閑話 絆は時に覚悟を決める瞬間となるーグラビアス視点 前編
ジルビオが俺に対しての対応が変わって嬉しい反面、気持ちには複雑な思いが心の淵にこびりつく。
闇の形成、心の澱み、負の感情の構築、これが俺に課せられた使命と存在理由だ。
でもジルビオは言った、俺が決めろと何をしたいのかと。
だから考えた、俺が俺であり続けるにはどうすればいいのかを
ジルビオに自由を返してやりたい、俺のことなど忘れて、大切な息子だけに愛情を返す、それが償いだろうから。
ズキッと何故か、よくわからない痛みが心に刺さったが、俺は無視をして、いつも通りにジルビオと対面する。
「今回も俺が主導権を握るからな、文句は言わせねえ‼」
「┄ハイハイ、今回はグラビアスに譲ってあげるから、自由にするといい」
ヒラヒラと手を振り楽観的に作り出しているソファーに座り、楽しげに笑うジルビオに、イラッとする。
こいつ絶対に俺の事を馬鹿にしてるだろう、ちょっとは憎しみをもって
接しろ! 調子が狂うな!
「┄ふんっ┄調子に乗んなよコンチキショーが、後で吠えずらかくなよ」
なんともやられキャラのような捨て台詞を吐きつつ、俺は表の世界に行くと、何故かここはここで、ジルビオの妻が楽しげに俺を珍しく見ている。
「何を見てやがる‼」
「いーえ、別に。ただ┄貴方もそんな情けない顔をするんだと思えてね。何か微笑ましいの、シリウス以外で息子みたいだと思えたりしたから」
「┄っ┄ば、ばっかなのか、お前ら夫婦は、今日は何でそんな┄妙な事をほざきやがるんだ‼」
だいたい俺も俺で喜んでんじゃねえよ。ムカツクな!
ジロリと睨むと、相手はクスクスと笑ってばかりで、非常に不愉快になり、俺はそうそうに出掛ける準備をした。
「あら、何処かにお出かけ?」
「┄┄ああ、そうだ」
短くだが、それだけ告げたあとに妻の奴が意味深に笑う声がしたが無視をして、俺は屋敷の廊下を歩き、途中にサルファンと会う。
するとサルファンは一度、俺を認識したとき、何処か憎しみを込めた感情があったが、すぐにそれは霧散して、俺の横を無言で通り過ぎていた。
もしかしてサルファンは気づいてるのだろうな、俺が何者なのかを。
まあ、いいさ。
これも運命だしな。
だからこそ俺もサルファンを無視して玄関に向かい、ふと屋敷の中を見ると、また不可解な痛みが心を刺す。
胸に手をあてるが、これが何の感情なのかは俺には、まだわからない。
でも、俺が俺である標のようで口元は自然と笑っていた。
屋敷から玄関の入口へと向き直り、俺は向かう、この世で大切な願いを叶えてくれる存在がいる人物に会いに行くために。
◇◆◇◆◆
王都の商店外にある小さな薬屋の扉を開けて中に入る。
「いらっしゃいませ┄って、あら┄貴方は」
「どうも、あんたに頼みたいことがある。聞いてくれるんだろ」
店主の女は、しばし俺を見て驚きもせずに
「┄そっか、そんな展開なわけね。いいよ、頼みは聞いてあげる。中に入って、グラビアスさん」




