみたいだ。
何はともあれ、彼女に合いそうなのは…これかな?
「えっと…イクラの『おにぎり』で良いですか?」
「えぇ、それで構いません…ですが、どの様にして食べれば良いのでしょう?」
「あ、気が付かなくてすいません…。
えっと、ここに食べ方が書いているのですが…。」
と、他の『おにぎり』を持つと、包装を剥がしていく。
ウサミさんは、それを見ながら真似をして、見事に完成させた。
なお、海苔が破れ、欠片が包装に残っているのはご愛嬌…あるあるだった。
「あとは、こう…パクリと…。」
「こう…ですね。」
『パクッ…パリッ!』
「もぐもぐ…もぐもぐ…あぁん!このプチプチと弾ける食感、そしてあふれる塩気。
そして、このパリパリとした黒い物。
口の中に広がる磯の香り…それらが交わるハーモニー…こんなの食べた事がありません!」
「えっと、美味しい…ですか?」
「はい、美味しいです!」
〖レプリカ〗のランクが低い所為で、低品質の物しか出来ない筈なのに、何とも高評価である。
ランスさんの反応から、もしや…と思ったが、もしかしたら、この世界の食文化は、低いのかもしれない。
それならば…この力を使えば、何とかこの世界で生きていく事が出来るのでは無いか…と、思ったのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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