↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
∞クロニクル・アルディア∞ ~101年目の未来~  作者: 空乃真芽
第六章 繰り返された百年編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
104/138

第百三話 門の向こう

 森の影が近づく。


 枝が折れ。


 黒い背が見えた。


 一体。


 二体。


 その後ろにもいる。


「門前の個体と同じか?」


 ガレスが尋ねる。


「違います。」


 セレスが目を凝らす。


「角が白くありません。」


 森から出た魔物の身体は黒い。


 背に短い角が並び。


 低い姿勢で地面を嗅いでいる。


 以前、北方で逃げていた魔物と似ていた。


 だが。


 今回は逃げていない。


 白い角の魔物を見つめ。


 ゆっくり囲み始めた。


     ◇


「仲間じゃないのか?」


 トーマが剣を構える。


 一体が地面を蹴った。


 白い角へ牙を向ける。


 二つの身体がぶつかった。


 防護の光が大きく揺れる。


 白い角の魔物は反撃せず。


 門へ身体を寄せた。


 逃げ場を求めている。


「追われてたのは、あれにか。」


「まだ分からない。」


 レインの目に文字が浮かぶ。


【個体間魔力差を確認】


【白化個体:流出】


【追跡個体:流入】


「白い方は魔力が外へ流れてる。」


「黒い方は?」


「周りから吸い込んでる。」


 何を意味するのか。


 尋ねる前に。


 黒い魔物が白い角へ噛みついた。


 白い光が牙へ移る。


 黒かった口元から。


 色が失われていった。


 魔物が苦しげに身を振る。


 牙を離しても。


 白さは止まらない。


     ◇


「接触で移った。」


「だから防護が開かないのか。」


 教師の一人が言う。


 学院へ入れれば。


 白い異常も内側へ入る。


 だが。


 このまま閉じ込めれば。


 門前で白化した魔物が増える。


「北門は維持しろ。」


 ガレスが振り返る。


「東の補助門から回る。」


「外へ出るんですか?」


「ここで待てば、もっと集まる。」


 ガレスはレインたちを見る。


「三人は残れ。」


「でも。」


「命令だ。」


 声は低かった。


 前とは違う。


 北方では同行を許された。


 今は学院のすぐ外に。


 何が起きているか分からない魔物がいる。


「先生一人で、両方を止めるんですか。」


 セレスが尋ねる。


 ガレスは答えなかった。


     ◇


「私も行きます。」


 背後から声がした。


 青いローブが風に揺れる。


 リディアだった。


「北側の魔力が教室まで流れています。」


「生徒は。」


「校舎の南へ移動させました。」


 リディアは門の外を見る。


 指先へ光を集める。


 けれど。


 光は北へ引かれ、形を崩した。


「このままでは、学院内の魔法も安定しません。」


「なら防護を見ろ。」


「外側を止めなければ同じです。」


 二人の視線が合う。


 先に折れたのはガレスだった。


「俺より前へ出るな。」


「あなたも無理に前へ出ないでください。」


     ◇


 東の補助門へ向かう。


 レインたちは北門に残った。


 白い角の魔物が。


 防護の向こうで身体を低くしている。


 黒い魔物は四体。


 そのうち一体は。


 口元から首まで白くなっていた。


 動きが不自然に速い。


 地面を掻くたび。


 周囲の草から色が薄れていく。


「あれが門へ触れたら。」


 トーマが言う。


 白く濁った防護が。


 内側へ膨らんだ。


 石柱に亀裂が走る。


「下がれ!」


 教師が叫ぶ。


 防護が割れたのではない。


 けれど。


 白い腕のような光が。


 門の隙間から内側へ伸びた。


 近くにいた生徒へ向かう。


 レインの身体が先に動いた。


 剣を抜く。


 光と生徒の間へ滑り込み。


 刃を振り下ろした。


 硬い感触はない。


 白い光だけが二つに分かれた。


 地面へ落ち。


 消えない。


「近づくな!」


 レインが叫ぶ。


 切り離しただけだ。


 止めてはいない。


 白い光は地面を這い。


 もう一度、生徒へ伸びた。


「レイン、右!」


 トーマの風が横から叩く。


 光の向きが変わる。


 セレスの水が。


 色の残る石畳だけを濡らした。


「こちらへ!」


 水の流れへ押され。


 白い光が門へ戻っていく。


 レインは剣を構え直す。


 三人とも。


 もう残って見ているだけではなかった。


 門の向こうで。


 白くなった魔物が。


 こちらへ牙を向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。