第19話 ミレニアのミズホ王国視察
なんとか続きが間に合いました。毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。
ミローナイト達がミズホ国のデジマコロニーに着いたのは2日後のことだった。
私とエリー、捕虜のマーガレット、後ヤマト人を中心とした兵士たちが出迎えた。
ミローナイト大尉たちが到着すると、マーガレットは満面の笑みでほほ笑んで「ミーちゃんひさしぶり!」とミローナイト大尉の胸に飛び込んだ。ミローナイト大尉は幸せそうな顔をしていた。
「マーちゃん大丈夫、変なことされてない?」ミローナイトは心配そうに言った。
「全然元気だよ。そうだ紹介するね九頭一史様♡」マーガレットは早速私を紹介してきた。
「ミローナイト殿ですね。ミズホ王国総統九頭一史です。」
「クリス共和国軍ミレニア・ミローナイト大尉です。はじめまして」
「ここではなんですから、場所を変えてお話をしましょう」
「そうですね。それでは移動しましょう。ほかの者たちは?」
「別室で待機していただきます。桜井伍長案内をしてくれ」
「了解しました。こちらにどうぞ」
「男の子よ」「そうね男の子よ」「ミズホは男が多いのかしら」ミローナイト部下たちは男の子たちを見ながらこそこそと話をした。
会議室にて「みなさん男が珍しいのですか?」私は二人に聞いた。
「男は天然の方しかいませんし、最近は天然でも男の数が減っていますからね」ミレニア・ミローナイト大尉は答えた。
「天然ですか」エリーから聞いていたがかなりの差別があるのだな。
「ああ、人工子宮から生まれた者を人工、自然分娩から生まれた者を天然と言っています」
「両者に何か違いはあるのですか」
「天然はクリス共和国での市民権が与えられています。人工にはありません」
「それでは人工子宮から生まれた者にクリスでは何の権利が与えられているのですか」
「生存権が与えられています。彼女たちにはクリスで生きる権利が与えられています。彼女たちはクリス市民の円滑な生活のために生み出された存在です。なので、彼女たちは兵士や下級労働力として生存することが許されています」
ミローナイト大尉はさも当たり前のように話した。
私はこっそりと桜井伍長を呼び出した。
「桜井伍長」
「はい、何でしょうか」
「接待はヤマト人で行ってくれ」
「了解しました」
クリス人の女性たちが差別されることはないようにヤマト人が接待するよう指示した。
応接室につくと、お茶をだしてしばらく世間話をした後、本題を切り出した。
「それで前に連絡した件について、お答はいただけますでしょうか」
「単刀直入に言いますとクリス人の移民は問題ありません。サルガッソー辺境宙域の領有権についてはクリスからの割譲はできませんが、問題の棚上げを認めます」
「最後の国交樹立は私とサードナイト大尉が視察官として貴殿が支配する領域を確認し、その内容を本国に上伸します」
移民ときたか、まあ言葉の問題だな。同様に棚上げとはサルガッソー辺境宙域の実効支配を追認するとのことだし、こちらとしては名を捨てて実を取るようなものだ。
問題は最後の視察官の件だな。
「話は分かりました。しかし視察官の件ですが2つ条件があります。一つ目は我が国は脱走兵と亡命者の国です。貴国にとって犯罪者扱いされる者でも我が国の国民であり、逮捕拘束は一切認められません。もう一つは許可なく我が国内を移動しないこと。かならず案内人と一緒に行動すること。この2つが守れるのならば我が国に招待します」
「脱走兵と亡命者の国ですか?」
「ええ私自身ヤマトからの脱走兵ですし、ヤマト人は皆本国から逃げてきたものばかりですから」
「案内人はどういうことでしょうか。都合の悪いことを見られたくないからですか」
「そうですね。それもありますが、お互いの身の安全のためでもあります」
「身の安全? 」
