グルス王国 9
グルス王国近辺、岩山
そこは、冒険者が立ち入るには最低限のランクが必要である、最低ラインはS級2つ星。
その場所は危険魔物の巣窟でありながら、別の危険もあるからだ。
魔物は魔力が溢れ出して暴走する生物であり、大半は人間や死体を食べて残留していた魔力を吸収しそれが容量を超えた生物が魔物へと変化するのだが、一部場所では魔力が自然と増幅する場所があるのだ。
ここでは魔力を放出の操作し、自身の魔力量を一定にするコントロールを行えないと立ち入れないのである。
実は冒険者ランクでは、S級に上がるためには魔力操作が必須である。
まぁ、そんなことは置いといてこの場にはわかりやすく2種類の生物がいる。
大きく分けると魔物と人間である。
魔物には魔力を求める貪欲さがある。
それは暴走してから魔力を持つ生物を求める食欲のタガが外れて、他の生物を食べることで魔力を手に入れるのだ。
この岩山は先ほど言った通り魔力が増幅する場所であるため、魔力の器が破壊された魔物にとっては無限に魔力を補充できるオアシスである。
より強固となった魔物はここにくる冒険者を捕食しさらに強くなったことでこの場は危険地域とされた。
では、何故冒険者が後を絶えないのか。
それはこの場所が純度の高い魔法石の産出場所であるためである。
魔法石はあらゆる動力源であり無くならない資源であるためより良いものを作るために、冒険者への依頼が絶えないのだ。
話が逸れました。
この危険地帯には並の冒険者は基本立ち入る事はない。
自身を第一に考えており割りに合わない危険を犯す者は少ない。
なので必然的魔物の巣窟となる。
そのため、もしこの場に人間がいる場合は何も知らない新参者か、圧倒的な強者である。
彼は後者であった。
そして、この場所はそんな彼が来てから今に至るまでに魔物は全て狩り尽くされた。
死屍累々の魔物の道の先に人間よりも2回り以上の大きさの魔物の上に彼は座っていた。
「つまらん」
彼はそう言うが彼の座っている魔物は、かつてS級の三つ星冒険者すら仕留めたことのある実績を持つ第一級危険性物として扱われていた。
その魔物を彼は返り血を浴びるだけで、全くの無傷であった。
そんな場所に彼を尋ねる者がいた。
「リバ様…国より緊急招集の要請が下されました。」
それは国の伝令部隊の1人(G級一つ星)であった。
それなりの実力を持つ伝令部隊は敵に殺されず情報を正しく伝える事それだけに特化した部隊なのだ。
「……緊急招集つーことは……戦争か!!こうしちゃいられねぇえ!!!」
彼…もといリバと呼ばれるその男は勢いよく立ち上がり魔力を解放する。
「ッ!?」
解放した魔力の余波は伝令部隊に伝わりその量と質に威圧された。
圧倒的な魔力量に超えられない壁を目の前にイメージが出来た。それと同時に勝てるイメージすら出来なかった。
「…ッ…流石ですリバ様。…この場の制圧も終わらせたようで。」
「ん?…終わってねぇぞ…まだ。」
「何をーーー」
次の瞬間には伝令部隊の彼は、上から振り下ろされた巨大な拳に潰されて、地面には赤い血が流れた。
それは彼の後ろにいた人間よりも2回り以上の魔物の振り下ろした拳によってだった。
「戦場で命を落とすのは警戒を怠った奴か…俺の前に立つ奴だけだ。」
リバは魔物に対して魔力を解放するその魔力量は魔物を大きさを超えるほどの魔力であった。
「じゃれあおうぜ、獣畜生が。」
その日岩山では1発の爆発音と巨大なクレーターが出来上がった。
場所は変わって森林地帯。
この場も魔力が増幅する不思議な地帯であり危険地域。
冒険者の立ち入りもS級2つ星からと、こちらも制限がある。
そんな森林地帯の湖前で彼は一本の刀のみを持って精神統一を行なっていた。
文字通り一本の刀以外何も持ってなかった。
つまり、全裸で刀一つだけである。
何故そうしているのか誰もわからない。かく言う私も何故何も着ていないのか知らない。
だが、唯一わかるのは只者では無いと言う事。
彼の周りには一刀で仕留められた魔物の死体が至る所に落ちている。
それに比べて彼の周りには一切の移動した形跡がなかったのだ。
「見つけた…シャルバ様!…王国より緊急のーー」
グルス王国伝令部隊の隊員1人がシャルバと呼ぶ彼を見つけ走って近寄ろうとした次の瞬間に一閃が通り過ぎていた。
「…ッ!!??」
彼は目に追えない速度を体感し、後ろを振り向くと巨大な蛇の魔物の頭が切り落とされていた。
頭が口を大きく開いていたところを見るに、自分は捕食される間際であることがわかった。
「それで…緊急の知らせとは?」
声の主へ振り向くといつの間にか服を着ていて身の丈ほどあるであろう刀を持ち準備を終わらせていた。
「…ハッ!…緊急の招集命令が要請されまして、なんでも反逆者が王国への攻撃を行うと。」
「ふむ、反逆者は久しぶりだが我々を呼び出すほどの緊急とは、余程敵に警戒していると見た。…相手が誰であろうと私の剣の鯖にしてやろう。」
「おおっ…ありがとうございます!!」
「では、道案内を頼もうか。」
ただの迷子であった。




