第30話 イベントを終えて ─ Side・レナ
「お疲れ様でした~」
「お疲れ様っ!」
「お疲れ様でした」
「疲れた」
「ちょっとルカちゃん~。もたれかからないでよぉ……」
リリイベ終わりの私たちは、会場から少し離れたファミレスでちょっとした打ち上げをしていた。
イベントが終わったあとはいつもこうして、お疲れ様会のような感じでご飯を食べて帰るのだ。
「初めてのセンターでも、レナらしかったんじゃない? 色々な意味で緊張してただろうに」
「あはは……。ステージに上がっちゃえば意外と集中できて気にしなかったかな」
「レナは職人っぽいとこあるからな~」
「あのスイッチ入ったレナちゃん、わたし好きだなぁ」
肩にもたれかかるルカさんのことを、サクラコさんは諦めたらしい。
ルカさんは力の抜けきった顔で、ひたすらにポテトを食べている。
「それにレナはあの写真以降、本当にファンが増えたよね」
「嬉しいけど、あの写真ってかなり盛れてるやつだからなぁ……。自撮りでもなかなかだよ?」
「普段だってほぼメイクに頼ってないんだから、堂々と誇るところでしょうにっ!」
「さすがは百年に一人の美少女」
「その呼び名はやめてください……!」
自分の写真がネットでバズるなんて、想像もしていなかったし。狙って注目を集められるわけでもないからこそ嬉しさはあった。
だけど、百年に一人の美少女って呼び名はなんかハードルが上がる気がして……。
それに、私だけ言われるのも納得いってないところがある。
「というか、アイドルなんだからみんなの顔だって良いじゃん!」
「そう言われると……」
「肯定すると自分も含まれるから恥ずかしいところね……」
「あはは~」
「もっと自信を持って。私はみんなの顔も好きなんだから」
そもそも、私が百年に一人なんだったら、みんなは何万年に一人の美少女になってしまうんだ。
「急な告白ね……。まあ、ありがたく受け取っておくわ」
「美少女からの告白は、私たちしかもらえないからね」
「というか、百年に一人の美少女を否定した人が自信を持てって言っちゃう?」
「うっ……」
そう言われてしまうと、私としては痛いところだった。
バズった写真が、リリアリを知るきっかけになれてるなら嬉しいけど……。
実際のライブ、ステージ上での魅せ方はみんなのほうが慣れていたりするし。
私としては、ファンの人にそういった姿を見てほしいのだ。
「わたしたちは可愛いんだ~!」
「急になに」
「サクラコさん、酔っぱらってます?」
「お酒はまだ呑めないよ~。来年にならないと~」
「そっか。逆に言うと、サクラコさんとルカさんは来年そんな歳……」
「おばあさんになっちゃうんだよぉ……」
「そこまでじゃないですよね……」
私たちは年齢も性格も、好みだってバラバラだ。
それでもここまで仲良くて、パフォーマンスに一体感があるグループは他にないんじゃないだろうか。
それこそ、百年に一組のグループだと胸を張って思えていた。
「来年のことよりも、まだ今年やることがある」
「ルカさんの言う通り! まだライブが残ってますから」
「十一月のライブねっ!」
もうすぐ九月も終わり、そして来月からは今年最後のライブに向けての本格的な練習が始まる。
ライブ本番は十一月の半ば。
すでにちょっとずつ叩きこんでいるけれど、およそ一ヶ月半かけて今年の集大成を作りあげていくのだ。
「それが終われば今年もおしまいかぁ……」
「まずは今年一年をしっかり駆け抜けられるように!」
「そうだね。みんなが全力を出しきれるライブになるといいな」
そうして、私の初めてのセンターでもあったリリイベは無事に幕を閉じた。




