49話 ハムスター、50話 個展2
迷子のハムスターの話と宅配のお兄さん視点の話
49.ハムスター
猫がハムスターを咥えて外から戻ってきた。慌てる私を横目に、ゆうゆうとハムスターを咥えたままテーブルにひょいっとジャンプして上った。
猫に咥えられたハムスターはもがいていたけれど、どうやら猫は傷付けるつもりはないらしく、私の顔をじっと見上げている。
「ちょっと、待ってて?」
私はちょうどよさそうな箱を見つけて、テーブルに置くと、ハムスターの体をそっと掴んだ。猫はようやくハムスターをはなした。ハムスターが逃げないうちに箱に入れると、私は猫を撫でてほめた。
「ハムスターを保護したのね」
猫はゴロゴロと喉を鳴らして、私の手に頭を擦り付けると、またどこかへ探検に出かけて行った。
ハムスターは飼ったことがなくて、どうしようか悩んだ。私は知り合いが多いお隣りの奥さんに相談した。
「うちの猫がハムスター拾ったんですよ」
「猫が?ハムスターを?」
「ええ。でも、私、ハムスターを飼ったことがなくて。どなたかハムスター欲しい方知りませんか?」
奥さんが思案しているところへ、男の子が帰ってきた。
「ただいま!あ、おねーさん、こんにちは!」
「おかえり」
「こんにちは」
「ケンタのやつ、ハムスター連れてきて逃げられちゃったって泣いて帰ってさ。バカだよな」
隣の男の子がそう言いながら、靴を脱いだ。私と奥さんは顔を見合わせて、頷いた。
「ケンタ君呼んできて!」
ハムスターは無事にケンタ君の元へ帰った。うちの猫はおいしいおやつをもらって、満足げに二股のしっぽを揺らしていた。
50.個展2
変な家に宅配に行った。仕事で行くのは久しぶりだったから、なんだか変な感じだ。インコに挨拶しつつ、チャイムを鳴らすと、すっかり友人として馴染んだ女性が笑顔で出てきた。
「お荷物です」
「ありがとう」
「この前、妹さんの個展に行きました」
「あら、ありがとうございます。あの子、狸と狐ばかりでしょ?」
女性が少し苦笑した。確かに、狸と狐が9割以上を占めている。でも、少しだけこの家の中の不思議が描かれているものがある。俺はそれが見たくて行ったのだ。
この前の個展で出されていたのは、この家の蝶々とサボテンだった。サボテンがあんなに幻想的になるなんて、すごいと思う。
それを言うなら、狸もだけれど。妹さんがモデルにしている狸を見たけれど、とてもあんな幻想的な絵になるような雰囲気はなかった。狐の方は納得したけど。
「狸と狐がほとんどでしたけど、この家のサボテンと蝶々もいましたよ」
そう言ったら、女性は驚いたような顔をした。
「私が行った時は、狸と狐だけだったわ」
二人で首をひねった。インコは「イモウト、イモウト」と楽しげに繰り返していた。
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