77 フォルトロンの思い
後ろからの一撃で、先程の気分が霧散してくれ、横を向くと呆れたようなフォルトロンがいた
「┄えっと、止めてくれてありがとな」
「いいよ、お前らしいし」
ニッと明るく笑みを向けられ、俺は苦笑する。きっと負のエネルギーにあたりすぎでおかしくなったのだろう
そう思っていると、ミラが側に来て
「あれって、禁忌の魔女なのですか?」
と疑問を投げかけてくる。
妙に鋭いように魔女を見据えるミラに、俺とフォルトロンは、どうしたのかと思うが、もとよりここにいれば危険であると思い出し、魔女を見据えたとき
「┄なるほどね、へえ~そうなんだ。あの人の思った通りにねえ~いいわよ。うん、後で合流しましょう」
急に誰かと会話しているような魔女の言動に不可解な気持ちを感じる
言葉の転位のスキルだろうが、なんだか気味が悪くて、変に背筋が寒い
「┄┄なあ┄シリウスにミラ、僕が、時間を稼ぐから、逃げろ‼」
「え? 何だよ、急に⁉」
「┄魔女の奴が僕達から思考が逸れている、いまじゃないと逃げられないからだよ‼」
「なっ、無理だ。お前を置いてなんて┄┄」
行けないと言おうとしたが、ミラが俺の腕を掴んで走り始めた。
何をしてんだよ⁉ ミラ‼
と怒鳴ろうとしたが、ミラも青い顔をし汗が出て、恐怖心が込み上げていて、唇を噛み締めた姿を見て
気持ちは俺と同じだと思った、でも┄あれは、あの魔女を一人で戦うなんて無謀だ。
フォルトロンは優しすぎるし、人を殺せない奴なんだ、一人残されていいわけがない‼
「┄シリウス‼ 必ず生きて再会するから、ミラを頼むな‼」
魔女と対面しながら、俺とミラの事を思うフォルトロンに、バカヤロー! と文句を言って、ミラの手を掴み走り続けた
◆◇◆◇
シリウスがいなくなったあと、フォルトロンはホッとした。
これでいい、シリウスは俺を唯一、殺してくれる相手だ、狂う前に会えて良かった。
「あら、貴方、危険な状態なのに笑うのね」
目の前にいる魔女が、俺を見てほくそ笑み、楽しげだ
そりゃあ、そうだよな。
あんたは俺と同じ眷族だからな
「┄子供だからと、甘くみないでくれないかな。せっかく、あの宝剣で、俺を殺せる相手に出会えたんだ、あと餌もな」
「あらあら、そうなのね。計画は順調ってことなの、嬉しいわ」
チッ、魔女を殺そうと、したいのに、口が勝手に動く、くそっ! 俺の体の自由を返せ!
「┄はは、計画は順調だ。シリウスの両親には種を植えている、貴女の願いのままにな」
ヤバッ身体が軋む、勝手に成長させんな。ムカツク
「┄抵抗すんなよ、お前だって願ったんだろう、大好きな女の血を食いたい、友人に殺されたいって。でも┄それじゃあ面白くないだろう」
「せっかく負のエネルギーを喰える身体なんだ、友人も好きな奴も不幸にして、貪るように喰えよ、俺が協力してやるからよ」
ふざけるな! 俺は、そんなこと思ってない、思ってないんだ!
「┄素直じゃないよな┄まあいいや、なあクシラ、こいつにトドメさすためには、どうしたらいい?」
「ふふ┄そうねえ~、友人を操り、大好きな女の子を傷つけるのもいいわよ。それに心を壊すなら、大事な人を殺すの、八つ裂きにして、快感よ」
クスクスと物騒な事を告げる、魔女に俺はゾッとする。
「┄ふふ、いいねえ~なら、その二つを採用しようかな」
なっ! やめろ!
成長して大人の姿へと変貌するが、鏡に映るのは、大好きなミクライスの姿と似ている、ミク兄さん、俺を止めてくれよ!
リングのある、指に手をあてると暖かく勇気をもてる、いまだけでも抵抗してやる
身体を返せ!
「チッ、無駄な抵抗しやがって!」
くっと唸るが、主導権を握ってやった。
「┄┄魔女クシラ、あんたの計画は絶対に壊してやるからな」
「ふふ、あらあら、元に戻ったのね。まあ、止めれるものなら止めてみなさい」
「┄┄僕は、あんたが嫌いだ」
俺は、魔女から離れるように歩く、見逃されてるようだが、もとより力の方は協力者だからな
なれない身体を扱い、建物の外に出ると、夜は濃くなり、闇が包み込む
俺は手にあるリングを、伝達の手紙にして、大事な人の元へ転移させた
「┄ミク兄さん、俺の事は見捨てていいよ。父さん、力に抗えない息子でごめん」
頬に涙が伝い落ちて、泣いているとわかる、でも┄顔の表情は死んでいた。
行こう、シリウスの所に、行って自我があるうちに、殺してもらおう
◇◆◇◆
山をかけて走るにしても、足場が悪くて、時おりこけたりしたが、ミラが手をかしてくれて、どうにか起き上がり、走り、休憩しながらも下山する
少しの距離は稼ぐ事ができた頃に、休憩する
「┄フォルトロン、無事だよな!」
「┄┄無事よ、あいつ┄昔から頑丈だから、それに逃げ足も早いのよ」
「確かに、鬼ごっこでフォルトロンを追うの難しかったもんな」
「そうよ┄だから大丈夫なの」
無理矢理、そういい聞かせるように言われ、不安だとわかる
俺だって、本当なら殴ってでもフォルトロンを連れて行きたかった
怖くてにげたんだよな!
情けない! と思ったとき、後方より足音が聞こえてきた。




