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∞クロニクル・アルディア∞ ~101年目の未来~  作者: 空乃真芽
第六章 繰り返された百年編

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第百四話 三人の間合い

 白くなった魔物が。


 防護へ飛び込む。


 光の壁が大きく歪んだ。


 門の石柱から。


 細かな欠片が落ちる。


「もう一度来る!」


 レインが叫ぶ。


「どこを止める?」


 トーマが風を集める。


 魔物の前脚。


 肩。


 牙。


 どこにも白い光がまとわりついている。


【魔力集中:後脚】


「跳ぶ!」


 言葉と同時に。


 魔物の身体が沈んだ。


「セレス、足元!」


 門の外へ水が走る。


 防護に触れた部分から霧になったが。


 残った水が土を濡らす。


 魔物が跳ぶ。


 後脚が滑った。


 狙いがずれ。


 防護の端へ肩からぶつかる。


「トーマ!」


「任せろ!」


 風が下から吹き上げる。


 傾いた身体が。


 門の中央から外れた。


     ◇


 前なら。


 三人で一体を動かすだけで精一杯だった。


 今は違う。


 セレスはレインの声を待つ前に水を広げ。


 トーマはその水へ白い光が触れない角度から風を当てる。


 レインも。


 二人が作る一瞬を信じて動ける。


「次、左から二体!」


 黒い魔物が走ってくる。


 白い角を追っていた二体。


 だが。


 門前に落ちた白い光を避けている。


「白くなってない方は、異常が分かるのか。」


「なら傷つけるな!」


 レインは門の内側を走る。


 防護越しに。


 二体の進路を見る。


「右を空けて!」


 教師たちが下がる。


 セレスの水が防護へ当たり。


 青白い光の濁りを一瞬だけ洗い流した。


「今です!」


 東から風が届く。


 リディアの魔法だった。


 防護の外側を横切り。


 二体の魔物を北門から逸らす。


 その後ろを。


 ガレスが走っていた。


     ◇


 剣が一閃する。


 白くなった魔物の前へ。


 土の線が刻まれた。


 斬ったのは地面だけ。


 魔物は急停止する。


 ガレスが剣を返し。


 刃の腹で顎を打ち上げた。


 白い牙が空を向く。


「防護を一瞬開けろ!」


「危険です!」


「内側の白い残留だけを外へ出す!」


 北門の教師が石柱へ手を置く。


 青白い壁に。


 人一人分の隙間が生まれた。


「レイン!」


 ガレスの声。


 説明はなかった。


 それでも分かった。


 内側の石畳を這う白い光。


 剣では消せない。


 外へ流す。


「トーマ、押して!」


 風が背後から吹く。


 レインは白い光の横へ剣を置く。


 斬るのではなく。


 刃に沿わせる。


 光の先端が曲がった。


「セレス!」


 水が細い道を作る。


 白い光が水を追う前に。


 風がまとめて門外へ押し出した。


「閉じろ!」


 防護が戻る。


 白い光は外の土へ落ちた。


     ◇


 ガレスが後ろへ跳ぶ。


 リディアの水が。


 地面に円を描いた。


 魔物を閉じ込める壁ではない。


 白い光が広がる方向を狭めている。


「三人とも、聞こえますか!」


 防護越しにリディアが叫ぶ。


「はい!」


「門の内側の魔力を安定させます。今なら魔法を使えます!」


 リディアが両手を地面へ向ける。


 引かれていた魔力が。


 一瞬だけ学院側へ戻った。


 セレスの周囲へ。


 水が集まる。


 さっきより多い。


「何をすれば?」


 レインは門の外を見る。


 白い角の魔物。


 白化した魔物。


 逃げようとする黒い二体。


 全部を同じ敵として倒せば。


 何が追ってきたのか分からなくなる。


「道を作る。」


「どこへ?」


「東の森へ。」


 北から離れる道。


 以前、魔物を逃がした方向。


「白い角も?」


「動けるなら。」


 トーマが笑った。


「それなら得意だ。」


 風で押し。


 水で道を示す。


 剣で進路を守る。


 三人の間合いが。


 初めて一つにつながった。


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