76 大事な記憶と約束③
場面は暗い闇に近い時刻となって、夜空は新月のため星だけが煌めいているなか、近くには教会だろう建物と孤児院が重なった場所に、俺がいて、ミラとフォルトロンがいた。
『┄あれ? フォルトロンがいるな、どういうことだ?』
『┄┄シリウス様と、ミラが仲良くなった後、シリウス様がフォルトロンをミラ様に紹介したのですよ』
『┄え⁉ そうだったか?』
俺はどうにも理解出来ずに、考えるが記憶には引っ掛かりがなく、首を傾げていたら
ラーナリアが側により、俺の頭を軽く撫でると、頭痛が何故か消えた
何をしたんだ? と思っていたとき、フォルトロンの事を思い出した
そうだ、フォルトロンを一緒に訓練に誘ったんだよな、ローズ宰相の生徒でミクライスの従兄だ
ミクライスから、まだ未熟だから親には内緒で訓練をやって欲しいと、もともと孤児院にて養子として、どうにも気を遣い過ぎて優し過ぎるためだった
それにミラとは、孤児院で知っているから、俺も俺でフォルトロンの事は嫌いではなかった。
だから仲良くなるのに時間はかからなくて、この日も一緒に訓練したあとに、探検しようという話になって
『┄┄怪我をさせたんだよ、俺が』
俺は再びシンクロし、意識は子供の俺となり、動き始めた
◇◆◇◆
「┄なあ、シリウス、この先にあるんだぞ、伝説上の宝剣が」
「え⁉ なんで、この先にあるなんて知ってるんだよ」
「シリウス様、フォルってば昔から、裏山とか、近くの森や町中を探検するの好きだったんですよ」
だからか、と納得するが、ミラもミラでフォルトロンを止めろよな! と突っ込みたくなる
まあ~ここまで、止めなかった俺も俺だけどさ
「なあ宝剣を見に行くのは良いけど、大丈夫なのかよ、夜の新月に行くなんてさ」
新月には、陽の精霊が弱くなり、陰の精霊が強くなると言い伝えがある。
とくに悪い魔力が漂うような場所は、ラーシュからも行くなと言われていたからだ。
「┄大丈夫だ┄俺は、二人には見せたいんだ。いつかのためにも」
『『え⁉ 何か言ったかフォルトロン?』』
『うんん、何でも。それより大丈夫だから、行こうぜ、せっかく集まったのに無駄にしたくないだろう!』
ニカッと笑みを浮かべるフォルトロンに、ミラと俺は、互いに笑顔になり、困った弟分だとついて行くことにした。
歩くことしばし、教会の裏山に登り進んで行くと、古びたような建物があった
廃墟は夜に見ると、気味の悪さが際立ち、ぞわ~っと寒気を感じる風貌で、ちょっと怖い
『ここか?』
俺が声をかけると、フォルトロンは頷き、ミラは、不思議そうにただ眺めていて、恐怖は感じてないようだった。
そして建物内に進んでいくと、中は外見と違い、しっかりとしているらしく荒れてはおらず
テーブルと椅子は真新しい
「ここ、誰か住んでんのか?」
「うん、神官長のファルティマだよ。いまは仕事で出掛けてるんだ」
「へ? 神官長が、何でこんな廃墟に?」
「これを守護してるからだよ」
フォルトロンが何故に詳しいのか知らないが、指を指した場所をミラと俺は見た
そこには、神の威光の如く輝いた宝剣が壁にかけかけてあったが、見ているぶんには良いが、触る事は憚られる
「美しいけど、何か怖いな」
俺がそう呟いたら、フォルトロンは「やっぱり」と呟いていたようだったが聞こえず、ずっと眺めていると
「なんだか、変よね、これ」
とミラが言ったのを聞いて、横を向くとフォルトロンがニヤリと笑う姿があった。
その笑みは普段のフォルトロンとは、違い邪悪で憎悪の負を集めたように黒い笑みでゾッとし
「おい、フォルトロン!」
と名前を呼べば、フォルトロンは俺を見ると、負のオーラが霧散し、いつもの優しげな表情に戻っていた。
いまのは、見間違いか?
「┄なんだよ、人の事を呼んで放置か。放置プレイか!」
うん、こんなアホな事を言う奴が、あんな目をしないよなと
「なんでもないって、それよりミラは、この宝剣を見て変だって言ってたけど、何処が変なんだ?」
「うん、なんだか似てるんだよね。旦那様の雰囲気に、そんなわけないよね」
ローズ先生に?
そう思い宝剣に目を向けると、雰囲気は確かにローズ先生に似てはいると気づいたとき
建物内に何処かより風が吹き始め、俺とミラ、フォルトロンの後ろに人の気配を感じた
「あらあらあら、ファルティマ神官の留守中に宝剣に悪戯しにきたら、可愛い子供が3人もいるじゃない」
えらく艶のある声で、俺は咄嗟にフォルトロンとミラを背に庇うようにして、すぐに得物の双剣を構える体勢をとり相手を見据え観察する
その女性は、黒いワンピースドレスを着ていて、長い髪を腰まで伸ばし、目はつり上がり、紅い口紅をつけている姿があって、色気のある雰囲気だ
しかし匂いは不快に感じるような血の鉄錆びの感じだった。
まるでついさっきまで、人を解剖したようにドレスの端々に血が飛び散るように付着していた
ヤバイ、こいつは危険だ
「┄誰だ、お前は‼」
「ふふ、なあに小さなナイトさん。あら、わたくしのこと、知りたいの? そうねえ~わたくしは禁忌に棲む魔女クシラよ」
「┄禁忌の魔女⁉ ってクロードを拐ったときにいた魔女か⁉」
クロードがまだ、俺と出会う前に誘拐され、魔女に命が危うくなる呪縛を施されたと聞いていた。
その本人とまさか、ここで会うとは、運が良いのか、悪いのか、いまの俺では叶わないことだけは理解していた。
すると魔女はクロードの名前を出したら
「┄そう、貴方┄知ってるのね。わたくしの玩具を、フフハハハ」
楽しげに笑い始め、雰囲気に負のエネルギーが溜まり始め、魔女に凝縮するように集結していた。
なんなんだ、あれは⁉
と驚くが、ミラとフォルトロンを守るようにしていても、妙にあの闇を見ていると、恐怖と同時に魅惑な餌に見えてきて、喰いたいと感じた
どうして、そう感じるのかは理解出来ない、ただ食い千切るように刻みたいと思ったとき
ベシッとフォルトロンが殴ってきた。




