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不思議な家  作者: 猫野沙子


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53話 花火、54話 ベタ

夏らしい掌編

53.花火


 今日は近くで大きなお祭りがある。そのフィナーレに毎年花火を打ち上げる。


 私は明るいうちに縁側にい草の座布団を並べて、軽くつまめるものを作った。飲み物を用意する頃には、友人と宅配のお兄さん、近所の子が数人やってきた。


 みんなで縁側に座って花火を待ちながら、大人たちはお酒を軽く飲みながらしゃべり、子供たちはうちの犬や猫、サボテンやラディッシュと遊んでいる。


 ――――ッドン!


 ふいに大きな花火の音。


 夜空に美しく花火が開いた。


 子供たちは遊ぶのをやめて、花火に歓声をあげた。大人たちも夜空を見上げている。


 私は、飲み物を追加しようと家の中に入った。縁側から少し離れたところに”夏の訪問者”が立っているのがかすかに見えた。


「縁側に座って見たら?」


小さく声を掛けて通り過ぎた。


 花火が終わると、子供たちは親御さんが迎えに来て帰っていった。宅配のお兄さんは、夜風に吹かれながら駅まで歩いて行くと言って帰った。


 友人が帰るとき、


「縁側に誰かいた?」


と聞いてきた。どうやら”夏の訪問者”に気づいたようだ。だけど私は、


「いいえ。気のせいじゃない?」


と答えた。友人は「きっとそうね」と言って帰っていった。


 みんなが帰った後の家は、祭りの後の寂しさが漂っていたけれど、縁側に”夏の訪問者”が座っているのがかすかに見えて、私は微笑んだ。




54.ベタ


 宅配のお兄さんが、配達先のペットショップで買ったというベタをプレゼントしてくれた。青いベタだった。


「金魚の側に置いてみると良いですよ。必ずとは言えないけど、もしかしたら敵だと思ってヒレを広げてくれるかもしれません」


と言って帰っていった。


 私は言われたとおりに、金魚の水槽の脇にベタが入った小ぶりな水槽を置いた。


 水槽を眺めていると、金魚がベタが気になったようで、ベタの方に顔を向けている。ベタはそれに気が付いた。


「わぁ、ヒレを広げたわ」


 金魚が長い優美なヒレを広げた。


 それを見たベタも見事なヒレを広げた。


 とてもきれいで、私はしばらく2匹から目が離せなかった。


読んでくださり、ありがとうございます。

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