90 協定と情報 1
夢現より目が覚めた瞬間、ボンヤリする光を感じていると、俺はどうにも横になっているようで、ローテーブルが通常よりも横に見えたからだ。
俺┄現実に意識が戻ったんだな。
なんともボーッとするけれど、夢は現実として認識したせいか、不思議と悪い気分ではなかった。
起き上がり、前方にいるであろう人物を見れば、俺を楽しげな表情で見つめてシタリ顔を浮かべている。
「┄どうだった、偽りではない本当の真実の記憶を間近で観測した気分は」
「別に不愉快さはあったが、悪くはないとだけ言っておく」
「┄ほう~悪くはないか。でっ、お前はどうしたい、父親やラーナリア、ミラに対して動く気はあるのか?」
偽りではない本当の真実を知った俺に対しての門答をするローズに、つくづく昔から、本当に変わらないと感じて苦笑した。
「あるさ┄ラーナリアとは約束したからな、それにローズ、あんたにも約束したからな、ミラに対して守るとさあ」
「┄フハハハハハ、記憶が戻ると昔のように口調が変わるか。まあいい┄さすがに思い出したのならな」
俺とローズは互いに苦笑混じりではあるが笑み。次には微妙な間が空きつつも、話しをすることにした。
変に黙ると、ローズからのカウンター攻撃の言葉攻めがあるのは理解しているからだ。
いまはお互いの和解よりも、もっと重要なことがあるから。
「┄父上に対して、いまの状況と情報を互いに交換しないか、見たところ┄色々と知っているのだろう?」
「ああ┄まあな」
「ならば父上を助けるすべも、あるんではないのか? 今回の矛盾点が、モヤモヤしていたからな」
「ほう┄気づくまでのところまでの情報を得ておったわけか。良いだろう、教えてやろう。もとよりシリウスには協力してもらわねば、私も動けんしな」
ローズは俺を見てくる瞳は、真面目で真剣な表情となっていることに、父上の事を尊敬しているのだと再確認する。
記憶の中にいるローズは先生としては立派だが、俺の父上に対しては崇拝している程に、俺にもああなれと言われたこともあったんだ。
僅かでも、まだ父上が正気であったときのことだろうけど。
だからこそ、いまの状況に対しては打開したのだと、俺にもヒシヒシと感じてくるのだ。
俺だって、あの夜のような父上に戻って欲しい、そうすれば弟の事も心配せずにいられるのだから。
それに┄いまの父上に成り済ましている人格も、どういうわけか昔に比べると大人しくて、俺を見る瞳が寂しげなんだと気づいたのだ。
「なら、お互い情報交換だ」
他意はない提案に、ローズは乗ってくれ、互いにある情報を交換するように話し合いをしていく
そして数分ぐらいたった頃合いに、部屋のドアを叩く音がした。
「┄来たようだな」
「ん? 誰がだ?」
話の途中にまでは、まだ矛盾点が否めずに、ローズを見れば、静かにほくそ笑み
「┄私の息子の二人だよ」