第7話 戦闘
本日二回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
この船は、私以外すべて女であるため、いろいろ注目を浴びている。その注目の中には敵視する視線も混ざっていた。
「あんた修理屋のくせに生意気なのよ」いきなり絡まれた時にはびっくりした。「私たち戦闘パイロットのようなエリートと違って、ただ、なめくじのように艦の外壁をはい回っているくせにつぎつぎと女を作ってほんとイラつくったらない」
「そうよ、あちこちでいちゃいちゃして私たちの訓練を邪魔するなんて信じられない」
「失礼ですが、ええと、どちら様でしょうか」いきなり怒涛のごとく文句を言われて何が何だかわからず、とりあえず誰なのか尋ねた。
「私は戦闘機パイロット候補生のユウ」左サイドテールの女の子が答えた。
「同じくユア」右サイドテールの女の子が答えた。
へえ、戦闘機パイロットか、自分も戦闘機パイロットだったからな。独立戦争の主だった宙戦には参加しているし。
「へえ、戦闘機パイロットなんだ。すごいですね」そう返すと、得意そうな顔で「そうよ、私たちは軍の中でも選ばれた存在なのよ」とどや顔でいった。
ちょっとイラっとしたので、「ぜひ、一度お手合わせいただきたいのですが」と言ったところ、二人は 「「はぁ、あんたが?」」
「一応シミュレーターはクリアしているのですが」「ちっとかじったからっていい気になって、どのランクまでクリアしたの?あんたのことだからCランクがせいぜいだと思うけど」ユウが言った。
「一応Aランクです」
「Aランク!嘘をつくんじゃないわよ。あんたなんかにクリアできるはずないじゃない」ユアが怒ったようにいった。
「うそじゃないですが、まあ所詮はシミュレーターですから。たいしたことないですよ」
「うー、わかったわ。一度もんであげる」「あとで泣き言言わないでよ」
というわけで、戦闘機パイロット専用の対戦シミュレーターで手合わせを行うこととなった。
この対戦シミュレーター、本来戦闘機パイロットの訓練生しか使用できないものなので、その精巧さに感動してしまった。
「おお、360度すべて見渡せてシステムも実機に合わせている。訓練センターのものとは段違いだな」
「そうでしょ。今回特別だからね。せいぜい少しはもたしてね。あんまり早く終わるとつまらないから」「そうそう」
「わかりました。それじゃはじめましょうか」
私は発艦するとすぐに全体を把握、おりよいことに小惑星帯を発見した。全速力でそこに突っ込むと、そのなかを高速移動しながら2人を探した。
2人は小惑星帯に突っ込んだ私を探して、その外側を飛んでいた。
「あはは、丸見え」
自分は相手の死角から飛び出し、立て続けにレーザー砲で撃墜した。
「うそ、なんで」「まぐれよまぐれ」「もう一回よ」
その後もいろいろにパターンで撃墜した。最後は発艦直後に回り込んで撃墜したら二人は、対戦シミュレーターから飛び出してきた。
「対戦シミュレーターじゃ実際に戦ったのと違うのよ」「実際に操縦した場合はこんなことできるわけないもの」「「こうなったら実機を使って対戦よ」」
「さすがに実機を使うのは許可が下りないでしょう」「「いいえ、教官に頼んでみるわ」」
本当に教官に頼んだらしい。実機での対戦訓練が認められてしまった。
久しぶりの戦闘機である。自分は操縦席に座り、操縦レバーの握りを確認した。
そのあと、機体の様子を確認した。一応整備はされていたが、周囲の整備兵の見る目は冷たい。どうも敵認定されているようだ。
その代わり、ユアとユウはみんなから叱咤激励されていた。
対戦方法は、あらかじめ決められたポイントまで離れた後、お互いに攻撃を開始、撃墜判定されたら負けというルールである。
先に自分から発艦、久しぶりの発艦Gをうけ、すぐに指定ポイントまで移動する。
さて、戦闘開始だ。敵はどこか。高速で移動をしながら敵を探す。
敵戦闘機発見。敵機発見の旨を指令所に通信を入れ、敵に迫る。レーザー砲発射、しかしレーザーが出ない。模擬ミサイルは、動作せず。すべての武装が使えなかった。
おもわずに笑い出してしまった。
ヤマト独立軍の戦闘要綱では、故障又は帰還不能の損害を受けた場合、降伏することは許されず、敵に特攻することとなっている。私は狂気に身をゆだねながら接触防止の安全装置を解除し、敵戦闘艇に突入した。
2機殺らなくてはならないため、1機目は操縦席のある機体上部を掠るように飛んだ。操縦席をかすめ、操縦席上部を破壊すると1機目は機能を停止したため、次の獲物に向かった。2機目の後ろを取ることができ、そのまま突入の姿勢を取り、すぐ後ろまでせまった時、通信がはいった。「これは模擬戦だ!突入をやめろ!」副長の叫び声だった。
