第22話 ヤマト連邦との2回目の交渉
すみません。今週はこれで終わりです。用意ができ次第、投稿を再開します。どうかよろしくお願いいたします。
桜井少佐たちが帰って、ヤマト軍が攻めてくる可能性が高まった。
とにかく、警戒を怠らないことと、軍備の増強が必要不可欠となった。
兵器の購入を進めつつ、桜花の製造を行った。男の子たちの中から志願者を募り、桜花特別攻撃隊を編成し、私が隊長となった。
ちなみに最初に我が国に来たヤマト人男子18人は全員が志願した。
皆には、私が一番に行くと伝えた。
もう一度桜花に乗るのか、思わず苦笑いをしてしまった。これが運命だったのかもしれないな。しかし今回は自分の意志で桜花に乗るのだ。この国はみんなで作り上げた国だ。絶対に守ろう。私はそう思った。
ヤマト連邦統合本部にて
佐藤大将はあきれたように二人を見ていた。「それで、何の戦果もなくすごすご帰ってきたの?」
「捕虜となっていた乗務員と一部の男の子を返してもらいました。現状では、これが精いっぱいです」良子少佐はいった。
「手ぶらで帰ってきていたら、あなたたち処分物よ。首の皮一枚つながったと思いなさい」鋭い目で睨みながら言った。
「あちらとこちらの条件が乖離していて、とても話し合いの土台に立てませんでした。あちらとしては、独立と、ミズホ国民となった者の保護は絶対に譲れない条件のようでした。我々としての選択は、この2点で妥協するか、それとも戦争かです」良子少佐は答えた。
「それを何とかするのが、あなたたちの役目でしょう。こっちの要求をのませることが必要なのよ。最初に言ったけど、こっちの条件は変更できないわ。さらに戦争もダメ」
「戦争はダメですか。しかし、それ以外に男の子たちを取り戻す手立てがありません」
「そんなことをしたら、男の子たちにも戦死者が出るでしょう。名家の方々から、非難轟々よ。軍の責任を問われるわ。それにいくら人工のクリス人と言え、彼女たちを殺したらクリス本国が何を言い出すかわからないわ。最悪、国際問題になるかもしれないじゃない」佐藤大将はそんなこともわからないのかとばかりに二人に言った。
「とにかく、もう一度や行って男の子たちを取り戻しなさい」
「それではミズホより決定権を持つもの以外受け入れない旨言われておりますので、我々を特使として、現場で条件を取りまとめる権利をください」良子少佐は訴えた。
「そんなもの与えられるはずがないでしょう。そもそも九頭率いる武装勢力は国家として認めていない以上、外交関係はもちえないのだから、あくまで個人としていかなくてはならないのよ」佐藤大将は、いらいらしながら言った。
「それでは、我々はそのまま追い返されてしまいます」良子少佐は訴えるが、「さっきから何度同じことを言わせるの。あなたたちは行って、私の言った条件を相手に飲ませること。それ以外に選択は無いの」とうとう佐藤大将は怒り出した。
「分かりました。それでは失礼します」と言って、敬礼ののち、部屋を出た。
「姉さんどうする?」幸江大尉は姉の良子少佐に聞いた。
「行っても間違いなく門前払いね。下手すれば逮捕されて捕虜にされるかも」
「いっそのことミズホに亡命する?そうすれば守君とも会えるかもよ」
「でも守は、私たちを捨ててクリスの子と再婚しているのよね。会っても無視されるか罵倒されるのが落ちよ」
「あんなに大切にして可愛がってあげたのに何が不満だったのかしら」
ふと、幸江大尉は思いついた。「大将閣下のおしゃるには、相手は単なる武装勢力で、国家として承認せず、条約を結ぶ対象にならないと言っていたわよね。ということは、あっちが条件をのんだような形で個人間の約束をしたことにして、放っておけばいいんじゃない」
「でも、そんな約束、相手は知らないというわよ。嘘だとばれたら、私たちも処分されるわよ」良子少佐が心配そうに言った。
「だって、相手は武装勢力、条約を結べないなら口約束しかない。それを相手が反故にしたと言えばいいのよ。というか、相手にもそのことを伝えて、協力してもらえばいいわ」
「九頭達怒り出さないかしら」
「相手にも何か利益があればいいのよ。細かく条件を詰めてみましょう」幸江大尉は悪い笑顔で言った。
幸江大尉は母親を通じて、交渉内容について国家として認めていない武装集団とどうやって条約を結ぶのか、また、今回を含め武装勢力との接触について、良子と幸江の立場どうなるのか、佐藤大将に確認を取った。
下手をすれば勤務中に勝手に離脱したことにされ、処分されるのは困ると強く主張した。
すると、「書類として残すわけにいかないから、あくまでメモとして残す形しかないわね。二人の出張については、最高会議で武装勢力への派遣について承認を取っているから、この件で処分されることはないわ」と言っていたことを母から知らされた。
「これで言質は取ったわ。あとは九頭大尉との交渉だけね」と悪い笑い方をしながら幸江大尉は言った。
「こんなことをしていいのかしら。それにばれたらどうなるの。というか最終的には絶対ばれるわよ。だって約束していないのだから」良子少佐は少しおろおろしながら言った。
「いくらでも言い逃れできるわよ。それに最悪の場合、ミズホに亡命すればいいだけ。ミズホは逃亡者と亡命者の国と言っていたでしょ。逃げてきた私たちを追い返すことはあの国の一番の成立条件を破ることになるから絶対にないわよ」幸江大尉は姉に対し、優しく説明した。
「本当にあんたって悪知恵がよく働くよね」半分関心、半分呆れるように言った。
幸江大尉はニヤリと笑いながら「それって誉め言葉?謹んで受けておくわ」と言った。
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