第31話 九頭家での歓迎と衝撃の出会い
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九頭家では、下にも置かないほどの接待を受けた。3家の長老衆が集まり、挨拶を受けた。美酒美食が用意され、楽しく過ごした。
宴会が終わり、何人かの老人たちと九頭明と話すこととなった。
「私が九頭家長老、九頭実です」
「私は一之宮家当主、一之宮正輝と申します」
「私は芦川和夫と言います。芦川家の総帥をしております」
「初めまして。九頭一史と申します」
「一史様は我ら一之宮家のご先祖様に当たるのですよ」一之宮正樹はニコニコしながら言った。
「えっと、そうするとあみ姉かまいの血筋ですか?」
「お二人共です。先ずあみ様が家を継ぎ、まい様がそのサポートをされる形で家を大きくされました。わが家は医療分野においてこの国一番の技術力と生産技術を背景に薬品、医療機器の分野においてトップの大企業となっております。そしてあみ様のご長男とまい様のご長女が結婚して、この家の2代目となり、その間の子が3代目を継ぎました。その3代目が私の祖父に当たります」と一之宮正輝が言った。
「えっ、つまり異母兄妹で結婚したということですか」私はびっくりして尋ねた。
「お二人とも、父親の名は絶対に明かしませんでしたからな。この家になかで秘密裏に伝えてきたのです」ニコニコしながら答えた。
この話を聞いて、赤面してしまった。
いや、言い訳にしかならないが、私は姉妹と幼馴染で仲がよく、「どちらかを一史の嫁にしないか」と父と一之宮のおじさんが話していた。
二人は私に対して好意を持っていたことは、鈍感な私も気が付いていたが、選ぶことができずそのままにしていた。
そして、私が徴兵される前に一度実家に戻った時、二人は私が寝ている布団に潜り込んできて、流されるままに関係を持ってしまった。
徴兵後も休みをもらうと、二人と過ごした。
このままじゃいけないと思いつつ、なかなか結論が出せず、そのうちサイパン沖の戦いの後、特攻要員として外部との連絡が禁止され特攻に出てしまった。ふたりとも俺の子供を産んでくれたのだな、ヤマト滞在中に墓参りにいかなくちゃな、と思った。
芦川は私の親友だった男の家だ。一緒に宇宙船のりになり、惑星開発公社に勤めていた。彼は、長男だったので当時から宇宙船の製造修理で大手企業だった芦川船舶を継ぐべく、戦争前に退職していた。
「さて、お聞きになりたいことは、なぜ九頭様が裏切り者扱いされたかと言うことですな」九頭実が口火を切った。
「はい、ぜひ知りたいです」私は身を乗り出して尋ねた。
「私が先祖から伝え聞いたところでは、桜花11式には重大な欠陥があったそうです」
「欠陥?」
「当時急いで制作したため、ナビゲーションシステムが未搭載だということはご存じ手すよね」
「はい、そのため、宇宙図と航行時間、速度、方向そして宇宙風の流れを読んで自分の位置を計算し、要塞に突入することになっていました」
「要塞に突入するまで、冷凍睡眠で酸素や食料、水や排せつ行為を節減しようという考えだったと思いますが、間違いないですか」
「その通りです。自動で要塞そばまで移動することになっていました」
「それが機能しなかったのです」
「えっ、と言うことは」
「そのまま出撃していたら、全員宇宙で迷子になっていたでしょう」
「どうしてそんなことに」
「普通、宇宙空間にて、冷凍睡眠で移動する場合はナビシステムが必須です。ところがこの機体を作成した会社は時間がなかったのもありますが、要塞の方向に打ち出せば、だいたいそのあたり就くだろうという希望的観測でそれを省略してしまったのです」
「そのことを漏れ聞いた芦川船舶は、軍部にその問題を追及したところ、軍部は慌てて11式を検証した結果、まともにたどり着けないことが分かりました。たどり着ける可能性は、出撃した桜花が1機要塞に辿り着けることを想定した場合、1憶分の一以下と言う計算結果が出ました」
「どうして……」
