11 夢現の中で、君を知る③
ロイがいなくなったあと、俺とミラ嬢は互いに喫茶店の中で意見を出しあいながら、話し合っていた
「┄ミラ嬢は、この件に対し不可解な部分や、気づいた点などあるなら教えてくれないか?」
「そうですね┄見ているぶんには不備はないようですが┄1つ目の書類ではシリウス様のご両親の道中への行路は、どのように進んだら1日2日で、この王都に来るのか疑問が沸きます」
「二つ目の書類には┄女性の凌辱や奴隷への有無に関することへは、共謀し、何を得るのかに対して不可解さは、あるかもしれません」
交互の文面を1つ1つ、指をあて意見を述べる的確な質問に、俺も先程┄同じことを感じるため同意し頷いた。
「まあ、疑問点は、ロイの報告で少しはわかるだろうさ。なぁ、ミラ嬢は暗部の情報は、俺は知ることは、出来るんだろうか?」
「┄情報提供は極秘事項となっているので、無理ですね」
「┄ですが┄師匠より、今回は情報提供の許可が出ているため、大丈夫だと思われますが┄┄┄シリウス様は、何を知りたいのですか?」
一瞬┄無理なのかと思って、そうそうに情報を教えてくれると、下げてから上げる、言い方に苦笑しつつ
俺は知るべきことで思う事柄である1つのことをミラ嬢に聞くことにした
知るべき必要な事柄は、ただ一つ
ジルビオ・コードとサリエナ・コードの犯罪と領主としての働き具合などを一番に知りたかった
もしかすると俺の目の届かない範囲外で、何かをした場合┄のちのちの動き方を考え直さないといけなくなるからだ
するとミラ嬢は具体的な情報を事細かく話すことになるが、ふとこんな場所で聞くのも憚られ、場所を移動することにした。
◇◆◇◆
町より少し離れていて、人の気配を感じない場所がないか? とミラ嬢に聞いてみた
すると一度┄考え込むような仕草をし、思案した表情のあと┄少々┄複雑げに、良い場所があると告げ、そこへ連れて行ってもらうことにした。
およそ時間的に15分ぐらい歩いた頃、町を一望できる白雪の丘へと俺達は来ていた
周囲には古風な木造の今は使われていない建物があり、他にも丘にはポツポツと木々があり
静かでいて、人の気配などない場所の雰囲気があった。
「へえ~。こんな良いところがあったんだな、┄俺も長いこと王都に住んでたが、気づかなかったよ」
辺りを観察がてら呟いた俺にミラ嬢は、酷く呆れるような表情のあと、深い溜め息を吐かれた
なぜに┄溜め息など吐かれたのだろうか?
ミラ嬢の態度に考えてみるが、呆れさすような事も、変な事も言った覚えは、俺にはなかった
「┄ところでシリウス様、人の気配のしない場所という条件を満たしましたが、ここで良かったですか?」
「え⁉ あ、ああ┄、人込みのいる場所で聞くような事柄ではないと判断したからな」
「それに条件は満たしている、ここならば人も来ないし、ミラ嬢から俺の両親のことを聞くには絶好の場所と言えるしな」
秘密の密約には絶好な場所と言える、静かで落ち着くのは、とくに好感が持てたからだ
「話してくれないか、暗部で知り得ている俺の両親のことを詳しく教えてほしい」
「┄┄わかりました、いまの所┄知り得ている情報は┄┄」
ミラ嬢はゆっくりと、暗部で調べている内容の一部を、具体的に詳しく教えて説明してくれたことで、わかったことがある
それは主な内容は5つの事柄だった
・窃盗
・詐欺
・人身売買
・国への戦争を塗り替え
・横領
俺の集めた内容は、まだ一部だろうが、ミラ嬢に聞いた分を整理すれば、自ずと┄そんな結論が導きだされた。
「┄┄なるほどな、ミラ嬢の話を聞いて確信が得たよ、俺の両親は歯止めの効かない場所まで堕ちたんだとね」
「幻滅したのですか?」
「別に幻滅などしてないさ、もとから危うい状態にいる両親だからな。それに昔より狂った連中を家族と思えるほど、俺の心は狭いようだ」
嫌いな両親だが、僅かでも愛情があると思うときがあった。
ずっと昔には┄┄
俺は首を振り払いのけ、ミラ嬢へ視線を向けたまま苦笑し、真っすぐに見れば、何故ミラ嬢は酷く辛そうな表情をされていた
「┄何故に、ミラ嬢が辛そうな表情をする?」
「いえ」
フイッと視線を逸らすなんてミラ嬢らしくなく、ただ┄静かに「すみません」と呟かれた
何故に謝るんだ?
