第21話 ヤマト連邦との戦いと交渉
毎日更新は難しかったみたいです。それでもできうる限り更新していきたいと思っています。お読みいただければ幸いです。
デジマコロニーから哨戒艇による探査と、電波傍受により、敵の接近が分かった。
ヤマトから120隻の戦闘艦がやってきたのだ。
我々は手持ちの戦力をすべて動員し、国土防衛に努めることとなった。
その時、少年たちから桜花の件を聞かされた。最悪の時は、これに乗って出撃したいと18人の署名の入った文書と添えられていた。
私は正直頭を抱えてしまった。特攻兵器など非人道的で、時代錯誤な兵器を用いる必要はないと私は考えていた。しかし、マイからの男の子達の気持ちを分かってほしいと説得されたのと、ミィの我が国の戦力分析の結果、桜花の存在がミズホ防衛上重要な地位を占めることを知らされた。
曰く、圧倒的戦力不足、少ない人口、低い技術力により、サルガッソーに攻め込まれたら終わりであり、その際、複合反応弾頭を装備した桜花により、敵の戦力を大幅に削ることができること、複合反応弾の起爆の難しさから人が操作する必要が不可欠であることが理由として挙げられた。
最後に男の子達からミズホを守りたいという決意を表明された。彼らの決意は固かった。
やむなく使用を認めることとしたが、実際の使用は最終手段とし、その際は私も行くことを伝えた。さらにミィの提案で、男の子たちのやっているブログに桜花の存在を大々的に宣伝し、抑止力にしようということになった。
ヤマトの艦艇が攻めてきた。ただ、調査によると数は多いが戦闘艦はフリゲート艦程度の艦艇ばかりで武装もほとんどなく、空母も派遣されておらず、少ない戦闘艇も武装はとても貧弱だった。完全になめられたなと思いつつ、少しほっとした。そちらの方がやりやすい、これはラッキーだと思った。
これならばサルガッソーの外で叩けると思い、現在手持ちの戦艦12隻、空母1隻すべてを使用し、そのうち戦艦6隻と空母1隻をサルガッソーの外に配置、残った戦艦はサルガッソーの小惑星帯のなかに待機させた。
戦略も何もなくても大丈夫とばかりに陣形を取ることもなく、烏合の衆のようにひとかたまりでやってきた。
まず一切の通信を遮断し、サルガッソーの小惑星帯から長距離レーザーとミサイルにて攻撃を行った。
油断しきっていた敵はいきなりの攻撃で多くの船が爆散、生き残った艦艇も混乱状態の中、次に親子ミサイルで攻撃を行った。
この親子ミサイルは、発射すると途中で内蔵されている小型ミサイルが四方に散って敵を攻撃する兵器である。
この攻撃で敵艦隊は半数以下に減少したうえ、大混乱に陥り、その直後、サルガッソーの外に配置した艦隊からも攻撃を開始、挟み撃ちにした。
降伏する旨通信があったが、それを無視。残存している敵艦は空母から桜井たちが搭乗した戦闘機を発進させ攻撃、一隻残らず破壊し全滅させた。その後残骸の回収に当たったが、生存者は誰もいなかった。
こちらは兵に死者はなく、軽症者数名出ただけだった。
これで5度目だが今回の大規模攻撃も含め、敵は文字通り皆殺しにしていた。みな軽武装の船ばかりでおそらく正規の軍艦ではないと思われる。
こちらの戦力が少ないことを敵に知られないよう一切手加減せずに全滅させている。しかしそろそろ正規軍が出てくるだろう。アキに言って情報を集めてもらおう。
この戦闘で、桜井たち18名は初陣を飾り、見事な戦いぶりを見せた。なので、全員を軍曹に昇進させた。桜井たちが喜んだのは当然だが、彼らの妻たちも喜び、他の亡命してきた男の子たちもやる気が高まったようだ。
それからしばらくして、1隻の非武装船がやってきた。
通信が入って、船に乗ってやってきたのはヤタの艦長の桜井涼子少佐だということが分かった。
