第26話 ヤマトとのいさかい
今回の投稿は一旦終了です。お読みいただければ幸いです。
我々が、いつまでたっても約束を履行しないうえ、多くのヤマト人男性亡命者を受け入れていることで、ヤマト連邦として我々に最後通牒が出された。
男子の即時返還と幹部全員がすぐに投降すること、もしこの約束が果たされなかったらヤマトはミズホを攻撃するとのことだった。
これ以上ごまかし続けるのは不可能だとして、戦闘準備を始めた。
桜井コンツェルンから派遣されていた技術者たちはヤマトに帰るように言ったが、半数以上が残留を希望していた。
「夫と子供を置いてはいけない」ということらしい。
帰国希望者を帰すと、あとは敵の侵攻を待ち構えている状態だ。
軍備の拡充はかなり進んだとはいえ、正面から戦うことは酷力的にも戦闘力からしても無謀だと言えた。
よって次のような作戦を立てた。
デジマコロニーは別の場所に退避、人員はすべてサルガッソー内に収容する。サルガッソー辺境宙域にてゲリラ戦を行い敵を消耗させる。敵がトンネルを発見突入してきたら、トンネル内にはブービートラップを仕掛けておき、敵は狭いトンネルの中で攻撃を受け消耗させる。逃げようとトンネルから外れれば、サルガッソーの小惑星帯に入り込み、二度と出てこられない。
残った敵がトンネルの出口から抜けてくるところをミズホ軍の主力、戦闘艦「奈良」「東京」「長野」と空母「阿蘇」「磐梯」他のミズホの総戦力により、攻撃、せん滅する。
それでもその攻撃を抜けてきたら、桜花隊を発進させる。これは最終手段だ。
できればその前に撤退してほしいところだが、こればかりは何とも言えない。
以上が作戦だ。
目標は、ピトケアンに敵を入れないこと、敵の勢力を減少させること、再度の攻撃の意志を持たないぐらい消耗させることだ。ただ、実際に戦った場合、こちらの損害もかなりの者となり、私も戦死する可能性が高い。
私が戦死したら、アイに全指揮権が移譲されるように手続きしておこうとしたが、私が死んだらアイ達も生き残る気はないらしい。指揮権の移譲を拒否された。
エリーに全指揮権の移譲を受けてくれるよう頼んだら、しばらく黙っていた後、「わかりました。生き残った子たちを連れて、サルガッソーの深奥部へ逃れます。あなたが作った国をつぶすわけにはいきませんから」と言った後、「でも本当なら私もあなたと死にたいです。お願いだから死なないでください」と泣き出してしまいました。
宣伝戦も行った。ヤマト男子たちに反乱の呼びかけと、ヤマト連邦軍の兵士たちへのこの戦争の無意味さを知らせる宣伝を行った。
男の子たちには自由と自立の呼びかけを行い、妻たちへの反抗を呼びかけた。
この呼びかけに応じた男たちは、各種ボイコットやハンガーストライキ、脱走が頻発した。
ヤマト連邦軍の兵士たちに対しては、この戦争はミズホに逃げてきた男の子たちを取り戻すための戦争で、兵士諸君には何の関係もないのだぞ、逆に投降すれば、ミズホで亡命者として認め、男の子と知り合い、結婚できるかもしれないよ、という宣伝だ。
ヤマト連邦の下士官、兵は動揺していた。一部の下級将校もだ。彼らは人工子宮で生産されたものばかりで、ヤマトではクリスほどの差別はないが、やはり結婚のチャンスはなく、基本死ぬまで軍務につくこととなっていた。
それが名家と呼ばれる家系の女性に独占されていた男たちが、人工の者にも手が入るかもしれない。実際に人工子宮出身者が、男と結婚して子供を作っている事実を知らされ、ショックを受けているものが多くいた。
輸送船イチジク
「船長、SNSみました?」兵士の一人が言った。
「見た。どう思う?」艦長である少尉が言った。輸送船に乗っているのは、全て人工子宮から生まれた女たちである。
「信頼性は高いかと。人工子宮生まれでも結婚できるなんて思いもしませんでした」兵士の一人が興奮したように言った。
