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だらけたい白騎士隊長と苦手な侍女は内緒の和平を結ぶ  作者: ユミエリ
第一章 だらけたい白騎士隊長は苦手な侍女と内緒の和平を結ぶ
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67 孤児院の襲撃②ーミラ視点

書類の内容には、私が昔にお世話になっていた孤児院の教会に、盗賊が襲撃されていたことや、怪我をした子供がいたが死傷者が出ることはなく、終息していると記されていた


「┄犯人は、捕らえたのですか?」


紙より視線をお二人に向けると、コクンと頷く、しかし表情は微妙な感じで見られ、何となくの推測をたてる


「┄何かあるんですね、犯人と私に関係するような」

「うん、ミラ嬢に関係する、ことがあるんだ」

「君はフォルトロンと言う人物を知っているだろう」

「はい┄我々の裏切り者です」


暗部に所属し、あんな事件と私の大事な人を傷付け喜ぶ変態だ


「┄実はな、フォルトロンが襲撃を企て、孤児院を襲撃しろと命令されたようでな」

「┄なっ!┄う、嘘!?」


フォルトロンの奴が孤児院を、彼奴は、いくら裏切り者で闇に染まっても育ててもらった場所を襲撃するなんて


「┄もしかして、意外な、行動だったの?」


ヴェルス様が心配そうに声をかけられて、私は頷く


するとミクライス様が、言いにくそうに言葉を続けていいかい? と促され、少しの間を開けて返事を返した


「┄先を続けて下さい」

「わかった。それでなミラ嬢に、犯人より伝達を頼まれたのだ。本来ならばデタラメな情報は信じないのだが、その伝達は普通のものではなく、人の身体に別人が入り込んだようなものだったんだ」


ミクライス様は、そのときの状況を説明し始めた。


◆◇◆◇


ミクライスが犯人の取り調べをして二人目ぐらいのとき、風貌にも酒精の漂う身体に厳つい悪人顔の男はフォルトロンに頼まれたと一人目と同じような事を話していた


しかし┄唐突に異変は起きた、その男からはしゃがれた乾いた声ではない、身体の風貌と相反する声が聞こえてきたのだ


『あ┄あ~もしもし、聞こえるか、そこの役人さん』


えらくのんびりしたような声音に、何処かバカにしたような口調に、取り調べの中にいるミクライスと近くで警戒している友人のハルシェイドが、その男を見据える


「「だ、誰だ⁉」」

『┄ふ~ん、聞こえてんじゃん。だけど誰って言って応えると思ってんのバカなのか?』

「「な!」」

『ハハハハハ┄間抜けな面に変な声だしてやんの』


まるで┄此方側が見えているような口調に、取り調べの男を見て、気づいた。


いま話しているのが、こいつならば、乗り移り

視覚と聴覚を共有する能力を持っていると二人は考えると冷静さが戻る


「もう一度聞く、お前は誰だ⁉」

『うわ~つまんねえ反応、まあいいけどさ。僕はフォルトロンって名前で、お前らに伝言頼みたくてさ』

「┄伝言?」


とハルシェイドが疑惑気味に聞く中で、フォルトロンと言う名前に聞き覚えがあるミクライスは、ハルシェイドに「┄俺が話す」と言えば「わかった」と頷く


「お前はミラ嬢の知り合いだな」


ミクライスがミラ嬢と告げたとき、男の眉がピクッと反応する、やはりあのときの男か


『┄へえ~僕の名前で、気づくとはさすがは隊長格の人物だね。でもさあ~ミラの名前、勝手にだしてんじゃねーよ』


スッと男の目が座り、ミクライスを睨みつける


その反応にミクライスはニヤリとした


「ハハハハ、挑発を逆に受けてイラついたのかいフォルトロンくん」


クスクスと笑みを浮かべて言うとフォルトロンは、ギリッと歯を鳴らす


『┄チッ、無駄に会話するんじゃなかったぜ、要件だけ伝えることにする、ミラに伝えておけ、近々┄約束の日が近い、運命に逆らいたくなかったら、あの場所に来いってな』

「何だ、その伝言は」

『┄どうでもいいだろう、まあ伝えたくないなら、それはそれで良いぜ。今後の事件で闇の鳥が増幅するだけだし、じゃあな』

「┄なっ、まて⁉」


挑発して頭にくる所は、あのフォルトロンだと実感するせいで、ミクライスは舌打ちしたくなる


ハルシェイドはミクライスに近づくと、肩に手を置き、首を振る


「┄いまは、考えるな。奴は敵だ、奪われた者は、後々奪い返せ」

「わかってるさ」


ミクライスは己れの手にあるリングに、無意識に触れて、深く深呼吸をした


◆◇◆◇


少しのミクライスの事情は、割愛のもと省くように説明を受けたミラは、なんとも言えない表情のもと、ミクライスを見つめた


「伝言の内容は私からは説明出来るのは無理ですが、ミクライス様にヴェルス様、私はこれから少しばかり襲撃にあった教会の様子を見に行きたいと思います」

「そう┄気を付けてね」

「┄ミラ嬢、まだ┄犯人がいる場合があるから、気を付けてな」

「はい┄ありがとうございます」


私はミクライス様とヴェルス様に礼を言って、席を立つと部屋を出ようとしたとき


「┄フォルトロンの事を頼む!」


とミクライス様から言われ、振り返り「わかってますから」とだけ言えばミクライス様は、辛そうな表情で頷く


その姿に私は笑み、では┄また、とだけ言って部屋を後にした。

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