31 閑話3 二つの魂は噛み合う時があるーローズ視点②
ジルビオ先輩から見せてもらった酒に、私が驚いた表情をすれば、先輩は苦笑した
「やはり珍しい酒だっただろう?」
「そうですね、ですが1つ疑問が過ります、何故に先輩の事情を、その女性は知っていたのでしょうか?」
「┄それはわからんが、彼女は┄もしかすると、私やグラビアスを救える人物ではないかと思っている」
「救えるですか? ならば、シリウスも?」
救えると言う言葉に、シリウスの名前を出せば、首を振り私に悲しげな瞳を向けた
「いや┄シリウスは無理だ。あいつには私が力を注いだことで、近々┄反動がくるかも知れん」
「┄記憶の消失の反動ですか?」
「そうだ、グラビアスが何者かに暴走し、ラーシュの妻、つまりはカリエナの乳母を殺した時と、シリウスに手をかけ命が危うくなり出したときやミラ嬢を助けたとき」
「この3つが重なり、心が耐えられずシリウスの力は無意識に発動し、記憶消失の魔術が出てしまった」
「それにより、シリウスは命が危うくなり仮死状態になった。だから無理矢理だが、私の力を注いで命を永らえさせている、しかし┄もうすぐ切れかかっているんだ」
右目をおさえ苦痛な表情をする先輩に、私は何も言えなくなったとき
スッと黒霧が舞い、ラーシュ殿とクウガが現れた
何事だとクウガを睨めば、ハハハと軽く笑い
「いやはや、暗くなるのは早いですぜジルビオと旦那」とクウガが言い
「そうだな、俺がそんなことも知らずにシリウス様を失う事を許すとでも思っているのか?」
とラーシュ殿が言っていた。
私とジルビオ先輩は瞠目し、次には呆れる
「なんの根拠があっての発言ですか、ラーシュ」
「┄昔に助けて貰って、妻を貴方に奪われましたが、貴方が私に告げる真実は酷く残酷なものばかりだが、シリウス様という主人に出会えたのです。反動ごときに主を失わせるほど非道ではありませんから」
「┄ジルビオ、あんたさあ昔から、一人で抱え込みすぎだぜ。罪どうこうはローズの旦那が色々調べてんだ、シリウス様を助けないわけないって、それにさ」
「シリウス様も、真実は知らなくても生きる希望は見いだしたと思うぞ」
クウガは先輩と学友で同期なせいか、タメ口なため、後で叱ろうと考えつつ
まったく同じ気持ちになり、ジルビオ先輩を見つめ頷いたら
ジルビオ先輩はフフッと笑い、お前らバカだなと呟いていた。
◆◇◆◇
そんな光景をジルビオの中にいるグラビアスは、酷く気分が悪くなっていた。
なんかムカツクよな、友情という奴だろうけどさ
それにしてもジルビオのあんな顔、初めてみたな、俺にはあんな顔しないのに
無関心でいて無視したり、シリウスって息子の前なんて、親という顔をし、優しげだし
息子のシリウスなんて、俺のときとは違うしさ
まあ、それに何だか胸辺りがチクチクするんだよな、悔しいし、俺にだって人格はあるのに
不愉快だな┄┄
だが最近は、俺に対しては、普通の対応を見せてくれたような気はするが
戦って手加減がない慈悲もなしなダメージは酷いと思うんだがな
俺は座り込み、目の前にある人物達の光景を眺めているなかで1つの言葉に耳を疑うことがあった。
あのラーシュと言う人間の妻を俺が暴走して殺したと
そういえば、あのときシリウスの言葉に生意気な奴だと思い手をかけて暴力を振るったが、シリウスの顔を見ていたら脳内に命令が来たんだよな
俺を作り出した者ではなく、俺をジルビオに埋め込んだ奴の
ズキン
痛てえな、なんだこの痛み
『ほう~自我が芽生え初めてんだな、へえーこれは、これで面白いな』
「誰だ、お前は⁉」
『┄う~ん、僕かい? 声ぐらい聞いたことあるだろう、君を作りしものと志しを供にしている者かな』
「┄┄┄お前が、俺を暴走させたのか⁉ それに、俺にいったい何を┄させる気┄┄ぐっ!」
『うん┄自我があるとイチイチ質問されるのも癪だな、まあ┄今後のために呪符を強めとくか、近々会おうぜ、塵くず!』
パチンッ! と指の音がなると俺は頭から汗が出て、酷く脱力感が支配され息が切れた
今のが、俺を暴走させた奴なのか?
半端ない力を感じたし、ヤバイくらいに身体に震えを覚えるような恐怖を俺は初めて感じたのだった。
◆◇◆◇
ジルビオ先輩に対する話が纏まり、今後の話をしたあと、ラーシュ殿とジルビオ先輩は、二人で話があると帰ることになったものの
「もしも、シリウスが訪ねて来たら、今後も息子の事を頼むな、いつ表に出れなくなるか、わからないんでな」
少し苦笑気味に言われ、私は先輩にそんな事は自分で頑張って下さいよ! と叱咤すれば
クスクスと笑い
出来るだけな、と言われるだけで、ラーシュ殿と部屋を出て言った
私は近くにて待機し無駄に楽しげなクウガを睨みつける
「何を┄笑っているんだ、お前は?」
「┄うん? ああ、旦那が久々にジルビオにあって、らしくもなくやんわり会話してたもんで」
「┄┄┄らしくもなくね、まあ、そうかもしれんな。だが┄展開は刻々と嫌な方向に進んでいるように、思えてならんからかも知れん」
「旦那の勘っすか?」
まあな、と答えれば、クウガは明らかに嫌な顔をしていた
私の勘は嫌な時ほど、よく当たるからな
何も起きなければいいと、そう願わずにいられなかった。