「我が国は申しあげたとおり、脱走兵と亡命者の国です。場合によっては敵対する国に対し軍事機密は見せらませんし、逆にあなたがそれを見たことで我が国が貴国に脅威として認識され攻撃を判断される可能性もあるでしょう」そんな脅威になるものはないのだが、ここははったりをかましておくか。
「脅威ですか。失礼だが小集団の武装勢力で戦力はクリスの戦艦が数隻程度のあなた方が脅威して認定されることはありませんよ」
「お忘れのようですが、私は神風特攻隊の生き残りです。ここにはヤマトの男たちが多数おります。あなたのような聡明な方が我が国の歴史を知らないはずはないと思いますが」にやりと笑いながら、でも内心はひやひやしながら言った。
「!」
「まさか、あなたたちは…」
「それ以上はお答えできませんので」
ミローナイト大尉はしばらく黙っていた。
私は少し冷めたお茶を飲みながら言葉を待った。
「クリス共和国と国交を結びたくはないのですか?」ミローナイト大尉はおもむろに言った。
「国交を結べればそれはそれでよいですが、別に現状のままでも構いません。さっきも言ったと思いますが我々は脱走兵と亡命者の国ですから。我々の独立と国民の自由にとって良くない結果になるのならば特に妥協する必要はありません」
「ミーちゃんー」サードナイトが哀願するような声で言った。
ミローナイト大尉はしばらく考えてからいった。「分かりました。その条件を飲みましょう」
「了解いただけてありがとうござます。それでは本日はこちらでお休みいただいて、明日にでも我が国に参りましょう。お二人の他に他の随行員の方は?」
「私たち2名に事務官2名を連れていきます」
「了解しました。桜井伍長、ミローナイト大尉を部屋に案内して。マーガレットはそのままの部屋でいいかい」
「私はミーちゃんと同じ部屋がいい」
「ふーん、マーちゃんは名前で呼んで、私は苗字ですか?」
あれ、さっきまでは非常に事務的な態度だったのだが、雰囲気が変わり、女の子らしさが加わっている。
「さっきのは仕事モードです。これからはプライベートモードになります。私もミレニアと呼んでください」
「ミレニアさん?」
「ミレニア」
「ええっと」
「ミレニア」
「わかったよ、ミレニア」
「はい、旦那様♡」
ちょっと待て。
さて、過去にすこしさかのぼる。
使節団をピトケアンに招待する件に関して大きな問題がある。それは正式な接待というものを誰もやったことがないことである。
ミローナイト大尉と通信が終わったとき、みんなに外国の訪問客に対する接待の方法について知っているかどうか聞いた。
アイ、マイ、ユウ、ユアはそういうのとまったく縁がないので、まったくわからないとのこと。
ミィは知識してそういうものは知っているが、やったこともないので全く自信がないそうだ。
エリーはニコッと笑い、人工子宮生まれの私たちには一生縁がないのでわかりませんと言われてしまった。
そういう私も開拓者の三代目で宇宙を飛び回るのに忙しく、そういう教育は全く受けてこなかった。
考えあぐねた挙句、最後の頼みでアキに聞いてみた。
アキは商売が拡大し、辺境でも有数の商会に成長していた。デジマコロニーを本拠とし、他から参入を希望する商人をまとめて、ミズホ商人ギルドを作りギルド長に収まっていた。
「ん、ええよ。何人か手配したる」
「え、何とかなるのか。本当にすまん」
「ええよええよ。うちらは商人やから商品の手配も人材の斡旋も任せといて」
そういうわけで、接待用にセバスという名の執事とメイクという料理人、あとメイドを数名手配してもらった。
彼女たちが滞在する場所は急遽我々が住む屋敷の離れとし突貫で建築した。
内装はすべて執事のセバスさんに任せ、アキに家具はそろえてもらった。
メイクさんいわく、食材はすべてミズホでとれたものでよいそうだ。
とりあえず接待の準備は整った。何とか間に合ったと、我々は肩をなでおろした。
本当にアキには感謝しかない。
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