「私もそうだ」艦長はうなずいた。
「船長、いきますかミズホに」
「いま輸送船団の艦長たちで相談しているところだ。あっ、いまみんなの結論が出たそうだ」
10隻の郵送船団と護衛艦2隻は丸ごとミズホに投降することを決定した。
空母角龍内、航空兵詰め所
「あれってユウとユアだよね」航空兵の一人が言った。
「あの子たち突然いなくなったと思っていたらあんな所にいたのね」別の航空兵が続けた。
「旦那さんと仲良さそうね」航空兵の一人がうらやましそうに言った。
「ねえ、どうする」
「今同志を募っているわ。この船を占拠するのよ」
「それで、ミズホに行くのね」
「ええ、私たちの幸せのために」
多くの軍艦でそのような話がなされていた。
ヤマト連邦政府閣僚会議にて
ヤマト連邦の最高決定機関である連邦閣僚会議にて、彼らは頭を悩ませていた。
まず、名家からの苦情である。男たちで、逃走するものが頻出し、配偶者を失ったものが多くいること、残っている配偶者でも、一切の行為を拒否し、暴力で脅し付ければパンガーストライキや自殺をほのめかすものが頻発しているそうだ。
それまで反抗されたことのない名家の女たちは、大変戸惑い、直ちに問題解決をするよう政府に苦情を言うものが続出している。
更に政府を悩ましているのが、軍内部の動揺である。下士官、兵たちの統制が取れなくなりつつあり、将校たちの命令が行き届かなくなってしまった。
一部では、軍艦を乗っ取り、ミズホに行こうとして反乱を起こした者や、中には反乱を成功させてミズホに行ってしまった者も出ており、とてもまとまった軍事行動がとれる状況ではなかった。
「どうするか」連邦宰相が皆に尋ねた。
「一番いいのはヤマトに忠誠を誓えないやつらはすべて排除し、ミズホをつぶすことだ」一人の閣僚が言った。
「忠誠心の有無などどうやって計る?それに兵、下士官のいない軍艦など動かないぞ」別の閣僚が言った。
「ミズホをつぶすというが、数千のヤマトの男が逃げ込んでいるのだぞ。戦争となったら彼らも戦って多くの戦死者が出る。名家は果たして納得してくれるかな」宰相が意見をのべた。
閣僚は黙ってしまった。逃げた男を取り戻してほしいという陳謝は名家から多数来ており、もし彼らを殺せば、おそらく名家の連中は怒り狂って、我々を糾弾するだろうし、かなりの可能性で自身の政治生命は終わるだろう。
「相手が約束を守らなかったことを糾弾し、周辺国と経済制裁をしたらどうか」別の閣僚が言った。
「そんなもの誰も同調せんだろう。ミズホはクリス、イムとも国交を結んでいるし、友好関係も悪くない。ヤマト連邦が非難し、同調するよう求めたとしても無視されるのがおちだな」宰相は言った。
皆は黙ってしまった。そこで宰相は、軍の最高司令官である佐藤大将に聞いた。
「何か打つ手はあるか」
「ミズホが約束した内容を破るのが悪いのであって、この件について、約束を結んできた桜井姉妹に再度ミズホにいって、交渉に行かせましょう」佐藤大将は焦ったように言った。
宰相はしばらく考えたのち、「とりあえずそれで行くか。佐藤大将はミズホに使者を早急に派遣してください。あと、軍の掌握を行い、従わない者は、一時武装解除ののち、隔離する措置を行ってください」と命じた。
そして、思い出したように「今回のミズホの件について、解決できなかった場合、本内閣は総辞職することとなります。佐藤大将も予備役に入っていただくことになるでしょう」と付け加えた。
「はい、早急に対応します」と佐藤大将は冷や汗をぬぐいながら言った。
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もうしばらく第1章は続きます。近日中には再開いたしますのでよろしくお願いいたします。