俺は理解出来ずに首を傾げていたが、ミラ嬢には辛そうな表情をされる謂われはなく
ミラ嬢に近づき、両手を掴み
「謝られることをミラ嬢は俺にしたのかい?」
と俺が聞いてみれば、ミラ嬢はらしくなく俯いている
何か、俺に関することで、知ってるんだろうな
情報収集が暗部の仕事だと言われてたから
本当は、もう少し色々と聞きたい事柄があるけど、俺ごときに心を砕く必要はないが
ミラ嬢には常にいつもらしさがあって欲しいと思え、何故だろうか、近くにある木に登りたくなっていた、
「なあ、急なんだが、木に登らないか?」
俺の突飛たる発言に、俯いていたミラ嬢が
はい? 何を┄急に変なこと言ってるんですか?
と言うような表情で、俺を見られた。
うん、俺も気持ちは一緒だけど、そう思ったのだからしょうがないと思うが、気にせずにジッと見つめてみた。
すると気持ちが通じたのか、呆れた表情をされてしまい、承諾の返事をくれた
◇◆◇◆◇◆
どの木に登るのか? と聞かれたので、俺は妙に視線に入っていた大きな大樹にしようと提案し、一瞬、ミラ嬢がその大樹を見たあと、すぐに驚いた表情を俺に向けていた
「どうかしたのかい?」
「いえ、シリウス様が登れるのかと」
「なんだい、俺が登れなさそうだと、思って驚いたのか?」
「┄┄┄まあ、そうですね」
なんだろうか? とても感情が今日は良く出てくれている気はするものの
無性にバカにされている勘が拭えず
「ほう、俺は結構┄木登りは得意なんだぞ、勝負するか?」
俺は身体を解すようにしながら言えば、ミラ嬢はふむっと考えたような表情をされたが
小馬鹿にしたような表情で、いいですよと自信ありげに言われた
その態度に、一瞬、誰かと被りそうになったが、目を擦れば、ソレは消えた
なんだ┄いまの?
幼い子供の女の子、あれは誰れだ?
「シリウス様、勝負するまえから、ぼんやりとは、いい度胸ですね」
ミラ嬢から声をかけられて、先程考えていたことが逸れ、ハッと我に返り一応謝りながら
俺とミラ嬢は木登り競争を開始した
しかし┄木登り競争は意外にも、ミラ嬢が早く、俺の上を軽々とジャンプ一回で木の枝を回転して着地していた
うん、それ木登り、違うと思うんだが?
俺はそんなことを思いながら、ミラ嬢のいる場所に数分後に到着した
「ふう、やっとついた~」
木の上にて俺が一息いれながら言えば、ミラ嬢は、遅かったですね? と言いたげな顔で見られた
「┄ミラ嬢、木登りだと俺、いわなかったっけ?」
「言いましたね、ですが┄ジャンプしての木登りとは言わなかったので、実行したまで、ですが┄何か文句でも」
「うわ~なに、その屁理屈」
「勝ったほうが勝者かと思いますが」
ニヤリと口角を上げて言うミラ嬢に、少々┄文句を言いたくなったものの
つい先程とは違い、ミラ嬢らしさが戻ってきてるのと、妙に楽しげな表情に、俺は何処か安堵する
「なあ、ミラ嬢が勝者なら敗者の俺に何をして欲しい?」
「は?」
「言ったろ勝負だって、で! 何をして欲しい?」
俺は勝負事は余り好きじゃないが、なんとなく軽い気持ちで聞いてみたのだが、ミラ嬢はスッと俺から視線を急に外されてしまい
「私を忘れないで下さい」
と静かに呟くように言われ、何だかドキッと胸が跳ねた。
「どういう意味だい?」
「もう二度と┄忘れて欲しくないと、言ったのです」
だんだんとミラ嬢から発する言葉が異様に悲しげになっていくように聞こえ
そして、その言葉を聞いて┄俺は無意識だろうけど、ミラ嬢を俺の側に寄らし木の枝に挟むようにして抱き締めていた。
ミラ嬢は俺の急な行動に驚いた表情をした。
「何をなさってるんですか?」
「うん、俺もよくわからないけど、いまこうしないと後悔する気がするんだ」
「それに、ミラ嬢は俺に忘れて欲しくないって言ったろ、ならさあミラ嬢を全身で感じてもいいかな~って、ダメかな?」
「意味わかりません、その理屈」
そう言いながらもミラ嬢が、俺の服をぎゅっと握りしめてくるものだから、言葉と裏腹な態度に可愛いなとか、つい思ってしまい
「なら、抵抗する?」
と小さくミラ嬢の耳に呟いてみたら、ワナワナと震えるため
あれ、怒ったかな?
そう思いミラ嬢を見てみるが、何かブツブツと文句だけを小声で呟いているだけみたいで、まあ、いいかな、と結論づけてミラ嬢を抱き締めたままでいることにした。




