グルス王国 11
ユイトが作り出したキャンピングカーを、再び錬金術で作り替える。強度はさらに硬く強くさせて、車体は上に向いて車の後ろには推進剤噴出口が付いていた。
『あーあー…テステス…聞こえるか?2人とも。』
車内のマイクから聞こえる声は遠くからロケットのようなキャンピングカーを管制塔からチェックしているユイトであった。
「おい、この姿勢でもう2時間だぞ!いつになったら出発するんだ!」
「……やばいトイレ行きたい。」
ホムとバルザックは運転席でしっかりと固定された椅子に座って出発を今か今かと待っていた。
『悪かったな待たせて…後は発射ボタンを押すだけだ。……さて、ここで作戦のおさらいだ。』
「…今から俺ら2人は王国の門にこれに乗って直接突撃する。…一応王国には魔力の防護壁があるが計算上ではこの乗り物の威力で突き破れる。」
『まぁ、何があるか分からないから緊急脱出装置は付けてある。防壁に当たる前に脱出しろよ。』
「…ジュース飲まなきゃよかった。」
『トイレ行くなら車内にあるだろ。』
「!…行ってくる。」
ホムは固定していたベルトを力で引きちぎって、車内にあるトイレに駆け込んだ。
『戻り次第発射を開始すーーあっ!ちょい待て!押すなクソ猿!!』
管制から聞こえるユイトの声は突然焦った声に変わる。
「おい!そっちで何があーー」
尋常ならぬ状況にバルザックは吠えるがーー
ポチッ
聞こえた機械音が示す音はすぐに理解できた。
ゴゴゴゴゴゴッ
「うおおおお!!なんだなんだぁぁぁぁ!!」
トイレから聞こえてくる驚きの声にバルザックは反応できなかった。
その日グルス王国上空に閃光が走った。
グルス王国国門付近
王国は突然の閃光に慌てふためいていた、人々は迫り来る巨大な塊に震えて動かず固まったりなどと魔力防壁があったとしてもその絶対的な自信はなかった。
しかし、彼だけは違った。
「ハッハッハッ!!なかなか面白いじゃないか!錬金術師!!」
城壁へと向かうロケットへ飛び出す1人の男。
彼の名はリバ。
この国のG級2つ星冒険者である。
「勝負だ錬金術師!!」
リバの放つ魔力が形を成していく。
背後には赤黒い巨大なロボットアームが顕現し、その動きはリバの腕の動きと連動していた。
「具現礼装術式″爆撃の狼煙″」
巨大なロボットアームが機械音を鳴らしながら振り回されるその拳は、ロケットに触れた瞬間にロケット全てを爆発させて空に花火が作られた。
「汚ねぇ花火だ。」
爆発を見てリバはそう呟きそのまま空を見上げる。
花火の煙が風で流された青空の中に、二つの黒い点が見えた。
その一つの黒い点が大きくなりリバに迫り来る。
「フンッ!……お前が錬金術師か?」
リバは暗い点の正体である緊急脱出装置の椅子を魔力を込めた腕で振り払う。
ドンッ
と地面に着地する彼女は
「違います。」
そう答えるだけだった。




