第8話 刷り込み
切りのいいところまで投稿します。お読みいただければありがたいです。毎日18時に投稿します。
その後はいつもの日常を過ごした。任務を行い、訓練し、恋人と仲良くする。そうやって何日か過ごした後、ふと模擬戦で遊んだ2人のことを思い出した。
「そういえば、あの二人、ユウとユアだっけ。最近来ないね」
「そうだね~、どうしたんだろ~」
「俺が聞いた話だけど入院しているって」マイがいった。
「そういえば戦闘機班の教官も休んでいるそうよ」ミィもいった。
「そうなんだ、どうしたんだろ」いつも突っかかってきてうるさかったが、いなくなると少し気になる。
「お見舞いでも行ってみるか」
「私らもついていこうか~」アイがいった。
「いや、みんなはそんなに面識ないだろ。一人でちょっと行ってくる」
PX(軍内での売店兼軽食屋)で花を買って医療室にいった。
「すみません。お見舞いに来たのですが」
「誰ですか、と思ったらヤタじゃないですか」安藤少尉がでてきた。
「お見舞いって誰の?」
「ユウとユアですが。最近会わないので聞いたら入院していると聞いたので、お見舞いに来たのですが。かなり重い病気なのですか?」
安藤少尉はびっくりした様子で、そのあと顔をじっと見つめてきた。
「それって冗談のつもり?」怒ったような声で訪ねてきた。
「ええっと、なんかまずいこと言いましたでしょうか」
安藤少尉は頭を抱えて怒った声で怒鳴った。「あんたのせいでしょうが!」
「えっ、私のせいですか?」
「この前の模擬戦であんた何をしたか覚えていないの?」
「何をって、普通に模擬戦をしただけですが」
「普通の模擬戦であんなになるはずないでしょう!二人とも完全に精神が崩壊し、廃人になったわ。戦闘機教官も精神に異常をきたし、薬が手放せない状況になった。どうやったらこんなことになるのよ!」安藤少尉は完全に切れた状態で喚いた。
「そんなばかな。すみません、二人に会わせていただけますか」
「面会謝絶よ!まして原因になったあなたに合わせるわけには……」
安藤少尉はそう言いかけて、何か考えるように黙り込み、話し出した。
「二人とも恐怖が限界まできたのでしょうね。なにをしても反応ないし、まったく動かない。排泄物もすべて垂れ流し、食事もとらないから点滴で対応しているけどそれも限界がある。ここまだと最悪の未来が予想できるわ。でもあなたに会わせて何か反応があれば、回復のとっかかりなるかもしれないわね」
そういうと、「こっちよ」といって中に入れてくれた。
あとについていくと、奥まったところにかぎの掛かった部屋があった。安藤少尉は鍵を開けると「ここにいるわよ」と一言言った。
中に入ると排泄物と汗のにおいがした。
2人はベットの上で上半身を起こした状態で、ぼーと前を見ていた。口からはよだれが、鼻からは鼻水が流れたままになっていた。
「ふたりとも元気……って状態じゃないな」
すると二人の視線がゆっくりこちらに向いた。そして「ううううう」と声を上げ始めた。だんだんその声は大きくなり、最後には手足をばたつかせながら叫び声になっていた「うああああああ」。
私は二人を抱き締めてこうい言った。「怖くない怖くない」二人は身をよじり私の頭を殴りつけ必死に逃げようとした。
「怖くない怖くない」といいながら頭と背中を撫で続けた。
そのうち、だんだん落ち着いてきた。最後には腕の中でおとなしく抱かれるようになった。
私は「怖くない怖くない」と言いながら、背中を撫で続けた。
そのうち二人はすやすやと寝てしまった。
二人をベッドに寝かせ毛布を掛けてやり、「また明日きます」と安藤少尉にいってその場を去った。
安藤少尉から言葉はなかった。
それから毎日通った。アイたちには状況を説明し、しばらく毎日通うことを伝えた。
恋人たちも本心はともかく了解してくれた。
私自身2人があんなになるなんて、何がまずかったのだろう、原因はわからないがなんとなく自分がわるいのだろうなという気持ちもあって、二人がある程度回復するまでは通うつもりでいた。ただ、悪いことをしたかもという気持ちはあるが、何の後悔も自責の念もわかなかった。
このことを安藤少尉に相談したら、「あなた、精神に異常があるわね」と言われた。
びっくりして声が出なかった。「あなたのことを調べたけど、この前の模擬戦、どう見てもあなた狂っていたわ。まるでつい最近まで戦場のど真ん中で殺し合いをしていて、他人の死も自分の死も日常になってしまい、人を傷つけることも自分が傷つくことも何も感じなくなってしまったみたいね。精神が壊れてしまっているとしか思えない。普段のあなたは普通に見えるけど、きっかけがあれば狂気があなたを支配するわ。そして自分ではそのことに気が付かない」
びっくりして声が出なかった。
「薬いる?薬でどうなる状態じゃないと思うけど」
「薬は結構です。もう治らないのでしょうか」
「時間をかけて愛する人々と交流していけば少しづつ改善するかもね。まあ、彼女さんたちに頑張ってもらいましょう」そう言って安藤少尉は話を打ち切った。
私は毎日通って、二人の世話をした。ご飯を食べさせたり、顔や手足を拭いてあげたり、時には抱きしめて頭をなでてあげた。
最初は抵抗したり、暴れたりしたがそのうち暴れることもなくなった。
抱きしめて頭をなでてあげると、目を細くして満足そうな顔をしていた。
二人は徐々に回復していった。安藤少尉もびっくりしていた。
ただ問題はどうも二人の中で私は「パパ」になってしまったらしい。
お見舞いに行くとものすごく甘えてくるようになり、「パパ、パパ」といって構ってほしそうにする。 どうも幼児退行しているみたいだ。いっしょにお絵描きしたり、積み木やぬいぐるみなどで遊ぶようになった。
そして帰る段になると、「パパ行っちゃヤダー」と泣くようになった。
そうやって通っていくうちにだんだんとよくなっていき、しばらくして退院できることになった。
幼児退行も収まり、普通の生活ができるようになっていた。安藤少尉は信じられないと言っていた。
しかし、私にべったりなのは変わらず、訓練が終わると私のところにやってきてずっとくっついて離れない状態が続いた。
アイたちが怒り出すのではないかとハラハラしたが、特に問題なく二人に接していた。
二人は私の娘としてとらえられているようだ。
というわけで、3人の恋人と2人の娘ができた。
お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。
星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。
読んでくださる方がいるようなので、せめて切りのいいところまでは投稿したいと思います。ブックマーク1つかPTが4以上付きましたら、もう少し続けようと思います。よろしくお願いいたします。




