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∞クロニクル・アルディア∞ ~101年目の未来~  作者: 空乃真芽
第六章 繰り返された百年編

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第百十六話 白い群れ

 森の中は。


 音が少なかった。


 鳥は飛び立ったはずなのに。


 羽音さえ聞こえない。


 先頭のガレスが手を上げる。


 全員が止まった。


 土の上に。


 白い足跡が並んでいる。


 一体ではない。


「六。」


 ロイドが数えた。


「奥にもあります。」


 セレスの水が。


 窪んだ跡を順に満たしていく。


 十一。


 十二。


 その先で。


 水が一斉に弾けた。


     ◇


「来る!」


 木々の間から。


 白い影が走り出す。


 門前で見たものより小さい。


 黒い角。


 白くなった口元。


 群れは七人を見ていない。


 北へ走っている。


「道を空けろ!」


 ガレスの声。


 全員が左右へ分かれる。


 けれど。


 一体がロイドの盾へぶつかった。


 仲間に押され。


 進路を変えられなかった。


「止める!」


 ロイドの足が沈む。


 トーマの風が盾の背を支えた。


 セレスの水が。


 魔物の足元を外側へ流す。


 巨体が横を向いた。


「首は斬るな!」


 レインは。


 口元から伸びる白い筋へ刃を入れた。


 一つ。


 二つ。


 切れた光が土へ落ちる。


 魔物の脚から力が抜けた。


     ◇


 倒れた一体を。


 後ろの群れが飛び越える。


 足跡の白さが。


 触れた草へ移っていく。


「このままでは学院まで道が残る。」


 リディアの水が。


 七人の後ろへ壁を作った。


 群れの最後尾が。


 急に向きを変える。


 北へ進まず。


 水の壁へ牙を向けた。


【外部接続:増加】


【行動干渉を確認】


「操られてる。」


「全部か?」


「分からない。でも、あれは自分で向きを変えてない。」


 白い光が。


 魔物の首を引く糸のように伸びている。


 森の奥から。


 学院の方へ。


     ◇


「トーマ、上!」


 風が枝を揺らす。


 乾いた葉が降る。


 白い筋へ触れた葉だけが色を失った。


 線の位置が見える。


「セレス、印を!」


 水が。


 白い筋の左右を走る。


 レインはその間を踏み込んだ。


 一度では届かない。


 ロイドの盾へ足をかける。


「上げるぞ!」


 盾が持ち上がる。


 身体が高く跳んだ。


 剣を振る。


 白い筋だけが途切れた。


 魔物は水の壁の前で止まり。


 その場へ崩れた。


     ◇


 群れは。


 北へ消えていった。


 追わない。


 七人は倒れた二体を調べる。


 ミリアの光が。


 胸の動きを確かめた。


「生きています。」


「白い部分は。」


「増えていません。」


 倒さなくても。


 止めることはできた。


 けれど。


 森の奥へ続く十二の足跡は。


 どれも同じ方角を向いている。


 逃げているのか。


 呼ばれているのか。


 その答えだけが。


 群れと一緒に北へ消えた。

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