「このことを九頭、一之宮、芦川が軍部に追求し、すぐに特攻隊を呼び戻そうと働きかけたところ、失敗の発覚を恐れた軍部は敵に情報を漏らし、桜花を破壊させるとともに、乗組員の一人で軍の責任追及をしていた家の出身である九頭大尉を犯人に、そして軍部で評判の悪かった牟田を共犯としてマスコミに発表、さらに我々が余計なことを言わないようくぎを刺してきました。もし余計なことを言えば国賊として処分するぞと」老人は怒りに身を震わせながら言った。
「その後も、この事実の隠ぺいは軍部の中で続いていました。当時の状況で、この事実を発表することは軍の信頼を失わせ、国民の士気を下げる可能性があったことは理解できます。しかしながらその心配がなくなった後も引き続いて失敗の隠ぺいを図っていたことはもはや軍の責任逃れとしか言いようがないことです。今回、軍部の権威が九頭様に軍事的敗北をしたことで低下し、そのことで我々反主流派が政権を取ることができました。これでこのことを公表し、九頭様の名誉回復を図れます。200年耐えてきた我々の夢が、なんと九頭様ご本人の手で実現できました。ありがとうございます」
何と桜花の機体に欠陥があり、それが国民にバレるのを恐れて私に罪を擦り付けたことを知って私はびっくりした。
ただ、彼らが私の名誉回復をしてくれるという。私は彼らに感謝の意思を示した。
「いえいえ、これは先祖から申し伝えられている使命です。今日は遅くなりましたので、とりあえず我が家にお泊り下さい。寝室をご用意してあります」
「ああ、ありがとう。止まらせてもらいます」少し興奮気味の私は何気なく答えた。
風呂に入れさせてもらい、寝室に案内された。
風呂は大きく、木の香りがする素晴らしいお風呂だった。形式は200年前と同じだったので、宇宙船の風呂について話をすると、「それは貴重な水の使用を減らすためのもので、水資源が豊富で、ある一定以上のレベルの家であれば、200年前と同じ形式の風呂が用意されています」とのことだそうだ。
寝室に入ると、畳敷きの部屋で大きなベッドが置かれていた。ベッドの大きさは大人三人が余裕で寝られるレベルだった。
大きいな、これも客人をもてなすやり方なのかなと思いつつ、ベッドに入って明かりを消して、いざ寝ようと思った時、はたっと気が付きました。
ちょっと待て、もしかして夜伽か何か用意されているのかもしれない、今更ながらそのことに思い至った。
そんな非人間的な、いやでもアイ達の話からすると、人工の女が男に接触する機会はほぼないと言っていたし、志願者を募って本人が了承している可能性もある。
本当に来たらどうしよう、と悶々と悩んでいると、2人の女性がすっうと入ってきました。そしてベッドの中に潜り込んできて、私の体に触れました。
急いで飛び起きて電気をつけると浴衣を着た女性が二人、別途に座っていました。
「きみたち、どうしてこんなことをしたんだい。命令されたのかい」と問いかけると、二人は驚いたようにお顔を見て、少し怒った様子で、「一史、私のこと忘れたの」「そうよ一史君、お姉ちゃんさみしい」と言って僕の方ににじり寄ってきました。
よく見ると、見覚えがあります。
しばらく見ていてはっと気が付きました。「うそ、あみ姉とまいじゃないか!」驚きのあまり大声で怒鳴ってしまいました。
「覚えていたんだ。一史、200年ぶり」「妻の顔を思い出せないなんて、一史君薄情」まいとあみ姉は言いました。
「どうしてここにいるの?冷凍睡眠?」
「違うよ、この体は遺伝子データから人体に必要な材料をもとに形成したもので、知識はデータとして与えられたものよ。データ自体はなくなった直後に脳を摘出して、中の情報をデータ化したものだよ」とまいはいった。
「でもどうしてそんなことを……」
「一史君と会うためよだよ」
「でも私は死亡していることになっていたのではないのかい」私は疑問を口にしました。
「私たちは戦後すぐに戦場に行って、死体を漁ったのよ。搭乗員の死体の一部あれば、遺伝子検査で誰だかわかるからね」
「その結果、ほぼ全員の死亡が確認されたわ。ただ一人九頭一史を除いてね」
「いくら探してもなかったの。一史君が戦死していれば、何らかの遺物が残っているはずだから」
「だからきっと一史は生きていると思ったの」
「桜花も牟田大佐の分だけ部品も何も見つからなかったわ。牟田本人は自室で死体が見つかったから桜花に別の誰かが乗っている可能性があったの」
