14話 晩酌
ようやく1日目が終わります。
部屋に戻るとリリーが風呂から上がっていた。
風呂上がりの女子って妙に色っぽいよな。
「帰ったんですね。お風呂上がりましたんでどうぞ。」
「ありがと。」
少し汗もかいたので言われた通り風呂に入る事にした。
「お手伝いします。」
そう言ってアニエッタが脱衣場に入ってきた。
「ちょ、何故?」
「入浴時のお手伝いも侍女の勤めです。」
「しなくていいから!」
「それこそ何故ですか?」
「今までされたことないから一人の方が楽で良い!」
「これからはこの国の王女様の婚約者になられるのですから。」
「だからいいって。」
無理矢理脱衣場から追い出した。
その時氣力を使って抵抗してきたがこちらも氣力を使って外に追い出した。
無表情で抵抗しようとするし頑固だよな。
脱衣場で色々あったが風呂に浸かると体の疲れが取れていくのが分かった。
疲れが取れてリラックスしてくると色々思い出す事があった。
待雪草のように地球で家族を失い絶望のどん底で色の無い人生を送る事になるはずだった俺に色をくれたリリー。
見ず知らずの何処の馬の骨とも分からない俺を迎え入れてくれたクラディウス国の王族の人達。
俺はこの世界に来てかなり恵まれた生活を送っている。
この人達を魔神共に奪わせるものか。
流石に長い間浸かりすぎたみたいでのぼせかけていたので上がる事にした。
上がるとアニエッタから国王が俺を呼んでいると伝えられた。
無視する訳にもいかないのでリリーに先に寝ていて良いと言ったら起きていると言って聞かなかった。
なので出来るだけ早く帰って来ようと思いアニエッタとは別の侍女に連れられて国王の部屋に向かった。
そこは執務室でもなく寝室でもなくプライベートで国王が居る部屋だそうだ。
着くと侍女は中に入らずに外で待つそうだ。
「おう、来たか。」
中では国王が酒の瓶を持って俺を待っていた。
「少し飲まんか?」
補正の中の知識では酒は15から飲めるらしい。地球に居た頃でも何度か飲んだ事があったし酒には強い方だったので頂く事にした。
「私は息子と酒を飲むのが夢だったんだ。
私には娘しか居ないだろ?だから余計にな。」
「何故1人だけなんですか?」
「王なのだから子をたくさんもうけろとよく言われたよ。
だがな、私はノアを愛している。
ノアはセシリアを産んだ後、子を産めない体になってしまった。
だからといって他の女と子を作る気にはなれなくてな。」
「そうですか。」
「コウが気に病む必要はない。
それより、私は娘と結婚する者に『娘が欲しければ私を倒してからにしろ!』と言いたかったんだぞ?それをこうもあっさりと潰されるとはな。」
「すみません。」
「いや、いいんだよ。
おっと、忘れるところだった。コウ用の身分カードだ。RランクとEランクのカードを作っておいたから必要な時に使い分けるといい。」
「ありがとうございます。」
身分カードとはこの国の国民であるという事を証明する物で名前や住所、能力のランクなど様々な事が記入されているカードで名前とランク以外は人に見せたく無いと思えば見えない様にも出来る。
ランクはカードを持っていれば自動で適切なランクに変わる。カードに記入されているランクを変える機械によって変える事も可能だが、持っているのは国王や冒険者ギルドのギルド長、地域別に分かれる区の区長しか持っていない。
「コウが必要になればいつでもRランクの方を見せれば良い。
コウはもう私達の家族なのだからな。」
思わずその言葉にウルッと来てしまった。
「…ありがとうございます。」
「すまんな。先にアスレイから聞いてしまった。」
「それでも嬉しいです。」
「良かったよ。
コウの情報は知ったら自慢したくなるのでな。」
そう言って豪快に笑った。
「ありがとう。もう帰っても良いぞ。私は少し一緒に飲めたら良かったからな。」
「それでは失礼します。」
お言葉に甘えそのまま帰った。
部屋に帰るとリリーはまだ起きていた。でもベッドの上でガチガチに固まっていた。
やっぱり俺って欲求不満に思われている?
ガチガチのリリーをどうにかリラックスさせ俺達はそのままベッドで一緒に眠った。
一応言っておくが昨日は何もしてないぞ?
好き過ぎて逆に汚せない。最初の一歩が踏み出せない。彼女持ちには分かる奴もいるはずだ。
こうして異世界での2日目が始まる。
待雪草の 花言葉は「希望、慰 め、逆境のなかの希望、恋 の最初のまなざし」 人へ の贈り物にすると「 あなたの死を望みます」という 意味に変わるの で注意が必要になります。
読んで頂きありがとうございます。




