第一章4話 どうして俺は
「子供だからって油断しないから。どこからでもかかってきなさい!」
オリヴァはそう言って、腰を落とした。
その瞬間、茂みの中から3人目の白髪の少女が飛び出す。
「きゃはははははは!じゃあ、遠慮なくいくねぇ!」
少女の手には短い刃物。オリヴァは半歩横にずれて攻撃をかわす
「っ……!」
少女の刃が空を切る。オリヴァはそのまま相手の腕をつかみ、投げ飛ばす。少女は地面に倒れ込む寸前でくるりと一回転して着地する。
「あはははは!やっぱり強いなぁ。噂通りだぁ〜。」
「あなたたちの目的は何。誰に頼まれてこんなことを?」
オリヴァがそう聞くと少女たちはまた笑い出す
「どうして素直に教えると思ったのー?」「マジで教えるわけないしー。」「きゃははは!教えてもらえると思ってるんだぁ!」
3人同時に襲いかかってくる。オリヴァは防戦を強いられている。
俺はその状況をただ見守ることしかできない。
「くっ、、、このままじゃジリ貧だ、、、」
俺がそう考えていると、オレンジ髪の少女が笑っていう
「噂だとオリヴァ姫は頭が使えないって話だったし、もしかして、、、」
瞬間、俺の背後に黒髪の少女が現れる。
「、、、っぶねぇ!」
反射的に馬車から飛び降りる。ペトリスで鍛えた動体視力がこんなところで役に立つとは、、、
「避けられたぁ!!!避けられたぁぁぁ!!!!許さない許さない許さない!!!」
やっぱり予想通り恨みを強く持った性格のようだ。
「危ない!」
俺の周りに光の壁のようなものができる。オリヴァが俺に防御魔法を使ってくれたんだろう。
「あなたは逃げて!」
逃げろ。
その言葉を聞いた瞬間、頭の中に別の声が響いた。
――また逃げるの?
――また、助けられないの?
違う。
今回は違う。
「ダメだ!!今度こそ2人で生き残るんだ!!!」
考えろ、、、考えろ、、、考えろ、、、何か変なところはないか、、何かおかしなところは、、、
、、、!
なんですぐに分身を出さなかった、、?
不意打ちが失敗した時点で絶対に強いのは人数を増やしての正面戦闘のはず、、、
それに、3人の時点でオリヴァを防戦一方にできていたのは素人の俺が見てもわかる…
だとしたらなんで、増えて数で押さない、、、?
もしかして、、、分かれれば分かれるほど弱体化するんじゃないか、、、?
分かれるたびに一人一人の力が小さくなるんじゃないか、、、?
「オリヴァ!!!おそらく今、敵は4人に分身してる!!そして、敵は増えれば増えるほど弱くなるんだ!!そのまま押せ!!!」
オリヴァはそれを聞いた瞬間俺の一番近くにいる黒上の子を掴んで背負い投げする
「本当ね、、!弱くなってる、、、!」
投げ飛ばされた黒上の子は受け身を取れず投げられる。
やはり。さっきは無傷だったが今回は受け身すら取れなかった。
「いたぁぁぁぁあい!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!ゆるさない、、!!!!!」
黒上の子は子供のように泣き叫んでいる。
すると、黄色髪の子が口を開く。
「ねぇねぇ、そこのおにーさん。」
俺に話しかけてる、、、?今までの夢でこんなこと、、、
「な、、、なんだ、、!」
黄色髪の子はにっと笑って続ける
「どうして、オリヴァ姫を助けたいの?」
「どうして、そんなに必死なの?」
どうして。たったそれだけの言葉が俺の心に深く突き刺さる。
だって、、、ありがとうって、、言いたくて、、、
なにに、、?何に対して俺はありがとうを、、、?
なんでそもそも俺はオリヴァを助けようと、、、、?
怖い思いも痛い思いもしてなんで、、、?なんで、、、?
どうして俺は、、、こんなに必死なんだ、、、、?
違う……違うだろ……どうしてとか、なんでなんてのは今どうだっていいことだ。人が狙われてる。それを助ける。
それだけでいいだろ、、、!
俺は思いっきり息を吸って言う
「なんでとか、今はどうだっていいんだ!!!困ってる『人』を助けるのは『人』として当然だ!!!!!!」
すると、敵だけじゃなくオリヴァまでが黙ってしまう。
誰も何も言わない、、、敵が黙るのはまだわかる。なぜオリヴァまで、、、?
そんなことを考えていると、敵4人が一箇所に集まって眩い光に包まれる。
そこに立っているのは金髪の少女が1人だけであった。
その子は頭を深々と下げて言う
「今までの無礼をお許しください。あなたがそんな高貴な存在だったとは、、」
オリヴァに向かって謝っているのかな、、、、?どう言うことなんだろう、、、
オリヴァは黙ったままだったがやっと口を開く。
「大丈夫。もう気にしてないから。」
この子本当にお人好しなのか、、、、??自分を殺そうとしていた相手を許すなんて、、、、
そして。オリヴァは信じられないことを口にする。
「あなたも私のお屋敷に来なさい。聞きたいこともたくさんあるもの。」
俺は流石に黙っていられなかった
「お、、オリヴァ、、!?いいのかよ、、!?殺されるかもしれないんだぞ、、!?」
オリヴァは首を振る
「いいのよ。敵意がないのはよく分かったし、それに、もっと大きな問題もこれからあるだろうから。」
オリヴァの顔が険しい。どうしてだろう。事件は解決。ハッピーエンドのはずなのに、空気が重い。
何はともあれ、ひとまずは全員無事でよかった。やっとこれが言える…
「オリヴァ。ありがとう。さっき助けてくれて。」
ああ、、やっと言えた。夢じゃないこの子にやっと、、、
オリヴァはニコッと笑うが空気はまだまだ重い。そう。この時の俺は知らなかったんだ。
これから始まる過酷な日々を。