「実際、齋藤軍曹の死体は彼が乗っているはず以外の桜花から見つかったからね」
「それで、私たちは研究に研究を重ね、その時実用化できなかった技術は後世に託したの」
「今回あなたが見つかって、私たちはすぐに復活するため、動き出したの。私たちのデータは3家の屋敷の地下にある巨大電脳ネットワークによって維持されていたので、あとは体を作ればよかったの」
「ねえ、見てこの体、一史が最後に愛してくれた時の体を基準に作ったの」
「すこし、手を加えてあるからね、一史君の好みに合わせてバストも少し大きめにしてあるし、腰の括れも……」
「ゴホンゴホン、分かったから大丈夫」
「以上で説明終わりです。さあ、200年ぶりに夫婦生活しようね」
「今の時代、一夫多妻で問題ないから私たち二人とも妻にできるわ」
まずい、まずい、もう私には妻が6人もいる。このことをどう伝えようか。たしかこの二人、少し私に対する執着がきついところがあった。
他の女の子と話をするだけで、瞳孔を失った目で攻められたことがあったけ。ここで妻がいるなんて言ったらどうなるか。
「えーと、ちょっと待って二人とも。実は話さなければならないことがあるんだ」だらだらと冷や汗を流しながら言った。
「ああ、今いる奥さんのこと?」
「知っているの!」
「うん、一史の情報はすべて集めているから」とまいはニコニコしながら言った。
「それならわかるよね」私は少し安心していった。
「うん、その子たち始末すればいいんだよね」とニコニコしながらあみ姉が言った。
「ちょっと始末って何をするつもり!」
「私たちの夫を寝取った女が許せると思う?」
「大丈夫、女たちは許さないけど、その子供たちは私たちが面倒見るから」
「愛しい旦那様の血が入った子供たちだものね。それにこの人工の体は、妊娠出産ができないから丁度いいや」
やばいやばい絶対やばい、どうしようか、もういい、とこの場で死ぬ覚悟をした。
「二人ともよく聞いて。確かにあみ姉とまいを愛していたのは間違いない。ただ、それは200年前の話だ。二人とももうすでに死んだものと思っていた。今の妻たちはその200年前からやってきて、いろいろ戸惑っていた私を助けてくれた恩人だ。彼女たちを傷つけることは許さない。どうしてもと言うなら自爆して自決する」真剣な声で言った。
あみ姉たちのことだ。もし私が死を選んだとしても、脳から情報を引き出し、クローンを作って蘇生させることをやりかねない。データを取らせなければ、少しは脅しになるはずだ。
二人はじっとわたしを見つめていた。私も二人を見つめていた。
しばらくして「そんなに今の奥さんのこと好きなんだ」と、二人は詰め寄ってきました。
私はひそかに小型爆弾を持つと「そうだ」と答えた。
「姉さんどうする?」
「一史君は優柔不断だからね。さらに女の子に甘いし」
「私たち二人のことも選べなかったからね」
「今の子たちに情があるのだと思うよ。まあ、子供を作るぐらいだからね」
その後、二人でごそごそと内緒話をして、「分かった。今いる奥さんたちのことは認めるわ」「姉さんと相談して認めることにしたよ」と二人は言った。
「ありがとう、二人共」私はほっとして肩をなでおろした。
「だけど、私たちも妻にしてもらうから。いいね」「まさか嫌とは言わないわよね、一史君?」二人は、すごい圧をかけながら聞いてきた。
「外の子たちと仲良くできるならいいよ。喧嘩は無しだよ」
「分かったわ。とりあえず会って話をしたいと思うの」とあみ姉は言った。
「ああ、それは同然だよね。ミズホに帰ったら会わせるよ」と言って、「ああ疲れた。それじゃお休み」と言って、寝ようとしたら、がしっとつかまれ、「まさか寝ようなんて思っていないでしょうね」「200年ぶりに会ったんだよ。このまま寝ていいはずないよね」と二人が言って、襲い掛かってきた。
嫌じゃないけど今日は勘弁してくれないかなと思いながら、されるがままにむさぼられてしまった。
翌朝目を覚ますと、左右に二人が寝ていた。二人とも満足そうな顔をしていた。
まあ、いろいろあったけど200年ぶりに好きだった女に会えて嬉しかった。本人たちには恥ずかしくて言えないけどな。
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