あっと、我に返った。これは模擬戦だった。すっかり独立戦争での戦闘中の意識になってしまっていた。急いで機体を上にあげたが大きく掠ってしまった。
2機目も機能停止。
久しぶりの戦闘艇の操縦で、完全に意識がヤマト独立軍時代に戻ってしまっていた。戦争中の毎日のように続いた殺し合いの生活は、私自身の性格にも影響があったようだ。我ながら戦闘に狂気に包まれていたことを自覚した。
正気に戻った私はかぶりを振って、搭乗機の状態を確認した。
機体は損傷しているもののとりあえず動く。これならば自力帰投は可能である。
着艦すると3人の恋人たちが迎えてくれた。「すごかったね~、私って初めて模擬戦見たけどすごい迫力だったね~」「ほんとびっくりだ」「すごかったですわ」
苦笑いしながら整備兵を探した。そうしたら、遠巻きにみながら少し震えていた。「すみません。機体を壊してしまいました」
「いえいえ、大丈夫です。」震えながら整備兵のリーダーらしき人が答えた。
「じゃかえろうか」「「「うん」」~」
戦闘艇訓練指令室にて
時間は訓練開始時に戻る。
副長の安田大尉はいった。「おい、大丈夫なのか?」
「訓練生とはいえ、二人ともパイロットとしての訓練は十分に受けている。それにユウもユアも訓練生の中では1・2を争う技量の持ち主だ。何の心配もない」戦闘艇班の教官である市村大尉は答えた。
市村大尉は負傷により第一線から外れ、教官をしているが、実戦経験もあるベテランパイロットでヤマト連邦軍でも5本の指に入る技能を持っている。
「ちがう、ヤタのことだ。」
「ああ、あの男の逃亡者君のことか?大丈夫だ。二人とも素人に本気にはならないよう言ってある」
「しかし、あいつはシミュレーターではAランクまで終了しているのだぞ。なめてかかるとまずいのではないか」
「実際に機体を動かすのとシミュレーターでは全く違ってくる。シミュレーターで優秀だからと言って実際に戦えるとは限らない」
「そうか」副長は自分を安心させるようにうなずいた。
「ヤタ発艦する」「ユウ発艦します」「ユア発艦します」
「ほら始まったぞ。ヤタはどのぐらいもつかな」
ヤタとユウ、ユアは当初ポイントに散っていった。離れたポイントに分かれた後、両者で疑似戦闘を行うことになっていた。
「ヤタがはやいな」市村大尉は言った。
「こちらヤタ、敵機発見、これより攻撃す」
「ユウ、敵機がくるわ」「わかっている。迎撃開始」
「レーザー、ミサイルすべて故障、これより特攻す。ヤマト独立万歳!」ヤタから無線がはいった。「うふふふ、あははははははははは」狂ったような笑い声が続いている。
「ちょっと、え、なに突っ込んでくる!うそ、あああああああ!」「ユウどうしたの?大丈夫って、ちょっとこっちに向かってくる!」
「敵後方に密着、我突入す」「やだ、うそ、なんで、どんどん迫ってくる。いや、いやー」
「市村大尉!」副長は叫んだ。市村大尉は硬直して動けなくなっていた。
急いで無線をひったくり、叫んだ。「これは模擬戦だ!突入をやめろ!」
「キャー!」「ユア訓練生大丈夫か。おい、返事をしろ。おい」副長は怒鳴った。
モニターを確認すると、2機ともコックピット周りが吹っ飛び、操縦士が露出している状態だった。操縦士自身に損傷はなかった。かえって一番ひどいのはヤタ機であちこちが破損し、原形をとどめていない状況になっていた。
「直ちに3名を回収しろ。」「はっ。」
「こいつ狂ってる。」誰かがつぶやいた。
指令室は、沈黙につつまれた。
「ありえない。こんなことはあり得ない。」市村大尉はつぶやき続けた。
「市村大尉を医療室へ」副長はいった。
「ヤタ、お前はいったい何者なんだ」副長はつぶやいた。
「ユウ、ユア訓練生回収しました。両名とも精神に異常をきたしておりますので、医療室へ搬送します」
「ヤタはどうした」
「自力で帰投して、原隊に復帰するため戻りました」
「何か精神に異常があるように見えたか」
「特に何もなく、恋人たちの出迎えを受けた後、整備班に破損を謝罪していったそうです」
「そんなはずはない。どうみても狂っていたぞ。ヤタを医務室に送れ。抵抗した場合制圧行動をしてもかまわない」「はっ」
医務室にて
楽しく模擬戦を終えた後、医務室に行くように命ぜられたので、素直に医務室に行った。
なぜか、屈強な兵士(全員女性)が10名ばかりついてきたが、医務室はてんてこ舞いの状況だった。
大場少尉が「調子はどうかしら」と聞いてきたので、「訓練があったので、少し疲れていますが、全く問題ありません」と答えた。
「空戦の経験があるの?」と尋ねてきたので、「シミレーターだけです」と答えたところ、
少しため息をついて「もういいわ。ありがとう」と言って開放された。
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