閉話2 マーガレットとミレニアの出来事
今回最後の投稿です。お読みいただければ幸いです。
私、ミレニア・ミローナイトとマーガレット・サードナイトは幼馴染だ。マーガレットは冷たい表情の私と違い、明るくかわいい女の子だ。少々人の話を聞かないところもあって危なっかしいがそこもかわいい。
一緒に遊んで、お互いのうちに泊まりに行ったり、一緒に抱き合って寝たりと、とても仲良く過ごした。
愛してると言っていい。ずっといっしょにいたい。できれば一生。
そんなマーガレットが夢中なのは写真の男の人だ。
どうも私たちのご先祖様と友人でヤマトの英雄らしい。確かに惹かれる顔をしている。優しそうな目や表情、服の上からもわかる締まった体が写真からでもわかる。マーガレットは一目見たときから好きになってしまったらしい。
私自身、マーガレットと二人、同じ人に嫁いでずっとマーガレットと一緒いたいと思っていたし、ご先祖様の親友に悪い感情はなかった。
ただ、すでに200年近く前の人だし、すでに死んでいるのだろうことはすぐに分かった。マーガッレットはよくわかっていなかったようだが。
まあ、マーガレットと一緒にこういう人に嫁げればいいなと子供心に思っていた。
成長し、私たち二人は軍に入った。我が国はイム帝国と戦争状態にあり、多くの同胞が亡くなっていた。私たちも古くからの名門として軍務に従事することとなった。
訓練課程が終わるとすぐに少尉に任官、その後も順調に昇進し、現在は大尉になっている。
ある時、マーガレットが哨戒任務中行方不明になった。
私は気が狂ったようにマーガレットが乗っていた戦艦フランクの痕跡を探した。
するとサルガッソー辺境宙域に戦闘痕跡があり、ここでイムの戦艦と戦闘が行われたようだ。しかし、イムの戦闘艦が破壊された痕跡はあったが戦艦フランクの痕跡がなかった。
多数の戦艦に追われ、抵抗して何隻が破壊したが最後に捕虜になったものと判断した。
すぐにもイム帝国に連絡したかったが、交戦国なのですぐに連絡を取る手段がなかった。いらいらしながら伝手を探して情報を得られる算段をつけた。
ところが、いきなり本人から通信があった。その上なんと結婚するという。
通信を代わり、聞いてみるとマーガレットはミズホという武装組織につかまっているらしい。
そしてその武装組織のリーダーが九頭一史様、あの写真の男性である。
事情を聴いたところ裏切り者の汚名を着せられ、永久指名手配となっているため、ヤマトから逃げているらしい。
ヤマトの対応にはあきれてものが言えない。200年前に独立のために戦った英雄を、よく調べもせず、いくら法律の定めとはいえ逮捕するなんて。まして、事件は200年前に起こったことで、当時の関係者は皆なくなっている。
それに本人から話を聞く限り、とても犯人とは思えない。きちんと調査をやり直して、罪の有無を確認する必要がある。
これは絶対にクリスで保護しなければならない。そして、ヤマトに申し入れをして、再度調査してもらい、罪が潔白だと証明されたら、私とマーガレットの二人を妻にしてもらおう。
九頭様の率いる武装組織はサルガッソーの中にあり、ミズホという国を興しているようだ。
このことは更に私の興味を引いた。サルガッソーに入れるのか?
どうやって入るのか?中はどうなっているのか?
これはどうあっても行ってみるしかないだろう。
上層部に掛け合ってみるか。
ニューランド辺境宙域クリス軍本部
「サードナイト大尉がみつかったそうだな」ニューランド辺境宙域方面軍指令モーガン少将は言った。
「はい、その通りです司令」ミレニア・ミローナイト大尉はいった。
「ただ、現在大尉はミズホと名乗る武装組織につかまっております。ミズホの代表と名乗る九頭一史というものから3つの要求が出されております。サードナイト大尉の返還に応じるにはこれらの要求が満たされることが必要だとのことです」
「ふん、宙族風情がなにをいう」モーガンは憤慨するようにいった。
「彼は200年前にヤマト独立戦争を戦った英雄です」
「本物なのかね」副指令のミットフィールド中佐が言った。
「確認しましたところ本物です」
「なぜ200年前の亡霊がいるのだね」モーガン少将は言った。
私は九頭様から聞いた話と、裏付けのため調査した内容を報告した。
「本物らしいな。しかし神風特攻隊の生き残りか。死に狂いのヤマト人相手では対処を間違えるととんでもないことになるぞ」モーガン少将は苦々しくいった。
「指令、1番以外は飲んでも構わないのでは」ミットフィールド中佐が言った。
「私もミットフィールド中佐の意見に賛成です。」ミレニアはいった。
「2番のクリス人はみな人工でいわゆる消耗品です。数も4百人程度、故障者も多く利用価値は低い者ばかりかと」
「あと3番のサルガッソー辺境宙域ですが、めぼしい資源もなくイムと領域が混在しているため、小競り合いが絶えません。あの宙域を切り離せばわが方面軍の戦力をより合理的に配置できます」
「わが方面軍は戦力が不足気味ですからな」ミットフィールドはいった。
「ふん、総司令部はこの地域における戦力配置がいかに手薄であるかわかっていないからな。ただ、勝手に領土を譲ることはできんぞ」モーガンはいった。
「それではこのような条件ではどうでしょうか」ミレニアはいった。
「どういう条件だ」
「2番のクリス人の移住は認めます。3番の領土の件ですが、正式に認めるわけにはいかないが実効支配を黙認することにします。1番については相手に調査員を派遣し、正式な国として認められる状況であれば、政府に上伸する方向で検討するとします」
「それで相手が納得するかね。それで調査員は誰にするのかね」
「私が直接行って説得します。調査員は私とサードナイト大尉の2名で努めます」
「サードナイト家とミローナイト家は納得するかね」
「私が両家に説明します。きっと納得してもらいます」
「わかった。ミレニア・ミローナイト大尉、貴公に任せよう。両名とも無事に帰ってきたら少佐に昇進させよう」
「ありがとうございます」ミレニア・ミローナイト大尉は微笑みながらいった。
「指令、よろしかったのでしょうか」ミットフィールドはいった。
「かまわん。妥協の条件としては適正だし、両家も彼女が説明してくれるということだ。やらせておけばよい」モーガンはいった。
「しかし、もし両名になにかあったら」
「自分で説得するといったんだ。こっちに責任が来ることはない。これが成功すれば手柄としては抜群だし、すぐに昇進させ別のところに異動させよう。これでお嬢様のお守りから解放されるというものだ」
「わかりました。確かにおっしゃる通りです」
「まあ、お手並み拝見というところか」
私はすぐにサードナイト家とミローナイト家に連絡をとった。最初は両家とも反対されたが、九頭様のことを話したところ、普段の私の信用がものを言ったのか、私に一任された。
準備は整った。私はミズホ国にいくため、宇宙船に乗り込んだ。
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