28 閑話2 安らぎは彼女がいるからーチルト視点①
クリスタ殿とクラヴィスト殿からの衝撃的な出来事や、己れの不甲斐なさを感じながら歩いているとき
前方にガイスとジマがいた
えらく心配げに見てくるため、明るく挨拶すれば、二人して近づいてくるなり
ワシャワシャと頭を撫で繰り回された
「┄何をするんだよ⁉」
「ハハハ、お前がわざと明るく振る舞うから悪いんだよ!」
「そうだぜ、何年つるんでんと思ってんだよバーカ!」
二人して両側より言われ、俺はかなわないなと苦笑してしまう
「ははっ、お前らがいて良かったよ」
「「┄┄┄」」
ジマとガイスが急に黙り、余計にワシャワシャされた。
「もうオッサン殺しめ┄あ~恥ずかし」
「まったくですな~」
パタパタと顔をあおぐジマとガイスに、お前らまだ28歳だろが、若いくせに
と思うが口には出さず、ヤメイ! と二人の手をはねのけた
するとニカッと笑い、今日は彼女のいる店にいまから行くかと言われた
「はい? いまからって仕事はいいのかよ!」
「いいんだよ! ちゃんと隊長には許可を貰ったしな」
「抜かりなしですよ」
フフフと笑い出す二人の顔が、昔の悪い顔になっているせいか、何か条件を出されたんだろうな~とか思ったのだった
◇◆◇◆
薬屋の店主で俺の幼馴染みの店に、俺とジマやガイスとでお邪魔すると、いつもなら店内でのカウンターにて、何やら怪しげな魔道具をつくっている彼女がおらず
店内からは美味しそうな匂いが込み上げてきていた
「┄えらく美味しそうな匂いがするな?」
俺がそう呟けば、ジマとガイスはクスクスと笑い、俺の背中を押して、奥のいつも邪魔している客間に連れていかれた
なんだ?
そんな疑問を感じながら客間についたとき、コタツに座る彼女とテーブルには、お鍋があり暖かな湯気が立ち上っていて、俺の鼻腔には旨そうな匂いがして腹の虫が鳴いてしまう
すると幼馴染みが俺に気づいたらしく、手招きをして
「┄もう、遅かったじゃない、準備出来てるから入ったら? 外┄寒かったでしょ?」
と言われた。俺はどうして? という疑問が拭えずに立ち尽くしていれば
「そうだぞ、嫌な事や辛いときは飯を食うにかぎるってな」
「そうそう、チルトには栄養をやらんとな、若いんだからよ」
バシッと背中を叩かれてジマとガイスに言われ
「ほ~ら! チルト、ご飯を食べよ♪」
と幼馴染みが笑顔で言われるものだから
もしかしてとジマとガイスが何かやったんだろうと、二人を見ればニヤリとしている姿に
まったくと思うのだった
それからあとは、お鍋をつつく事になり、幼馴染みがこの前よりも、いい素材で作った土鍋料理で【すき焼き】という奴らしく
肉、豆腐、白菜、糸蒟蒻などが入っていた。
卵を混ぜて、鍋の具材を絡ませてから食べるのが手順だと言われ、口に運べば
卵に絡ませた具材が口にまろやかさを出し、咀嚼と一緒に味わいが、出汁が口一杯に広がっていった。
ヤバイ、めちゃくちゃ美味しい‼
俺は幸せ感を噛み締めながら食べているなか、ジマとガイスは自分達で持参したのか酒を取り出し酒盛りをしていた。
「いいのか┄明日も仕事があるだろう⁉」
「ハハハ、大丈夫だ! 二日酔いなど、俺はならんからなハハハ‼」
「まあ、たま~には、いいじゃん、チルトも飲むか?」
などと言いながら、いつのまにやら結構飲んでいるのか、顔が赤くなり目が据わっていた。
「いや、俺はいい」
「まあまあ、チルトくん、飲んでみなって、俺の行き着けの酒だからよ~~」
「ハハハ、そうだぞ、嫌な事は酒にて、忘れるにかぎるのだ~~~」
トクトクと俺のグラスに注いでくるジマとガイスに、いやだと言ってるのに絡まれていれば
バシバシとガイスとジマの後頭部にハリセンにて叩かれていた。
「はい、そこの酔っ払いはチルトにからまないの、飯を抜くわよ!」
声を底重音に落として、幼馴染みが叱れば
ジマとガイスはビクッとなり、幼馴染みの笑顔を見て
潔い土下座と共に、俺を絡まずに無言で酒を飲んでいた
「なんか、ごめんな」
ジマとガイスが騒いだのと、俺の事でこんな気を遣った思いを含み謝れば
幼馴染みはコタツに座りなおし、ふふっと笑われた
「なんで謝るのよ、私はチルトに謝られるようなことされてないのに」
「┄まあ、ジマとガイスが悪のりしてチルト苛めてたのには、ちょ~と怒ってるけどね」
チラリとジマとガイスを見ると二人はバッと視線を逸らした。




