82 真実と記憶、そして…②
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指定された場所に走って急ぎ、たどり着いた先には、丘の近くにミラがいて、その近くにはフォルトロンが立ち不敵に俺を見ていた。
何だか妙だな、ミラが動かないし、ジッとしているのが気にかかるが、俺は神妙な面持ちでフォルトロンに声をかけた。
「┄来てやったぞ、カリエナと彼女は何処だ‼」
「う~ん、何処だと言われてもな。近くを見れば一目瞭然だと思うけど、ククク」
クイッと視線を丘の近くに聳える森の方向を示していることに気づき、その方向を向くと、乳母のラーナリアが木の幹に埋め込まれ、意識を無くしている、そしてカリエナは┄いなかった。
「┄なんだこれは! ラーナリアに何をしやがった‼ カリエナは何処だ‼」
「そこの女は┄あまりにも抵抗してうざくてな、クソガキの前に自然魔法で眠らしてるわけ、クソガキはまあ、ミラが助けてさあ~今頃、先生のもとで保護してるんじゃねえの」
俺が来る前に、ミラがカリエナを助けてくれたんだな。
でも┄なんで、ラーナリアだけを眠らす必要があるんだ? いくらうざいからだと?
「┄┄フフ、そこの女の処遇に疑問をもったか?」
つい顔に出ていたようで、フォルトロンに気づかれて、ジロッと睨み返せば、フォルトロンはえらく楽しげに笑みを浮かべる
「図星のようだね。まあ、そうでなくては面白くないし」
「お前、いったい何がしたいんだよ!」
「応えるわけないだろ。さあて役者はそろったし、シリウスには不幸になる一歩として、良いものを見せてやるよ」
フォルトロンがクククと笑みを浮かべたまま、近くにいるミラに何かを呟くが俺には聞こえず、妙に嫌な予感がし、ミラに近ずこうとしたが
ゆらりとミラが生気のないような表情で俺を見ていてビクッとした。
いつもの無表情ではなく、笑みを浮かべているが、目は血走り、まるで獲物を狙う狩猟本能を全開にしている動物のように目が据わっていた。
俺は本能的に自身の得物を構えた、すると次の瞬間、ミラがタンッと軽く足を蹴り、凄く速いスピードで俺に向かって襲いかかってきた。
一瞬┄躊躇うが咄嗟的に剣を防御体勢をとり、ミラが無数の小型のナイフを投げてくる、俺はそれを素早く薙ぎ払った。
しかし、小型ナイフは誘導のようで、ミラがいつの間にか俺の背中をとり、腹部あたりを切り裂く
「┄クッ」
腹部の痛みは手を当てれば、血が滲み赤く染まるのを見て、なんでミラが俺を襲うんだよ。
と思ったとき、ミラが再び攻撃体勢をとるせいで、俺は咄嗟に反撃をしようとした。
だがミラを傷付けたくない気持ちがあったせいか、2撃目の攻撃をもろにくらってしまうものの、出来るだけ回避した。
いまのはヤバイな、確実に急所一歩手前だった。
どうする、どうしたらいい‼
俺は何故にミラが襲うのかを考え、ミラの正気でいる可能性はなく、確実に様子がおかしいことを
まっすぐにミラをよく見れば、ミラの瞳が黒く染まり、虚ろだった。
この症状は闇か、闇が増幅し身体を支配していると弥生さんに教えてもらった。
時折、身体検査に俺も闇属性の部分があると知って詳しく聞いたからだ。
この症状なら対策は知っている、俺は得物を捨て、ミラの攻撃を回避し腕を掴むとミラが血走りの瞳で肩に噛みついてきた。
肉を食い千切るような激痛があるけれど、ぐっと痛みを我慢しミラを抱き締め、そしてミラの首に軽くキスを落とし俺の力を注ぎ込む
闇属性は闇属性に対する耐性がある、だから相殺する部分だけを俺が受け止め、変わりに正常たる魔力を相手に与えれば応急処置ていどには回復する
正気に戻れミラ‼
胸中にて叫び、ミラを呼び続けるとミラが噛みついた肩から力が抜けたようで、ガクッと俺に寄りかかるように体重がかかる
「ミラ、大丈夫か?」
俺は抱き締めたまま、声をかけたらミラが一瞬┄何があったのか理解できないようで、動揺していたようだった。
「┄え、なんでシリウス様が┄って、どうして抱き締められて、いや、それより傷、誰がこんなっ!」
「ふふ┄落ち着いてミラ、いまは何も考えなくていいから」
「┄シリウス様?」
俺はミラを安心させるために笑い、よしよしと頭を撫でた。
そのとき
「┄へえ~ミラの暴走を止めたのか、つまらんな。いっそ殺し合って、だ~いすきな人をその手で殺してくれたほうが舞台的に面白いのに、悲劇たるものが闇に染まり復讐するって感じでさあ~」
と楽観視した物言いをするフォルトロンに俺はジロッと睨み、ミラはフォルトロンの声で何かを思い出したのか、腹ただしい気持ちでフォルトロンに怒鳴る
「┄フォル、どうして┄私のお母さんにあんなことするのよ‼」
「え⁉┄ラーナリアがミラの母親?」




