表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《REVELATION ONLINE》 ―人格診断みたいなVRMMOで、最悪の適性が出た―  作者: 如月 爐
愛と悪意の熱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/42

告白は地獄で

第2章「愛と悪意の熱」の冒頭回になります

 愛とは、愛の正体とは、一体、誰が定義したのだろうか。



 誰かを想うこと、幸せを願うこと。


 或いは、


 愛する誰かが、愛される世界であって欲しい、という傲慢。



  なら



 愛ゆえに、世界を壊してしまうことも、



 愛の本質なのだろうか?




────────────

 漂流者(プレイヤー)達の、足音が響く。生活の呼吸、リズム。その全てが世界に刻まれていく。なら、その逆は。


 


 旧文明時代に建造されたデータ保管施設。その最深部。


 今では企業勢力すら存在を把握していない、忘れ去られた隔離領域。


  「本当に、いいのかい?」


 天井から伸びる無数のケーブルが、まるで根を張る植物のように空間全体へ広がっている。壁面を埋め尽くすサーバー群は既に機能を停止しているはずだったが、それでもなお、低い駆動音だけが絶えず鳴り続けていた。


  「あぁ。二言はねぇ」


 青白い光。


 無機質な鉄の匂い。


 冷却装置から流れ出る白煙が、床を這う霧のように漂っている。


 その中央に位置する場所に、真紅の皮を纏ったソファーが置かれている。


 「いやぁ、やはり君といると退屈しないなぁ」


 「心にもねぇことを、ペラペラと。一体、何枚舌が付いてやがる?」


 その対面には漆黒で染められた一人用のチェア。大理石の、磨かれた美しいテーブルを挟んで、二人のプレイヤーが対話していた。


 「どうだろう、確かめたいのは山々なんだけど、ほら」


 ソファーに身体を預け、組んだ足を机の上に投げ出している人物──その少年は、白色の礼装を纏っている。アンバランスなゴシック調の黒のインナー。そして、目元を隠したヴェール。


 少年は自分の口に手を突っ込んだ、ように見えた。だが、物理法則に反して、少年の手は虚空を切る。否、正しくは、顔を貫通していた。


 「半年くらい前に、どこかの誰かさんに、頭を潰されて殺されちゃったからね。おかげさまで、この有様。食事も満足に取れないんだ。同情してくれるかい?」


 「自業自得だろォが」


 その様子を苛ついた様子で見ていた男が口を開く。金髪碧眼。対面の人物と同じく中性的な顔立ちの美少年。黒いコートを羽織り、皮膚の下では、黄色いラインが微かに脈打つように発光している。


 「まるで僕がヴィランみたいな言い方。照れちゃうな」


 「喧嘩なら買うぜ?終わったあとでなァ」


 「冗談だよ。ヴィルくんとは仲良くしたいんだ」


 ヴィル、そう呼ばれた男は、不機嫌を隠そうともしない。反対に、少年は穏やかな笑みを浮かべている。


 「それに、今回は、喧嘩してる暇なんてないんじゃないかなぁ」


 「“A.Order”に“鬼札(ジョーカー)”、か。まともにやり合うのは久々かもしんねぇな」


 暗い地下で、交わされる会話。声量は両者とも控えめなのに対し、纏う圧は、(けだもの)のそれ。


 「彼らなら、舞台を飾るのに相応しい役者だ。実績も申し分ない」


 「どォだか。腑抜けちまった奴も大勢いるだろ」


 「君はそっちほうが都合がいいんじゃないかい?」


 金髪の男は、ティーカップを手に取る。金縁に白色の伝統的なデザインのそれは、既に冷えきった紅茶をたたえている。


 「てめぇがこの話に乗ってきた時点で、ない話なんだろ」


 「ふふっ。やはり君は面白いな」


 白髪の少年は微笑する。見る人が見れば、まるで彫刻のような顔立ちの彼は、殆どそのアバターを、現実世界の容姿と乖離させてないという。


 「そんなに大事かい?君にとって。今回の──“戦争”は」


 「当然だ。てめぇも知ってるだろ」


 金髪の男は、飲み干したティーカップを乱暴に、床へと叩きつける。割れた白い破片が、黒い床へと散らばった。


 「俺がなんで、このゲームをやってるか」


 「聞いたことがなかったな。友人として教えて欲しい」


 金髪の男は、その友人、という言葉を鼻で笑い飛ばす。それから、コートを羽織り直すと、チェアから立ち上がった。


 「妹の為、家族の為だ。それ以外あるか?」


 「実に君らしい。僕も全面的に協力しよう」


 白髪の少年は笑う。露悪的な笑みを、隠しもせずに。


 「せいぜい黒幕気取ってろクソ野郎」


 「忠告どうもありがとう。ヴィルくんのそういう所、好、き、だよ?」


 「告白は地獄で聞いてやるよ、アリス」


 金髪の男はそう吐き捨てると、その場から立ち去る。後に残された、暴力の香り。白髪の少年は満足気に微笑んだ。



 「ゲームの中でしか会えない家族、か。僕にはどうも、悲しい結末しか思い浮かばないよ、ヴィルくん」


 白髪の少年の呟きは、虚空へと消える。モニターには、代わり映えのしない世界だけが、呪いのように刻まれていた。

 

明日の更新は13時頃を予定しています。読んでいただきありがとうございました。良ければブックマークをしていただき、更新をお待ちくださると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