おそらくヤマト政府の指示でやってきたのだろう。
急いで艦長のプロフィールを調べたところ、驚いたことに桜井軍曹の元配偶者らしい。桜井軍曹に聞いたところ、間違いないとのこと。
急いで彼に情報を提供してもらった。曰く、桜井少佐はかなり軍人らしい軍人で駆け引きは苦手とのこと。会いたいかどうか聞いたら「絶対に嫌です」と言われた。
デジマコロニーにて会うこととし、クリス人兵とエリーを連れていくことにした。戦艦もデジマコロニー周辺に何隻か待機させた。
デジマコロニーに一隻の輸送艇が付いた。輸送艇から2名が降りてきた。
「お久しぶりですね。ヤタ…いいえ失礼、九頭一史殿」
「艦長お久しぶりです。そちらは…」
「桜井幸江大尉、桜井良子少佐の妹です。軍事博物館で研究者をしています。お会いできて光栄です」幸江大尉は興奮したように近寄ってきた。
おもわずクリス兵が私の前に立ち、銃を構えようとしたのでそれを押しとどめて、一歩前に進み手を伸ばした。
「こちらこそ。よろしくお願いいたします」幸江大尉は興奮したように手を握って、握手をしてきた。
「ここで立ち話もなんですから応接室にご案内します」私は2人を促した。
私は二人を連れて応接室に向かった。周りにはクリス人兵が警戒に当たっていた。当然私にも複数の護衛がついていた。
「クリス人ばかりですね」良子少佐が話しかけてきた。
「この前の戦闘に参加した兵には休暇を与えていますから。ヤマト人兵は今回みな休暇を取っています」
「守…桜井守も戦闘に参加したのですか?」良子少佐はいった。
「桜井軍曹ですか?はい、戦闘艇のパイロットとして参加しています。彼は優秀なパイロットです」
「危険ではないですか?」
「軍人ですから」
「男を戦闘に参加させるなんて」
「私も男です」
良子少佐はごにょごにょと口の中で言っていたが、無視した。
応接室に付き、お茶を入れていたエリーを紹介した。
エリーが隣に座ったところで「ほかの奥様方はどうされました?」と良子少佐が聞いた。
「別の業務で、本星で働いていますよ」私のヤマト人妻はみな艦長の部下だったため、交渉の際、気持ち的に負けてしまう恐れがあるので、直接会わせない方がいいと思い連れてこなかった。
「そうですか、お会いできなくて残念です」良子少佐は微笑んで言った。
「艦長からそう言っていただき、妻たちも喜ぶと思います。私から伝えておきます」こちらもつられて微笑んだ。
「本星というのはサルガッソーの中にあるのですか?」
「ええそうです。我々はそこを開発してミズホという国を興しました。これから子供も多く生まれてくるでしょう。我が国は脱走兵と亡命者の国ですが、将来的には多くの国と国交を結び、交易を行いたいと考えております。すでにクリスとイムとは国交を結んでいます。ぜひとも他の国とも我が国は国交を結びたいと考えています」さて交渉の開始だ。まずはかるいジャブから。
「ヤタ少尉、ヤマトはあなたに三つ要求があります」良子少佐がいきなり話し始めた。
桜井軍曹の言う通り、駆け引きは苦手のようだ。いきなりストレートで返してきた。
「いきなりですね。その要求は我が国が貴国と国交を結ぶための条件ですか?まあ、いいですが。最初に申しあげますが、こちら側の前提として我が国に逃亡及び亡命してきた人々は本人の希望がない限り元の国に返すことはありません。また、支配領域の割譲はあり得ません。サルガッソー内部と辺境宙域は我々が実効支配し、イム帝国、クリス共和国も認めています。しかし、もともとヤマトの領域だった辺境宙域は、ヤマトが返還しろと強く要求するのでしたら、その点については一旦保留して将来の交渉にゆだねるということでしたら考慮します」先手はこちらが取った。こちらの譲れない条件は言った。相手はどう出るかな?
