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不思議な家  作者: 猫野沙子


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37話 扇風機、38話 訪問者

暑くなった夏、夏の訪問者

37.扇風機


 猫の調子が悪そうだったから、動物病院へ連れて行った。


「最近暑いから、夏バテですね。薬を出しますが、出来るだけ涼しくしてあげてください」


 動物病院の先生は、物珍し気に猫の二股になった尻尾を触りながらそう言った。


 家に帰ると、私は悩んだ。うちには扇風機しかない。扇風機の風は涼しいから、エアコンと言う選択肢はなかった。


「エアコン、買おうかしら」


 室温は28℃。扇風機の風に当たれば涼しいけれど、室温はあまり下がっていないようだ。


 友人を誘って、電気屋さんに来た。リビングだけでもエアコンをつけることにした。


「言われてみれば、エアコンなかったわよね。涼しいから気にしてなかったわ」

「扇風機の風だけで平気だったのよ」


 エアコンを買って、取り付けてもらった。ピッとリモコンを押すと、涼しい風が出てくる。友人が、風を循環させた方が冷えるというので、扇風機もつけている。けれど、いつもより風がぬるい気がした。


「もしかして、エアコンが冷やすから調整してくれたの?」


 そんな事を扇風機に言ったけど、知らんぷりして羽を回していた。




38.訪問者


 夏になると、窓辺に風鈴を下げる。うちにある風鈴は南部鉄器の風鈴だ。落ち着いたリーンと言う音を聞くと、夏が来たな、という気分になる。


 この風鈴を出す頃になると、訪ねてくる人がいる。


「今年も来たのね」


チャイムを鳴らすだけで、姿は見えない。けれど夏が終わるまで、気配がする。どうしてうちに来るのかは分からないけれど、秋めいてくるといつの間にかいなくなっている。


 調子が良くなった猫が、見えない何かに体をこすりつけている。きっと、ここでのんびりしたいだけの、誰か。

 



読んでくださり、ありがとうございます。

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