55 相談事とチルトからの願い④
俺が常に気を付けて話をしている部屋に移動したあと、部屋に誰も許可した者しか入れないように空間を遮断させ、盗聴されないようにしていく
チルトは部屋にあるソファーに座らせ、俺は対面に座り聞く準備が整う
「┄それでミクトの事だったな┄で、話の続きを聞かせてくれないか?」
「はい、俺はミクトを探し出して、助けてやりたいんです」
「助けてやれると、思うのか?」
「はい、根拠はないですが。最近チラホラとミクトの気配を感じるときがあって、俺に助けてほしいのかもと」
兄として助けてやりたいか、だがミクトは自制心もなく、自我などなく命令されたまま動いている
俺もクロードの婚約式に、チラッと見かけて追いかけたことがあるが、瞳など意識がないように虚ろだった
だが、ちょっとだけ、チルトの名前に反応したのは確かだった。
「希望としては薄いな、ミクトは命令に従順だ、意識がある場合とない場合がある」
「隊長はミクトに会った事あるんですか⁉」
「あるにはあるが、ほぼ┄偶然の中だがな」
「そう┄ですか」
シュンと項垂れるものの、チルトは俺に向いた瞳は強く決意は揺らいでいなかった
「で、チルトの気持ちはわかったが、俺への願いとはなんだ?」
助けてやりたいなら、チルト自身が能力や力をつける協力などするにしても、訓練で地獄のメニューを叩き込んでやるくらいしか出来んしな
とか思っているなか、チルトは真っ直ぐに俺を見つめてから、テーブルに両手をあて
「俺はミクトを探すためにも、貴方に探索の訓練をつけて欲しいんです」
「┄探索? 何で俺に探索なんて学びたいんだ?」
まったく検討違いの願いに、間抜けな声を出せば、チルトはミクトの場所に、すぐに駆けつけてやりたいことや、会いたい気持ちを強く願っていることを切実に話してきた
俺はそんなチルトの思いに、根負けして了承の意志を伝えた
「別にいいが、探索だから、訓練に新たなメニューを追加するってのも良いかもしれんぞ」
「え⁉ 訓練にですか?」
急に熱い思いが一気に冷めるように、嫌そうな表情をされて俺はニヤリと不敵に笑み
「そう訓練にだ、いつもの倍になるが、探索には相手の気配に鋭くなる必要があることが条件でな、見るにしても、色々と大変なんだ! せっかくチルトからの熱い思いに惹かれたんだ、徹底的にしごいてやるよ」
ニッコリと笑えば、身震いして青ざめるチルトにハハハハハと俺は機嫌良く、今後のチルトへの地獄メニュー訓練に思いつくまま、必要となる事柄を切々と説明していった
そしてチルトはその日、相談などしなければ良かったと、一人恐怖なシリウスの嬉々としたメニューを聞いて意識が飛び掛かったのだった
◆◇◆◇
楽しい追加の説明を終えて、白い屍となっているチルトなど気にせず、空間遮断と盗聴の解除をしたあと
「どうする、いまから訓練するかチルト?」
チルトに向かいニヤリと笑みを浮かべて告げていたら、ハッと息を吹き返したらしく勢いよく左右にブンブンと拒否るように振られ
なんだ、つまらんな
そんな気分になるが、このあとの予定の事を考えて、まあ、いっかと自己解決し
チルトと部屋を後にしたあと、一応の予定と今後は気を付けて動けと忠告をし別れ、俺は目的の場所に移動する
昼時ならば、ローズ宰相とミラ嬢が一緒にいるし都合がいいと思えるし
どうせ執務室に行くと、また書類がある気がして戻るなど逃げる機会には充分だと判断したからだ
それに本音を言えば、ミラ嬢の顔が無性に見たいと思う俺がいた
あの誕生日に、あんな甘えた事を言ってくれたなんて、嬉しいし、抱き締めた温もりと匂いは、ちょっと理性的にヤバかったけど
可愛いかったよな~
などと廊下を歩いてニヤニヤと緩む口をおさえて思いだし笑いを浮かべていたら
「なあに、変な笑みを浮かべているのですか、シリウス様?」
「え⁉」




