88 命と父親②
意識は魂のように側にいて俺は、自分を見下ろすなかで、父上に切り刻まれている。
ボロボロになっているのに、意識があるような、ないような表情を浮かべていて、口からは血を吹き出している。
このままだと俺ってば死ぬなとか客観的に思っていると、バサリと羽根音がしたと思ったら、いつのまにかローズがいて父上の化物じみた素早い動きを避けて何かを打ち込んでいた。
「まったく世話のやける方ですね先輩は、どうです意識┄戻りましたか?」
「ああ、世話になったな。」
「┄いえ、前より作っていたものを改良しただけですから、それよりもシリウスを┄┄っ!」
ローズが俺の身体を見て、父上に何かを促す前に、唐突に幼少期の俺の身体に異変が起こり始めていたのを目撃する。
「┄っ┄ヤバイ、俺のせいで精神的に、危険だと判断してしまっている、クソッ! ローズ、記憶改善を止める手を貸せ‼」
「言われなくても力は貸しますよ、下手すると、あのときの二の舞ですからね」
「ああ、あのときよりかは、ましな筈だ。結界を張れ、俺は治癒と記憶制御と力を注ぐ‼」
「┄いいんですか、貴方の力は┄いえ、先輩は自分に不利益になることはなさいませんから、信じます」
「俺は良い後輩をもてて幸せだぜ」
「それはお互い様かと」
お互いに笑い出したあと、ローズは空間に結界を張り巡らせていく
父上は優しい眼差しで、俺に近づき顔に触れて
「┄シリウス、愛しい俺だけの息子よ、厳しい運命の中に置いてしまい俺を許せないと思う、いつか┄お前に憎まれ、恨まれるのは辛いが、心から受け止めるからな。」
「だから生きろ、生きて今度こそ、運命に勝ち抜け、俺は俺でお前を守ってやる、命をかけてもな」
悲しげに笑み、次には真剣な面持ちになり、心臓の方に手を翳すと父上の姿が漆黒に染まり、黒いオーラが顕現していき
「始まりの王の名により、我が力を半分授与する、受け取れシリウス‼」
父上が翳す手から俺の身体へと黒いオーラが纏い出した瞬間、ビクンと身体が跳ねると、俺の髪色が変化していた。赤が紅に濃くなり出す。
その反応に父上は満足し、次には全身の怪我が完治していき。
俺は安らかな規則正しい寝息をたてていた。
「これで無事な筈だ、あとは頼む力を使い果たし過ぎた。」
「いえ、あとはお任せを」
ありがとうと呟いたあと父上は、バタリと眠るように意識を失った。
父上が助けてくれたんだな。
これか、力で記憶を改善した原因は、でもローズを何で恨んでることになってたんだっけ?
「さて、私は私の仕事をしますかね。」
ん? ローズが俺に何かをしようとしてないか?
ローズは俺に近づいて早々に、俺の意識を戻そうとしている。
「┄シリウス起きなさい、目を覚ませ!」
ビリッと電撃を走らせる感覚と共に目を覚ませている。
まだ意識がハッキリしていないなかで、ローズと目を合わせた瞬間、ビクンと身体が跳ねた
「┄シリウス、貴方は私の弟子でしたが、今日より忘れなさい。いまからは、貴方は一人だ、大切な者は私が貴方より奪った。恨み生きる糧とし、生きなさい、良いですね。」
「┄┄」
コクンと頷き、再び意識は消え失せていく。
そのタイミングを見計らうように、森の近くに潜んでいたらしいクウガが現れると、やりきれんばかりの苦い顔をしていた。
「┄旦那、セルジオはそんなことまで、背負わすつもりないと思うんだけど」
「いいんだ、これは自分の自己満足、先輩は関係ないさ、弟子を守れずに何が師かと思うんでな。」
「ふーん、ならいいんだけど。でも┄いつか知られるぞ、こんな茶番は」
「┄┄だろうな。だけど良いと言ったはずですよ、いまは支えを失ったんです。それを自分のせいにし、自分を責め立てるなど、私のようになって欲しくありませんしね。」
「┄┄ロベルト君ですね。」
「ああ、そうだ。」
クウガとローズが、一瞬だけ辛そうにしていたが、頭を切り替えるように首を振り、俺と父上をそれぞれに抱えて移動していた。
┄┄何だよ、それ┄ローズって馬鹿なのかよ、俺の為って┄意味わかんねえよ。
何がローズは敵だよ、俺ってば見当違いも鼻正しいじゃんか、こんなの知ったら、父上には思う所はあるが、ローズとは気まずくなるじゃんかよ!
色々とぶつかっては議論してたし、気にくわないからと┄┄┄┄くわっ! 穴があったら入って埋りたい、いやいっそ埋めてもらうか?
ぐおーーー‼ と頭を抱えて、己れの恥に苦しんでいると、クスクスと笑い声がして、横を向くといつの間にか、もとの白い世界にいてラーナリアが優しく笑いだしている姿があった。
「ふふ、ローズ様と仲良き日を思い出しましたか。」
「┄┄嫌な感じだけどね。でもまあ┄嫌味を炸裂してるところとか、毒吐いてる所は絶対に性格ひね曲がってると思うけどな。」
「あらあら、ローズ様のことよくおわかりですこと。大好きなんですね。」
「はあー嫌いだし、誤解解けても仲良くなれないし、俺は!」
「まったく素直じゃありませんね。」
ふふと笑っているとき、ふと何かを思い出したのか、俺に向く
「シリウス様、ミラにも運命の悪戯で困難なときがやってきます。うちの旦那だった人を助けてあげて下さいませ」
「┄え、それって、どういう意味┄ってラーナリアの身体が透けて」
「もう時間かもしれません、私がここにいられるのは、ミラの願い叶えてあげて下さいねシリウス様」
時間とかミラの願いってなんだよ!
と告げる前に、ラーナリアが俺をギュッと抱き締めてくる。




