27話 帰省、28話 カラス2
夏季休暇で、地元の友人に会ったあの子
27.帰省
夏季休暇で久しぶりに実家へ帰った。実家でのんびりした後、幼馴染と遊びに行ったり、飲んだりした。
「なあ、お前んちの隣の家のおねーさん。覚えてるか?」
ふと、一緒に飲んでいた幼馴染が言った。忘れられるわけがない。俺を”異形の美”に目覚めさせるきっかけをくれた人だから。
「もちろんだ」
「俺、小さいころ、おねーさんとカラス助けたんだよ」
「そういえば、そんな事言ってたな」
「あのカラス、まだ俺に会いに来るんだ」
俺は頷きかけて、動きを止めた。
「冗談だろ?あれから何年たってると思ってる」
「20年以上だな」
「飼ってる、とかじゃないよな?」
「野生だぞ。飼うわけない。妻だって嫌がるさ」
「まあ、あの人の家で保護したならあり得るかもな」
俺は適当に言ったが、幼馴染は「それもそうだな」とあっさり納得した。
28.カラス2
子供たちが遊びに行きたいというので、幼馴染の一家と海に行くことにした。子供たちは仲良くなるのが早い。みんなでワイワイ楽しそうに波打ち際で遊んでいる。
妻は幼馴染の奥さんと気があったらしく、おしゃべりしながら子供たちを見守っている。俺と幼馴染は、軽食と飲み物を求めて海の家の列に並んでいた。
「あ、カラス」
目をやると、大きいカラスがいつの間にか俺たちの近くに降りて、こちらを見ていた。
「ほら。お前の分と、奥さんの分」
慣れたように幼馴染はどこからともなくナッツを取り出して、カラスに与えていた。カラスは心得たように、ナッツを一粒食べて、もう一粒はくわえてどこかへ飛んでいった。
「遠いのによく飛んでくるよ。途中でナッツ、落とさないと良いけど」
幼馴染の言葉に、俺は固まった。今のオマエんち、ここからどんだけ離れてると思ってるんだよ。
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