89 別れと決意の中で
ラーナリアとの別れです。
やっと夢から現実戻ります、クッ長かったよう。
暖かく包み込むラーナリアの温もりと匂いは、俺の中じゃあ母親のようで安心する。
ギュッと抱き締め返すと、ラーナリアは、頭を優しく撫でてくれ落ち着くけれど、目の前にいるラーナリアの存在は薄くなり始めていて、胸が苦しくなる。
「┄もう無理なんだよな、ラーナリアには会えないんだよな」
「はい、私は命亡き者です。ローズ様が与えてくださった仮初めの命、貴方に真実の道を統べる案内人ですから」
「┄┄そうか。なあ┄ラーナリア、お前の墓前に何が欲しい、前に約束しただろう。俺が好きになった奴をいつか紹介して、そんで┄そんで┄さあ、ラーナリアには一番に贈りたい報告の言葉とプレゼントを贈るって┄」
ヤバイ泣くな俺、良い大人がここで泣くとか格好悪いじゃんか!
ギュウとつい力を入れて泣きそうな顔を隠していたら、ラーナリアがクスクスと笑い出した。
なんっ! なんでわらう!
俺が必死こいて格好つけて我慢してるのにとムカッとして、ラーナリアから少し距離を離すと、そこには暖かい眼差しで俺を見詰める姿があって
何処か儚げでいて、憂いはなく笑顔を向けられていた。
「シリウス様、私はとても幸せ者です。このような暖かくも強くて優しい方は、もう一人の自慢の息子です。もしも┄墓前に贈るのでしたら┄┄┄を」
ラーナリアは俺の耳に墓前に置いて欲しいものを話してきた、それを聞いて一瞬驚くも、必ず贈る約束をする。
するとラーナリアは花が咲くように笑い、再び俺を抱き締めてると離れて、侍女が主人に対する敬愛の礼を取る。
「我が力の主君に最高の祝福を」
ラーナリアが生まれ故郷の祝福を俺に贈る祈りをくれ、複雑な気持ちになるけれど
「感謝の言葉を胸に刻む、よき未来を来世にて願う、ラーナリア」
と別れの言葉を告げた。
そのとき光の粒がラーナリアを纏い包み込むと、姿が天の神にアリアンロードに召される段階になり光は拡散していくようだった。
「┄ラーナリア、俺、俺さあ! お前に会えて、すっ┄┄げえ、幸せだった、大好きだぜ母さん‼」
「ふふ、私も大好きですシリウス。幸せに幸せになって、今度こそ┄」
「ああ、ああ絶対に幸せになってやるよ、母さんが心配しないように」
俺が決意を込めて言った宣言に、ラーナリアは霞に消えるような光の中で笑ってくれたようにみえた。
いや、みえたんじゃなく、笑ってくれたんだよな。
光が上空に昇るのを消えるまで眺めたあと、俺は白い空間に現れた扉を見て苦笑する。
夢から現実にもどるってか、嫌味だよな、まったく。
俺は扉の前に行きドアノブを回し開けると、現実にある意識へとリンクしていき、白い空間から俺の存在は消えた。




