↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の席の水無月さんが、ネットで話題のアイドルだった  作者: 結城ユウキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/48

第27話 ようやく伝え合える想い


「ありがとうございました~」


「ありがとね~」


 会場全体が熱狂に包まれる中、それでもミニライブは終わりを迎えてしまう。


 本当に楽しかったからこそ、時間が過ぎるのは早く感じて。

 周りの人たちも一緒なのか、メンバーが下がった後も会場内の熱気が収まることはなかった。


「ユイちゃん可愛かった~っ!」


「悠真、すごい叫んでたね」


「当たり前だろっ。次はいつこんな距離で拝めるか分からないんだからな。晴輝は初ライブどうだったよ?」


「すごく楽しかったよ! 変な感想かもだけど、本物だって思ってちょっと圧倒されちゃった」


「わかるっ! 生で見るとオーラ感じるよな」


 悠真の言ったことはなんとなく共感できた。


 初めて生でリリアリの五人を見て、とにかく目が離せなくなる何かを彼女たちから感じたのだ。

 最初のほうはただジッとステージで踊る姿を追いかけて、ペンライトを振ったり声を出せたのは最後の曲だけ。


 リリーアリスというグループが流行っている理由も、僕はしっかりこの身体で理解できた。


「ふぅ、めっちゃ盛り上がったなぁ~」


「うん、僕らが踊ってたわけじゃないのになんか体力使ったよ……」


 事前に悠真が予想してくれた曲が全て当たっていたから、僕も置いていかれることなくしっかり楽しめた。

 感想もじっくり話し合いたいけど、とにかく今は座って一息つきたい。


 そうして帰ろうとしたところで、悠真に引き留められる。


「おいおい、まだ終わってないぞ?」


「えっ。でも、さっきみんな下がっていったけど……」


 ただ、周りを見れば確かに誰も帰ろうとしていない。

 まだ何かあるのだろうか。この光景に疑問を浮かべていると、答えはすぐに返ってきた。


「メンバー全員のお見送りがあるんだよ! しかも、ハイタッチ付き!!」


「えっ、そんなのあるの!?」


「数秒だろうけど、レナちゃんとも話せるからちゃんと考えとけよ」


 ミニライブとしか聞いていなかったから、心の準備とか全く出来ていない。

 レナさんと話せる……。そう考えた瞬間、心臓の鼓動が早くなった気がした。


 それからステージには、スタッフの人たちの手で長机が運ばれたりして。

 その間に伝えたいことをまとめようとするものの、頭が思うように動いてくれず。


 僕の脳内が大変なことになっていると、五人がステージ上に戻ってきた。


「それじゃあ、お見送り始めま~す。足を止めずに一列で進んでくださ~い」


 スタッフの人のそんな合図で、前方の人から案内されていくのが見えた。


「いやぁ、めっちゃ緊張する。ってか晴輝、俺より固くなってね?」


「人生で一番緊張してるかも……」


「あははっ。晴輝を見てたらいける気がしてきたわ」


 ステージではベルトコンベアーのように、右から左に人が流されていく。

 悠真が言った通り、話せるのはほんの数秒だ……。

 そうして僕たちの番も次第に近づいてきていて、ステージに上る階段に足をかけるところまで来た。


 最初はルカさん。その後がサクラコさんで、次がレナさん。そしてユイさん、アカリさんと……。


 かいてるかも分からない手汗を、ズボンの裾で拭いてから。先に行った悠真に続いて僕も飛び込んでいく。


「ありがと。また来て」


「か、カッコよかったです!」


「ありがとねぇ~。これからも応援してね?」


「は、はい! また来ます!」


 ルカさんやサクラコさんが目の前にいるし、なんなら本当にハイタッチまで……。


 そして次は────



「ありがとうございます」



 目の前には両手を小さくあげたレナさんが立っていた。

 本物だ……綺麗な顔……。いや、そんなことよりも口を動かさないと。次はいつ伝えられるか分からないんだから。


「えっと、歌声が好きです。ソロ曲もよく聴いてます……!」


「嬉しいです。また会いましょうねっ」


 ひとまず言いたいことはしっかりと口にできてホッとする……。

 真正面で見るレナさんはすごく眩しかったなぁ。


 だけど、間近で見たその特徴的で控えめな微笑みが────僕の頭の中で誰かの面影と重なった気がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。