「そちらの条件は分かりました。こちらの要求を申し伝えます。まずは、男子たち全員の返還、支配領域全域の我が国への帰属、関係者全員のヤマト軍への出頭です」
さっきの私の話を聞いていたのだろうか。まあ、最初にガツンと一発お見舞いしてからの交渉というわけかな。
「絶望的にすれ違いがありますね。我々としては、平和的に交渉を進めたいと考えています。できれば戦争は避けたい。そちらはどうですか?」つまり妥協の余地はあるかということだ。
「我々も同様です。しかし、条件は変えられません。これは国の決定です」
桜井少佐は交渉ごとが下手らしい。どうみてもここでそれを言ったらだめだろう。
「ならば今回は話し合う余地はありませんね。一度お帰り頂いて、再度検討していただくことになりますね」私は憤懣やるせないような演技をしながら言った。
「私はあなたを救った船の船長で、ずっと面倒を見てきたじゃないですか」良子少佐はすがるように言った。
「その点については感謝しています。しかし、ヤマトが私を永久指名手配犯にして、無実の罪で陥れたことも事実です。だから我々はここに逃げてきて、新たな国を興したのです」
「その点について、あなたは本当に裏切っていないのですね」幸江大尉が聞いてきた。
「ええ、まったく。信用されるかどうかはわかりませんが、サイパン沖の戦いの後、我々は外部との接触を禁止され。そのまま神風特攻隊に編入されたため親兄弟とも接触する機会がなかったのですよ」私は強く主張した。
「私が独自に調べた結果、あなたの言うことは正しいです。あなたにはヤマトを裏切る意味も理由もない」幸江大尉は言いました。
「ご理解いただけて本当にありがたいです」思わず微笑んだ。
「しかし、それならばどうして敵に情報が漏れたのでしょうか」幸江大尉が尋ねると、「それはわかりません。ただ、我々神風特攻隊が進んでいた進路は最重要機密情報でした。知っていたのは、最高幹部のごく少数に限られていたはずです。そのように、牟田大佐は言っていました。また、搭乗員は一切外部には情報を漏ら無いよう、一切の外部との接触を禁じられていましたし、戦闘行動中、敵の捕虜になる可能性が出た場合は自爆するよう命じられていました」私は昔のことを思い出しながら答えた。
「牟田大佐も一緒に軟禁されていたのですか」
「いえ、彼は敗戦の責任を取って、自宅謹慎となり、降格のうえ、特攻隊に編入されたとのことでした」特攻基地の指令官が話していたことを話した。
「そうですか…」そう言って幸江大尉は考え込んでしまった。
「もし、あなたに恩赦が出たら、ヤマトに戻ってきますか?」それまで黙っていた良子少佐が聞いてきた。
「いえ、もうすでに恩赦が出ても、戻る気はありません。独立戦争時の恩赦がでても、その後ヤマトと何回か交戦状態になっていますし、鹵獲武器も現在使用中ですから、そちらが罪として裁かれる可能性があります。あくまで要求は独立の承認です。そして、我が国の国民の安全と自由が保障されなくてはなりません」私は断言した。
良子少佐は再び黙ってしまった。
しばらく沈黙が場を包んだ。
話を打ち切ろうかと思ったところで、良子少佐は口を開いた。
「桜花がこの国にあると聞いたのですが」
「ええ、その通りです」
「一旦今までの話を本国に持ち帰って、検討したいと思います。それでよろしいですね」良子少佐は言った。
「それではその間は、一時休戦ということでよろしいか」私は畳みかけた。
「それは約束できません」良子少佐は言った。
「一体あなたは何しに来られたのです。何の権限もなく、ただ講話条件を言っただけ、それも到底受け入れられない条件で。次回はもっと決定権のある方がおいで下さい」私は怒ったように言った。
良子少佐は悔しそうに黙ってしまった。
「すみません。守に合わせてもらうことはできますか」幸江大尉が聞いてきた。
「いま、本星に戻っていますので、ここにはおりません」そう言って、にべもなく断った。
二人はすごすごと帰っていった。それだけではかわいそうなので、捕虜にした乗務員と帰還希望の男の子たちを連れて行ってもらった。
お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。
星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。
この物語の第一章に当たる「独立編」の終わりが見えてきました。そこで一旦終了としますが、読者の皆さんの読んで下る数や評価によっては、次編を投稿したいと思います。どうかよろしくお願いいたします。




