閑話 絆は時に覚悟を決める瞬間になるーグラビアス視点 中編
店主は外にクローズの立て札をかけたあとに俺を客間に通し、そこにあるコタツに入って寛いでと促された。
俺は促されるままに座るが、コタツ? って奴には入らずに店主が向かいに座るの確認後に、相手を見つめると店主は静かに息を吐き頬を掻いていた。
「┄えっと用件って何かな? 聞かせてくれるんでしょ」
「まあ、大概の理由は君ならば要領を把握しているはずだが、改めて話をさせてもらう、俺の未来には何が見える」
静かに息を飲む音が店主から聞こえ、俺をしっかりとした表情で真剣な眼差しを向け告げた。
「貴方はいまのままだと二つの結末が待ってる┄」
「一つは貴方の暴走で、ジルビオの意識を食い殺し、負のエネルギーが暴発し周囲に死の霧を撒き散らすもの。
二つめは一人の男により、ジルビオが死ぬ未来。貴方を助けるための最後の糧を渡したから」
ふっやはりな、だからジルビオもあの女も楽観的だったわけな。
ばかなやつらだよ。
「┄ねえグラビアスさん、貴方はこの未来を変えたいって思うかな?」
「どういう意味だ?」
「私さあ~本当は物語事態は変えたくないんだけど、死にたくないし、彼らの恋も応援したい。
それに誰かが不幸な結末って気持ち悪いんだよね。出来るならハッピーエンドが良いわけ。だからこそ変わって行く未来になってしまったんならさ、とことん動きたいんだ」
「だから聞くよ、グラビアスさん生きたい、運命に抗いたいって思う気持ちある?」
真っ直ぐに気持ちを伝える店主に、俺は己れの気持ちを問われた気分になり考える。
俺が何故ここに来たのは、ジルビオを解放するすべを知りたい気持ちだった。でも、それは俺と言う存在が消えれば成り立つ理なだけ。
なら俺自身が消えて、ジルビオはどう思う? と問われたら、きっと奴なら怒るか、哀しむかもな。
変に敵に優しくて、ほっとけなくて、憎くて、暖かい奴。
俺を自分の息子のように思ってる奴。
ズキッズキッと謎の痛み。
今まで感じた中で、酷く苦しい思い。
ときおり感じる喜怒哀楽な気持ちは、今までなかった目覚め。
俺は、俺としては、このまま存在していたい!
そう思う気持ちが込み上げてきてくると、心が温かくなる。
「┄俺は生きたい、でもジルビオ達には┄もっと幸せになってほしい、それが未来に関わるなら。俺は願うかもな、貴女に俺の未来を託したいと」
「ふーん、そっか。わかった、良いよ。私が最善な方法をあげる。とーっても危険だけど究極のプレゼントだよ」
何もかもを察知する店主の対応に、やはりと思う。本来ならば店主はあの方達には邪魔な存在であり、もっとも危険な女性だ。
だからこそ俺は命令されていた、自分達の邪魔な存在は滅せよと。
だが、俺は人の感情に触れ、喜怒哀楽を知って、人間を知れば知るほどに学び学習した。
そして自分の感情で愛を知った。
守る思いも、家族を、敵と味方の区別も。
だから思ったんだ、店主は未来に明るい光を導くべき存在であり、きっとあの人の感情を変えてくれると希望がもてると確信する。
「店主、俺からもお願いする。それと、これは俺の願いなのだが、貴女に3つ話しておきたい、今後に関わる貴女の事だ」
俺がそう言ってみると、店主はゴクリと喉を鳴らして、緊張した面持ちとなる。
「うん、それ一番欲しい情報だからお願いしたいかも」
「ならお互いの利益と情報交換だ」
こうして俺は店主の協力を得ることが出来た。
そして本来、来た目的を話していき、最終的な方法を教えて貰い、丸いカプセル状の玉の魔道具を渡され、二つの条件と注意事項を話された。
何だか含みのある物言いで、ニヤリと笑う店主には下手に何で、笑ってるんだ? とか触れたら自分にダメージを受けそうで止めておいた。
次に俺は俺で、敵だったときにある大事な情報と願いを3つ話しておいた。今後に彼女が動きやすいためにも、俺は店主にも生きる未来を託したいと思うから。
最終的な計画には、店主に剣の守護せし王子には活躍して貰わねば、未来は闇に消えるのだしな。
◆◇◆◇
俺は店主との邂逅を終えたあと店を出るが、その前にと店主が呼び止めてきた。
「あっそう言えば、いい忘れてたんだけど。グラビアスさん、一つ忠告だよ┄闇に気を付けて、心が弱るとつけこまれるから」
「ああ、気を付ける。店主も頑張れよ」
「うっうん。今回も影でひっそりとね」
少々焦りと嫌そうな表情をする店主に笑みが溢れた。店主って変な奴。
「┄ふふ、いい笑顔だよ。可愛い!」
「ばかじゃねえの‼」
店主がニヤニヤと馬鹿にした笑みを浮かべるせいでムカッとして、俺はフンッと踵を返して早歩きをして歩いて行った。




