75 大事な記憶と約束②
人に指摘しながらも未熟さがあると、断言してしまえば説得力が欠けるよなと彼女の様子を伺う
すると俺の言葉に対して反論はなく、指摘された事に納得したようで、俺に未熟ならば一緒に訓練しようと提案されてしまう
へ? なんでそうなるの?
と思ってしまうけれど、彼女と知り合いになりたいと何処かで願望としてはあった。
きっかけなんて、いつ何時、訪れるか、わからないもんなと思い、俺は承諾し、彼女との訓練を日課にするようになった。
一日一日を過ごして、互いに手合わせをし、木刀だが怪我はすることはないため、打ち合ったり休憩がてら話たりして、互いに自己紹介もした
そして彼女の名前を知ることが出来た
彼女の名前はミラ・ルーラと言って、シルフィナ家に養女となっていて、奉公しているらしい
何故に養女なのに、奉公人なのかと疑問をぶつけたら
「貴族に養女としては来ましたが、娘ではなく、お嬢様のお世話を重点に考えているのです」
「それに働かざるもの食うべからずと言う諺もあります。ふんぞり返って何かをしないのは大嫌いなので、色々としているのです」
確かにお嬢様って感じ、じゃないもんな、服装なんてメイドだし
でもその考えは嫌いじゃないな
「格好良いなルーラは」
「はい? か、格好良い、ですか?」
「うん、格好良いよ。僕はその考えは好きだな」
「┄┄ありがとうございます」
ミラが照れくさいのか、そっぽを向いて照れている姿に、ちょっと可愛いとか、つい思ってしまい俺まで照れてしまった。
この会話から、少しは互いに距離が縮んだ気がした。
でも女の子の友人なんて、初めてだったから、どう接したらいいのか、わからないもので、友人のクロードとルーヴェンスに相談したら
二人してニヤニヤされ
「お前が女の子とかよ、珍しい」
「┄ハハハ、女の子とか隅に置けんなシリウス」
と言われ、ムカツクが事実、初めてなので、からかわれてもしょうがないとは思うが、ニヤニヤする顔は許せんなと睨んでしまう
「┄悪い、怒るなって、まあアドバイスとしてなら女の子として、その子に接したいならすればいい。でも女の子としてじゃなく、仲間として訓練生の先輩として接すればいいさ」
「┄そうだぞ。その子がどんな感じかを観察して、どうしたいのかを瞬時に考え、自分がどうするべきかで動けばいいと私は思うがな」
まだニヤニヤしているが、的確な言葉に納得してしまい、複雑な気持ちになるが、一応は感謝した。
それから一週間ぐらいたった頃に、彼女とはグッと仲良くなり、互いに名前で呼ぶ仲になっていた。
「┄シリウス様は、将来は何になるつもり何ですか?」
「え?┄う~ん、そうだな誰かを大事に守れるぐらいの人物になりたいかな」
「それって騎士とか┄ですか?」
お互いに大樹の下で座り、将来の話をするなんて変な感じだと思う
「┄騎士か┄良いかもしれないな。強くなって誰かを、うんん、市民を守れるように力をつけてさあ、大事な人を見つけて守りたいかも」
力をつければ、両親に疎まれ、嫌われることもないよな。
ときおり痛む身体の打ち身に、苦笑を浮かべていたら、ミラがジッと俺を見ていることに気づいた
「うん、なに?」
「┄大事な人に私は入ってるんですか」
「え⁉┄え?」
つい両親の事を考えてたのに、ミラの発言に驚き、動揺してしまう
だってキョトンと可愛い仕草で、驚きの言葉を投げ掛けられたのだ、大事な人の所に、自分はいないのかと
何だろうか、胸がドキドキする
「┄大事な人に┄ミラは┄入ってるよ」
「本当ですか?」
「うん」
一瞬だけ不安そうだったけど、俺が頷いたとき、ミラから、今までみたことのない笑顔を向けられて、胸のドキドキがヤバイぐらいに早くなり
カーーッと顔に熱がじわじわと赤くなっていくようで、ミラを直視できず、視線を逸らしていた。妙に恥ずかしい気持ちになる
◇◆◇◆
ミラの笑顔は、このときから可愛いかったんだな。もったいない、っていうか俺ってミラに惚れてたのかもな、このとき
うん? このときってことは、今もってことはないか? いまだってミラの事を思うとドキドキするんだよな、あのプレゼントのときだって
抱き締めといてなんだけど、邪な気持ちがなかった訳じゃない、俺だって男子だ、好きな人だから手を出したいと思う
いやいや、俺が好きでもミラが好きかなんて、わからないじゃん、俺
ハッいかん、記憶のドキドキでシンクロから外れてしまった。
そう思っていると、近くにいるラーナリアが、生暖かい視線を向けられて、苦笑しかもれでない
『┄ラーナリア、生暖かい視線向けないで』
『ふふ、このときのシリウス様は、私がカリエナ様の世話をしている間に、青春してたのですね』
『やめてくれ、なんか親に恥ずかしい場面を見られてる気分だから』
『あらあら』
クスクスと笑顔で笑うラーナリアに、余計に恥ずかしくなってしまう
そんなとき、ズキッと頭が疼き始めると同時に、急に画面が急速に動き始めた
まるで俺の意志ではないような感覚がした。
『┄フフ、彼ですかね』
『え?』
唐突にラーナリアが、優しげではなく、冷たい声で、外を眺めて、呟いていた。
『ラーナリア、どうかしたのか?』
『┄┄フォルトロン、彼が干渉してきましてね』
『┄フォルトロンがか、何故。と言うか、ローズ宰相の魔法に干渉したってことか』
ラーナリアは首を縦に振り、俺に視線を向ける
『┄焦れったいのかもしれませんね。無駄に幸せな出来事ばかり見せて、真実を見せてない私への干渉かと』
『これも大事だろう、それを無駄だと感じてるってことだよなフォルトロンは』
『そうなりますね、だって実際に、画面の記憶が変化しましたから』
指を画面の方向に向けられて、俺も顔を向けると、そこには頭の痛みと混合するように激しくなる
これもフォルトロンの干渉かもな、よほど俺に思い出せと言うことだろう




